友人に紹介されたNFT投資、紹介報酬つきなら要注意|マルチ型の見分け方と解約

久しぶりに連絡をくれた学生時代の友人や、職場の同僚から「いいNFTのプロジェクトがある」「持っているだけで毎月配当が出て、人を紹介すればさらに報酬が入る」と誘われた。カフェで先輩格の人を紹介され、その日のうちに申し込みを迫られた——。そうした誘いを受けて迷っている人、あるいはすでにお金を出してしまった人に向けた記事です。

最初に編集部の結論を示します。NFTそのものの使い道よりも「人を紹介すると報酬が入る」ことが強調されている投資話は、国民生活センターが「モノなしマルチ商法」として注意を呼びかけてきた型に当てはまります。契約するならその前に仕組みと書面を確かめ、すでに契約したなら、連鎖販売取引にあたる場合の20日間のクーリング・オフを含めて、早めに消費生活センターへ相談してください。

身近な人からNFTの投資に誘われる相談は実際にある

金融庁の金融サービス利用者相談室は、投資詐欺などの相談事例として「身近な人からのマルチ商法的な勧誘」を挙げ、同僚や家族、親戚から、NFTやバーチャルゲームなどの新規事業への投資に誘われ、未公開の暗号資産などに投資したという相談を紹介しています。NFTという新しい言葉が、身近な人間関係を通じた勧誘の題材として使われていることが分かります。

20代に向けて国民生活センターが出した注意喚起(2024年1月)でも、知人に誘われて副業グループの話を聞きに行き、暗号資産の自動売買ソフトを使えばもうかると言われて、50万円相当の暗号資産を海外の送金先に送ったという事例が載っています。この相談者は、誰かを勧誘すれば紹介料がもらえるという話も聞いていました。

同センターは2019年7月の報告で、健康食品や化粧品のような品物を扱わず、投資話や副業そのものを売り物にするタイプのマルチ商法について、相談が20歳代と20歳未満の若者で増えていると指摘しました。友だちやネットで知り合った相手が、暗号資産・海外の事業・アフィリエイトなどを材料に「誰かを紹介すれば報酬が入る」と勧め、仕組みがよく分からないまま契約してしまう例が多いとしています。

「紹介すれば稼げる」NFT投資を見分ける目安

国民生活センターは、マルチ商法を「商品・サービスを契約して、次は自分がその組織の勧誘者となって紹介料報酬等を得る商法」と説明しています。NFTを使った勧誘に当てはめると、次のような点が目安になります。

確かめる点注意したい説明
お金の出どころ配当や報酬が、NFTの売上や利用料ではなく、新しく入った人の購入代金から出ているように聞こえる
NFTの中身NFTで何ができるのか、誰が発行しているのかの説明がほとんどない
ランク制度「◯人紹介すれば上位ランク」「ランクが上がると配当率アップ」
勧誘の場カフェやセミナーで、友人以外の「成功者」が同席する
お金の用意「学生ローンや消費者金融で借りてもすぐ返せる」と言われる
書面契約書や概要書面を渡されず、LINEの説明だけで申し込ませる

同センターの2019年の報告に載った事例では、中学時代の友人に呼び出された20歳代の男性が、海外不動産への投資で暗号資産の配当が出る、紹介すれば紹介料も入ると説明され、消費者金融4社から合計約130万円を借りて友人に渡しました。契約書面も領収書も受け取っておらず、解約を申し出ると半額しか返せないと言われたといいます。書面のない契約と、借金を前提にした勧誘は、どちらか一つでも見送る理由になると編集部は考えます。

連鎖販売取引にあたる場合のクーリング・オフ

商品やサービスの販売で、人を勧誘すれば利益が得られるとうたって加入させ、費用を負担させる取引は、特定商取引法でいう連鎖販売取引として規制の対象になりえます。国民生活センターは2019年の報告で、いわゆるマルチ商法と法律上の連鎖販売取引は必ずしも重ならないと注記しています。そのうえで同センターのクーリング・オフの案内では、連鎖販売取引の期間は20日間とされています。

期間と手続きのポイント

  • 期間は、申込書面か契約書面のいずれか早いほうを受け取った日から数える
  • 書面の記載に不備があるときは、期間を過ぎてもクーリング・オフできる場合がある
  • 事業者が「できない」と言ったり脅したりして手続きできなかった場合も、期間後に行える
  • 通知は、はがきなどの書面のほか、2022年6月からは電子メールなどの電磁的記録でもできる
  • クレジット契約を使った場合は、販売会社とクレジット会社の両方に同時に通知する

書面を一度も受け取っていない、あるいは受け取ったか覚えていない場合は、「もう20日を過ぎたから無理」と自分で判断しないでください。どの取引の類型にあたるか、通知をどう書くかを含めて、消費生活センターで確認できます。

投資の中身にも目を向ける

勧誘された内容が、海外の業者を通じた暗号資産の売買や運用であれば、国内で登録を受けた業者かどうかも問題になります。国民生活センターは、暗号資産交換業者は金融庁・財務局への登録が必要で、無登録業者とは取引しないよう呼びかけています。友人から聞いた業者名やプロジェクト名は、金融庁が公開している交換業者の登録一覧と照らし合わせてみてください。一覧に名前がないのに「国の許可を取っている」と説明されたなら、その説明自体を疑う材料になります。

自分が勧誘する側になる前に考えたいこと

紹介報酬の仕組みがある投資話では、参加したあと「元を取るために誰かを誘って」と促されることがよくあります。国民生活センターは、誘われた側が今度は誘う側に回ると、声をかけた相手まで損失に巻き込み、友人づきあいそのものが壊れかねないと警告しています。

誘う前に、次のことを自分に問いかけてみてください。

  • NFTの発行元や運用の仕組みを、自分の言葉で説明できるか
  • 誘った相手が損をしたとき、自分が責任を持てるか
  • 自分が受け取っている報酬は、誰のお金から出ているのか
  • 勧誘のやり方について、上の人から具体的な「話法」を教え込まれていないか

一つでも答えに詰まるなら、誘うのはやめるのが賢明です。紹介の報酬は、誘った相手が支払ったお金から出ていることが多く、自分の利益が相手の損失と表裏になっている可能性があります。仕組みが行き詰まったとき、最後に加わった人ほど損が大きくなり、その人を誘ったのが自分であれば、関係の修復は簡単ではありません。すでに誘ってしまった人がいる場合は、自分が知った問題点を正直に伝え、一緒に消費生活センターへ相談することも選択肢になります。

その場で断る・後から抜けるための具体的な行動

誘われている最中なら

  1. その日のうちには申し込まない。「家族と相談してから決める」と伝えて席を立つ
  2. 発行元の会社名、所在地、NFTのコレクション名とコントラクトアドレス、報酬の計算方法を、書面かメッセージで送ってもらう
  3. 送られてきた社名やプロジェクト名を、自分で検索して注意喚起が出ていないか調べる
  4. お金を借りるよう勧められたら、その時点で断る

すでに契約・送金してしまったなら

  1. 受け取った書面、申込画面、支払いの記録(振込明細、暗号資産の送付履歴)を集める
  2. 誘った友人や先輩とのLINE、セミナーの資料や録音があれば保存する
  3. 契約日と書面を受け取った日を確認し、クーリング・オフの期間内か見当をつける
  4. 消費生活センターに相談し、通知の出し方を確認する

友人関係を気にして相談を先延ばしにすると、クーリング・オフの期間を過ぎてしまうことがあります。関係の修復は、手続きを済ませてからでも間に合います。記録の集め方は証拠の残し方、身近な人の紹介で入った暗号資産の運用で出金できなくなった例は友人の紹介で入ったDeFiの記事も参考にしてください。

支払い方法別の連絡先と相談窓口

お金の払い方によって、並行して連絡しておきたい先があります。どの窓口に相談しても、返金が保証されるわけではありません。

  • 友人や勧誘者に現金で手渡した:受け渡しの日時、金額、場所、同席者をメモに残す
  • 銀行振込:振込先の名義と口座を控え、個人名義の口座だった場合は金融機関と警察にも相談する
  • クレジットカード・ローン:クーリング・オフを通知する場合は、クレジット会社にも同時に通知する
  • 暗号資産の送付:送付に使った交換業者に、送付先のアドレスと経緯を伝える

相談できるところ

  • 消費生活センター:「188(いやや)」に電話すると、住んでいる地域の窓口を案内してもらえる
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:登録の有無や投資の仕組みについて。平日10時〜17時、番号は0570-016811(IP電話なら03-5251-6811)
  • 警察:だまされたと考えるときは最寄りの警察署か「#9110」
  • 弁護士:返金の交渉を任せたいときは相談予約から

暗号資産を使った配当型の仕組みについては暗号資産のポンジ・スキームの記事で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 友人に誘われたNFT投資は、紹介報酬があるとマルチ商法になりますか?

A. 人を紹介すると報酬が入る仕組みはマルチ商法の特徴です。国民生活センターによれば、マルチ商法は特定商取引法の連鎖販売取引と必ずしも一致しませんが、連鎖販売取引にあたればクーリング・オフは20日間になります。

Q. 契約書面をもらっていません。クーリング・オフはできますか?

A. クーリング・オフの期間は、申込書面か契約書面の早いほうを受け取った日から数えます。書面がない、または不備がある場合は、期間を過ぎたと自己判断せず、消費生活センターに相談してください。

Q. NFTを持っているだけで配当が出ると言われました。

A. 配当の原資が何か、誰がNFTを発行し運用しているのかを確かめてください。新しい参加者の購入代金が配当に回っているように聞こえる説明なら、参加を見送ることをおすすめします。

Q. 誘ってくれた友人に悪いので、相談しにくいです。

A. 友人関係を気にして相談を遅らせると、クーリング・オフの期間を過ぎるおそれがあります。手続きを先に済ませ、友人には後から事情を伝えることもできます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。