突然の電話・間違いSMSから始まる恋愛と投資の勧誘|返事をする前の見極め方

知らない番号から「〇〇さんですか?」とSMSが届き、人違いだと返したら、丁寧なお詫びとともに雑談が続いた。あるいは突然の電話をきっかけに、気の合う相手とやり取りするようになった。そうして親しくなった相手から、いつの間にか投資の話を聞かされている――。この記事は、そんな形で関係が始まった方に向けています。

結論から書きます。偶然を装った連絡から始まり、会わないまま好意と投資の話が進んでいくなら、ロマンスを入口にした投資勧誘の典型に重なります。米国の連邦取引委員会(FTC)は、番号違いを装ったメッセージが恋愛めいた交流に発展し、偽の投資の場へ誘導される手口を公表しています。日本の金融庁も、個人のLINEやSMSに突然連絡が来るケースを確認していると注意しています。

以下では、この入口の特徴、日本の統計から見た位置づけ、返事をする前に確かめたいこと、電話の設定、送金後の手順を順に説明します。

「番号を間違えました」から始まる関係の流れ

FTCが2025年4月に公表したデータ分析「Top text scams of 2024」は、番号違いを装うメッセージを主要な手口の一つとして取り上げています。説明によると、最初の文面は「こんにちは」「コーヒーでもどう?」といった何でもないものです。人違いだと親切に教えてあげたことが始まりとなり、相手は恋愛の気配を帯びた友人関係を築きます。そのうえで自分は投資で成功していると語り、コツを教えると言って偽の投資サイトへ導く。報告者の多くは「投資」したお金をすべて失ったとされています。

流れを段階に分けると、次のようになります。

  1. 人違いの電話やSMSが届く
  2. 謝罪と雑談が続き、写真や自己紹介を交換する
  3. LINEなど別のアプリへ移り、連絡の頻度が上がる
  4. 好意の言葉や将来の話が増える
  5. 相手の「投資の成功」が話題にのぼり、同じアプリやサイトを勧められる

入口が電話やSMSであることを除けば、警察庁がSNS型ロマンス詐欺として示している流れとほとんど同じです。

SNSで始まる場合との違い

SNSのDMなら、相手のアカウントの投稿やフォロワー、ほかの利用者とのやり取りから、ある程度の人物像を探ることができます。電話番号とSMSだけの相手には、そうした手がかりがほとんどありません。相手について知っていることのすべてが、相手自身の語った話と送ってきた写真だけ、という状態になりやすいのです。金融庁も、こうした勧誘では多くの場合、犯人側と個人との1対1のやり取りに持ち込もうとすると説明しています。周りの目が届かない場所で話が進むこと自体を、一つのサインとして受け止めてください。

日本の統計では少数派。それでも警戒したい理由

令和8年1〜6月について警察庁が出した暫定の集計を見ると、恋愛型の被害として把握された2,509件のうち、DMから接触が始まったのは2,252件で、全体の89.8%でした。電話やSMSは独立した項目になっておらず、「その他」の257件に含まれる形です。統計の上では、電話やSMSから始まる恋愛型の勧誘は少数派といえます。

一方で、電話を入口とする詐欺そのものは深刻です。警察官を名乗る「ニセ警察詐欺」では、同じ期間の被害4,466件のうち98.2%が電話から始まっていました。警察庁は、犯人側が自動発信の機能などを使って大量に電話をかけている実態がうかがわれるとしています。

筆者は、件数が少ないことを安心材料と読むのは危ういと考えています。SNSのDMと違い、電話やSMSは相手がすでにあなたの番号を知っているところから始まります。関係を断った後も、同じ番号に別の名目で連絡が来る余地が残る点で、むしろ注意が要る入口です。

相手はなぜ連絡してきたのか

番号違いの連絡が本当に偶然なのか、狙って送られたものなのか、受け取った側から見分ける方法はありません。本物の人違いも日常的に起こります。

ただ、返信するかどうかで状況は変わります。返事をすれば、その番号が使われていて、しかも見知らぬ相手と会話をする人が持っている、と相手に伝わることになります。FTCは、知らない相手からの予期しないメッセージには返信しないよう勧めています。人違いを教えてあげるのは親切ですが、黙って放っておいても失礼にはあたらない、というのがFTCの立場です。

すでにやり取りが続いている場合でも、次の点が重なっていないか見直してみてください。

  • 人違いの相手とは思えないほど、早い段階から個人的な話を掘り下げてくる
  • 自撮りや生活の写真を積極的に送ってくるが、ビデオ通話や対面には応じない
  • 仕事が投資、貿易、会社経営など、お金に余裕がありそうな設定になっている
  • 「叔父が金融の専門家」「自分だけが知っている方法」といった話が出る
  • 電話番号でのやり取りから、LINEなど別のアプリへ移ろうと提案する

投資の話が出たら、返事をする前に確かめること

国民生活センターが2022年にまとめた注意リストでは、暗号資産やFXで稼いでいると話す人物、趣味が投資や資産運用であることを挙げ、誘い文句として結婚資金のための投資などを例示しています。これらに当てはまる相手から投資を勧められたら、返事は保留にして次の3つを確かめます。

業者が登録を受けているか

案内されたアプリやサイトの運営会社を、金融庁が公開している登録業者の一覧と、名称や電話番号で引ける検索ページで照らし合わせます。名前が見つからない業者なら、その話はそこで終わりにします。

お金を渡す先がどこか

個人名義の口座や、相手が指定する暗号資産のアドレスへの送金を求められたら、正規の投資の手続きとは言えません。金融庁も、個人名義の口座に入金を指示される例を紹介しています。

会ったことがあるか

警察庁は、チャットや電話、ビデオ通話で仲良くなっても、実際に会ったことがなければだまされているかもしれないと注意しています。声を聞いたことがあるという事実は、相手の身元の裏付けになりません。

電話とSMSの側でできる予防

関係を断つと決めたら、同じ番号やその周辺からの連絡を受けにくくしておきます。

  • 知らない番号には折り返さない:相手がSMSで告げる番号にもかけ直さないようにします。
  • 携帯電話では警察庁推奨アプリを検討する:警察庁は令和8年3月、詐欺対策の条件を満たしたスマートフォン用アプリを認定する制度の第1弾として、2つのアプリを「警察庁推奨アプリ」に選びました。6月末までの累計ダウンロード数は約147.6万件と公表されています。
  • 固定電話は国際電話を止める手続きがある:自宅の固定電話やひかり電話なら、「国際電話不取扱受付センター」への申込みで、海外からの着信と海外への発信をまとめて無料で止められます。
  • 番号を着信拒否にする:やり取りの記録を保存した後に設定します。

国際電話の着信を止める手順は国際電話で投資の催促が来たときの着信の止め方で詳しく説明しています。通話やビデオ通話ができた相手をどう考えるかはロマンス詐欺の相手と電話・ビデオ通話ができたら本物かを参考にしてください。

すでにお金を送ってしまったとき

送金した後でも、動く順番を守れば取れる手はあります。

  1. 追加の送金を止める:「出金には手数料が要る」「税金を払えば戻る」という話には応じません。
  2. 銀行に連絡する:振り込んだ場合は、振込元と振込先の両方の銀行に、詐欺の疑いがあると伝えます。警察庁は令和8年6月1日から、金融機関と連携して被害金をすばやく追跡・凍結・回復するための官民の枠組みの運用を始めたと公表しています。連絡は早いほど意味を持ちます。
  3. 警察に相談する:最初のSMSや着信履歴、LINEのトーク、送金の記録を持って、最寄りの警察署か#9110へ。
  4. 消費生活センターに相談する:188番で最寄りの窓口につながります。

相談に持っていく記録

  • 最初に届いたSMSの画面(送信元の番号と日時が分かるもの)と着信履歴
  • 相手が名乗った名前、年齢、職業、住んでいるという地域
  • 勧められたアプリやサイトの名前とURL、ログイン後の画面
  • 振込の控えや利用明細、暗号資産を送った場合は送付の履歴

振込先の口座が止まり、そこに資金が残されていたなら、振り込め詐欺救済法による分配の対象になりえます。ただし、分配される額は口座に残っていた金額しだいです。被害回復を約束して近づいてくる業者には注意してください。

何から始めればよいか迷うときはロマンス詐欺に気づいたときの最初の行動を、記録のまとめ方は証拠の残し方を見てください。

よくある質問

Q. 知らない番号から人違いのSMSが来ました。返信してもいいですか?

A. 返信しなくても失礼にはあたりません。米国のFTCは、知らない相手からの予期しないメッセージには返信しないよう勧めています。本当の人違いであれば、相手は別の方法で目的の人に連絡するはずです。

Q. 電話で何度も話している相手なので、身元は確かだと思うのですが。

A. 声を聞いたことは身元の証明になりません。警察庁は、電話やビデオ通話で親しくなっても、会ったことがなければ本人でない者がなりすましている可能性があると注意しています。投資を勧められたら、業者の登録を確かめ、会うまでお金を動かさないことをおすすめします。

Q. 間違い電話から知り合った相手に教わった投資アプリで利益が出ています。

A. 画面上の利益は、実際に取引が行われている証拠になりません。国民生活センターは、紹介された投資サイトが架空で見せかけの残高だけが増える例を紹介しています。追加の入金をする前に、188か#9110に相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。