ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
Facebookで知り合った「国連の平和維持活動に参加している」という相手から、「任務が終わるまで大切な荷物を預かってほしい」と頼まれ、その後に配送業者や外交官を名乗る人物から通関料・保管料・証明書代を求められているなら、支払う前にこの記事を読んでください。日本の税関は、関税や法令で定められた手数料に当たらない輸送費などの名目で、輸入者に直接お金を請求することはないと明言しています。
国民生活センターも、ネットで知り合った相手から荷物の受け取りを頼まれ、受け取る段階で高額の料金を請求される相談が目立つと公表しています。この記事では、荷物の話が持ち込まれる筋書き、税関・国連・条約の説明と照らした読み方、払ってしまった後の手順を順に整理します。
荷物を預かる話は、親しくなってしばらく経ってから、次のような説明とともに持ち出されることが多いようです。
引き受けると、配送業者や「外交官」、空港の係官を名乗る人物からメールや電話が来て、「通関に費用がかかる」「保管期限が過ぎる」「中身の現金に証明書が必要」などと支払いを求められます。一度払うと、罰金、保険料、証明書の発行費と名目を変えて請求が続くのが典型です。
なぜ会ったこともない自分に頼むのか、と尋ねると、「信頼できるのはあなただけ」「家族とは疎遠になっている」といった答えが返ってくることがあります。特別扱いされる心地よさが、頼みを断りにくくする方向に働く点は意識しておきたいところです。
ジェトロ(日本貿易振興機構)は国際ロマンス型詐欺について、国連職員や軍人などを名乗る相手から、資産や贈り物を日本に送るための費用や、積み替え港や到着港の税関で差し押さえられたとする解除金・罰金などを求められる手口を挙げています。
財務省関税局・税関は、SNSなどで知り合った相手から「プレゼントを送った」「来日に伴う荷物や現金を送った」と言われて受け取りを承諾したところ、税関手続費用、輸送費、解放金や解除金などの名目で高額な支払いを求められた事例を公表しています。運送会社を思わせる名前の者から、税関のロゴを勝手に載せた請求書や証明書が送られてきた事例もあります。
そのうえで税関は、輸入の通関で税関に払う手数料は関税関係の法令で決まっていること、それに当たらない輸送費などの名目で輸入者に直接請求することはないことを説明しています。税関をかたって「払わなければ逮捕する」と迫る電話やメールにも注意を呼びかけています。
国民生活センターは2020年2月、紛争地で従軍していると名乗る相手から荷物の受け取りを頼まれ、配送業者から受取人払いで50万円を国際送金するよう急かされた相談を紹介しています。ほかにも、指定されたサイトで配送状況を見ると通関手数料が請求されていた、相手のパスポートが送られてきて信用した、といった相談が寄せられています。そのうえで、会ったことのない海外の相手と荷物の受け取りを約束しない、料金を請求されても払わない、という二点を勧めています。
ジェトロも、積み替え港で税関から関税を求められるということはないとして、この種の支払いに応じないよう呼びかけています。
国連の名前が出る荷物の話では、「外交官が運ぶので検査されない」「国連の封印つきなので安全」といった説明が添えられることがあります。しかし、国連本部の Fraud Alert は、国連が手数料と引き換えに荷物を引き渡すことはないと明記しています。
外交上の荷物について定めた「外交関係に関するウィーン条約」第27条は、外交封印袋(いわゆる外交行李)には外部から識別できる記号を付けること、中に入れられるのは外交上の書類や公の使用のための物品に限られることを定めています。個人の貯金や贈り物を恋人に届ける手段として外交封印袋が使われる、という説明は、この条文の趣旨と合いません。
また、外交官や国連職員が、見知らぬ日本の個人に「荷物の引き渡し料」を求める理由も見当たりません。空港で外交官が足止めされている、保釈金が要る、といった話が続くなら、登場人物が増えるたびに支払いが増えていないかを見直してください。外務省は、詐欺の多くが集団で行われ、弁護士や空港係官の役を演じ分けることがあると注意しています。
「箱に大金が入っている」という話は、受け取る側に大きな見返りがあるように感じさせます。ただ、次の点を考えると、話の前提そのものに無理があることが見えてきます。
「受け取った荷物の一部を謝礼にする」「中身を売って費用に充てればよい」と言われても、その約束を守らせる手段はありません。見返りの大きさで判断せず、支払いを求められた時点で止まるのが安全です。
また、荷物が実際に届いたあとで「中身を指定の住所に送り直して」「現金を別の口座に入れて」と頼まれることもあります。自分の名前で受け取った物やお金を、事情のわからないまま動かすのは避けてください。手元に何か届いてしまったら、開けたり使ったりする前に警察に相談するのが無難です。
問い合わせた先から「そのような荷物も請求もない」と言われたら、その結果をわざわざ相手に伝える必要はありません。伝えると「別の会社に切り替えた」「窓口の担当者が知らないだけ」と新しい説明が用意されることが多いからです。やり取りを保存したうえで、連絡を断つ準備に移ってください。
配送の追跡画面そのものが偽物という形については偽の配送業者サイトの確かめ方、税関を口実にした請求全般は税関を口実にした請求への対応でも扱っています。
すでに支払っていたら、まずそれ以上は払わないことを決めてください。「あと一回払えば荷物が届く」と言われるたびに金額が増えていくのが、この手口のよくある経過です。そのうえで次の順に進めます。
住所や電話番号を教えていると、本物らしい荷物が届いたり、「荷物の件で」と電話がかかってきたりすることがあります。心当たりのない荷物の受け取りや、中身を別の場所に転送する依頼には応じないでください。どの手続きでもお金が戻るとは言い切れませんが、連絡が早ければ打てる手が残っている可能性は高まります。記録の残し方は証拠の残し方をご覧ください。
A. 国連本部は、手数料と引き換えに荷物を引き渡すことはないと明記しています。国民生活センターも、面識のない海外の人と安易に荷物の受け取りを約束しないよう助言しています。引き受ける前に、費用を求められていないか、支払先がどこかを確かめてください。
A. 税関は、ロゴを不正に使った請求書や証明書が送られた事例を公表し、法令で定めた手数料に当たらない輸送費などを輸入者に直接請求することはないと説明しています。請求書に書かれた連絡先ではなく、税関の相談窓口に自分で問い合わせてください。
A. 外交封印袋に入れられるのは外交上の書類や公の使用のための物品に限られると、ウィーン条約で定められています。個人の荷物を届ける手段として説明される時点で、話の前提を疑ってよいと考えられます。
A. 支払い方法によって手段が異なります。国内の口座に振り込んだ場合は、振込元の銀行にすぐ事情を話し、相手口座を止めて残高を分配する制度(振り込め詐欺救済法)が使えるか尋ねてください。返金は約束されませんが、警察への相談とあわせて早く動くことが大切です。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。