ビデオ通話の録画をネットに流されたら|削除依頼の手順と再投稿を防ぐ仕組み

InstagramのDMで知り合った相手とのビデオ通話が録画され、どこかに投稿された、あるいは投稿すると言われている。そんなとき、頭が真っ白になって「もう消せない」と思い込んでしまう人は少なくありません。

結論から書きます。削除を求める手段は、あなたの側にも複数あります。投稿先のSNSへの報告、画像の「指紋」を登録して再投稿を防ぐ仕組み、被害者の代わりに削除を依頼する民間の窓口、削除依頼のやり方を教える公的な相談窓口です。どれか一つではなく、並行して使うほど取りこぼしが減ります。

この記事は拡散への対処に絞っています。お金の要求への向き合い方は送った画像で脅されたときの対処、すでに払った場合は払ってしまった後の手順を読んでください。

削除依頼の前に、投稿された場所を記録する

どの窓口に頼むにしても、「どこに」「いつ」載ったかが分からないと動いてもらえません。ただ、自分の映像を何度も探して見るのは大きな負担です。可能なら、信頼できる人に探す作業を手伝ってもらってください。

  • URL:投稿ページのアドレスをそのまま控えます。アプリなら「リンクをコピー」を使います。
  • 投稿したアカウント:表示名だけでなく、@から始まるIDやプロフィールのURLも残します。
  • 画面の記録:投稿日時、閲覧数やコメントが見える状態でスクリーンショットを撮ります。
  • 見つけた日時:いつ確認したかをメモしておくと、削除されたかどうかを後で比べられます。

探す範囲は、相手が名前を出したSNS、脅しの中で示されたサイト、自分の名前やIDでの検索結果の3つから始めると絞り込めます。すべてを見つけ出そうと夜通し探し続ける必要はありません。見つかった分から依頼を始め、残りは警察や窓口に相談しながら進めれば十分です。体調が崩れそうなときは、探す作業を一度止めてください。

見つけた場所は一覧にしておくと、警察や相談窓口に説明するときにそのまま使えます。記録の残し方は証拠保全の手順も参考にしてください。

手順1:投稿先のSNSやサイトに報告する

最初に使えるのは、投稿されたサービスそのものの報告機能です。多くのSNSには、同意のない性的な画像や、それを使った脅迫を報告する項目があります。

Instagram・Facebookなど Meta のサービス

Metaは安全センターで、性的な画像を公開すると脅して相手が嫌がる行為を強いることを「性的脅迫」と定義し、Instagram、Facebook、Messenger、Threads、WhatsAppから報告できると案内しています。報告は70を超える言語に対応するチームが24時間体制で確認しているとされています。投稿やプロフィールの「…」メニューから報告を選び、該当する理由を選んでください。

X(旧Twitter)

Xは「合意のない裸体の描写」を禁じるポリシーを定めています。投稿のメニューから報告に進み、プライベートな内容や同意のない内容に関する項目を選びます。

その他のサイト

動画共有サイトや掲示板にも、多くの場合は削除依頼のフォームや連絡先があります。見つからない、または海外のサイトで手続きが分からない場合は、次の手順の窓口に頼ってください。

手順2:画像の「指紋」を登録して再投稿を防ぐ

一つの投稿を消しても、別のアカウントから同じ映像が上げ直されることがあります。そこで使えるのが、画像や動画から「ハッシュ値」と呼ばれる固有の数値を作り、参加企業に共有する仕組みです。映像そのものは送らず、数値だけを登録する点が共通しています。

仕組み対象特徴
StopNCII.org撮影時も現在も18歳以上の人非営利団体SWGfL傘下のRevenge Porn Helplineが運営。無料で、画像は端末から送信されないと説明されている。言語選択に日本語がある
Take It Down18歳未満のときに撮影された画像・動画米国のNCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)が運営し、Metaの協力で2024年に日本語に対応。成人後に、未成年だった頃の画像について使うこともできる

登録すれば必ず消えるわけではなく、参加していないサイトには効果が及びません。それでも、主要なSNSでの再投稿を減らす手段として、報告と並行して使う価値があります。未成年の被害については子どもが被害に遭ったときの記事で詳しく触れています。

手順3:セーフラインに削除依頼の代行を頼む

自分でサイトに連絡するのが難しいときは、一般社団法人セーファーインターネット協会が運営する「セーフライン」の被害者向け窓口が使えます。

  • リベンジポルノ画像・動画の削除依頼を、被害者に代わって無料で行う
  • 国内・国外を問わず、対象サイトに削除を依頼する
  • 通報は原則として本人か、児童の場合はその保護者から受け付ける(友人による代理申請は不可)
  • 画像を特定するためのURLなどの情報と、連絡用のメールアドレスが必要
  • すべての削除を約束するものではなく、複数回依頼するが、個別の結果の連絡はしない

セーフラインは、拡散を防ぐために早めの通報をすすめています。結果の連絡がないぶん、自分で控えたURLの一覧を時々見直し、残っているものは別の手段でも依頼すると確実です。

手順4:違法・有害情報相談センターで依頼のやり方を聞く

違法・有害情報相談センター(総務省の支援を受けて運営)は、インターネット上のプライバシー侵害などについて、相談者が自分で行う削除依頼の方法を助言する窓口です。ウェブの利用登録フォームから相談を申し込みます。

注意したいのは、このセンターはプロバイダやサイト管理者への削除依頼を代行せず、トラブルの仲裁や法的判断も行わないと明記している点です。「どのフォームに、何を書けばよいか」を教えてもらう場所と考えてください。代行が必要なら手順3のセーフライン、法的な措置が必要なら弁護士、と使い分けると迷いにくくなります。

また、法務局の人権擁護機関でも、インターネット上の人権侵害について相談を受け付けています。

削除依頼でつまずきやすい場面と、次の一手

手続きを進めても、思ったように消えないことがあります。よくある場面ごとに、次に打てる手を整理しておきます。

報告したのに「違反は見つからなかった」と返ってきた

選んだ報告理由が内容と合っていなかった可能性があります。同意のない性的な内容、脅迫、なりすましなど、当てはまる別の理由で報告し直してください。並行してセーフラインや警察に相談すれば、別の経路から削除を求められます。

投稿したアカウントが消えたのに、映像だけ転載されている

転載先ごとにURLを控え、一つずつ依頼します。転載が多いときほど、ハッシュ登録の仕組みが役に立ちます。

検索結果にサムネイルやページが出てくる

Googleは、本人がヌードや性的な状態で写ったコンテンツについて、検索結果からの削除をリクエストできる手続きを案内しています。対象のURLとスクリーンショットを添えて申請します。ただし消えるのは検索結果だけで、元のサイトに映像は残るため、サイト側への削除依頼も必要です。

法律はどう後押ししてくれるか

略して「リベンジポルノ防止法」と呼ばれる法律(正式名は出典欄)があり、写っている人が誰か分かる状態で性的な画像を多数の人に向けて公開する行為などに罰則を設けています。警察庁の解説では、公表罪の法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、公表させる目的での提供罪は1年以下の懲役または30万円以下の罰金とされています。

削除の面でも特例があります。通常、プロバイダが権利侵害かどうかの判断に迷うときは、投稿者に削除への同意を照会して一定期間待つ手続きがとられます。この法律の対象となる画像では、照会から2日を過ぎても投稿者から不同意の申出がなければ削除できる、と警察庁は説明しています。自分の映像がこの対象にあたるか迷ったら、警察や弁護士に確認してください。

画像を材料にお金を要求する行為そのものは、刑法の恐喝罪にあたりうる行為です。削除の手続きと、脅迫行為についての警察への相談は、切り離さずに進めましょう。

削除と並行して警察に相談する理由

警察庁は、ネットで公表されてしまった画像はプロバイダ等を通じて削除要請ができ、拡散を防ぐには早い削除が大切だとして、できるだけ早く相談するよう呼びかけています。警察に相談しておくと、投稿者を特定する捜査や、同じ相手による別の被害の把握にもつながります。

相談は#9110か最寄りの警察署でできるほか、都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口や、警察庁のオンライン受付も使えます。持っていくものは、手順の最初に作ったURLの一覧、相手のアカウント情報、脅しのメッセージの画面です。性的な被害として話を聞いてほしいときは、ワンストップ支援センター(#8891)に先に連絡して、付き添いなどの支援を相談することもできます。

削除が進まないと焦りが募りますが、一度にすべてを片づける必要はありません。依頼した日と窓口を一覧に書き足していけば、どこまで進んだかが目に見えて、少し気持ちが軽くなります。

よくある質問

Q. Instagramに投稿された録画は、報告すればすぐ消えますか?

A. 消えるまでの時間はサービスの確認次第で、すぐとは限りません。報告と並行して、18歳以上ならStopNCII.org、18歳未満のときの映像ならTake It Downでハッシュを登録し、URLを控えてセーフラインや警察にも相談すると取りこぼしが減ります。

Q. 削除依頼のために、自分の映像を窓口に送らないといけませんか?

A. セーフラインなどへの依頼では、映像そのものではなく投稿先のURLなど特定のための情報を伝えるのが基本です。StopNCII.orgやTake It Downも、映像は送らずハッシュ値だけを登録する仕組みだと説明されています。

Q. 海外のサイトに載ってしまいました。もう消せないのでしょうか?

A. 海外のサイトでも削除を求める余地はあります。セーフラインは国内・国外を問わず削除を依頼するとしています。すべてが消える保証はありませんが、URLを控えて早めに依頼してください。

Q. まだ投稿はされていませんが、今からできることはありますか?

A. 脅しのメッセージや相手のアカウントを保存し、警察に相談しておくと、投稿されたときにすぐ動けます。手元に映像がある場合は、ハッシュ登録の仕組みで事前に登録できるかも確認してみてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。