ビデオ通話の録画で脅され払ってしまったら|追加請求の止め方と取り戻しの相談先

マッチングアプリなどで知り合った相手とのビデオ通話を録画され、「払わなければばらまく」と言われて、もう送金してしまった。この記事は、いまその状況で動けずにいる人のためのものです。

結論から伝えます。これ以上は払わず、支払いの記録を手元に集め、今日のうちに警察と支払い先の事業者へ連絡してください。払ったことは失敗ではありません。怖さの中で自分を守ろうとした結果であって、責められるのは録画を材料に金銭を求めた側です。そして支払いの記録は、相手をたどる手がかりにもなります。

脅された直後の動き方全般は送った画像で脅されたときの対処にまとめています。ここでは「払ってしまった後」に絞って、次の要求への向き合い方と、支払い手段ごとの連絡先を順に説明します。

払ってしまった直後の24時間でやる4つのこと

送金した直後は、「これで終わるかもしれない」という期待と、「また来るかもしれない」という不安が入り混じります。気持ちが揺れているときほど、やることを決めておくと動きやすくなります。

  1. 次の支払いを止める。相手から新しい金額や期限が届いても、その場で応じないと決めます。家族に借りる、カードで現金化するといった準備も止めてください。
  2. 支払いの証拠を一か所に集める。振込明細、ギフトカードの購入レシートとカード番号、暗号資産の送金画面など、手段ごとに残っているものをスクリーンショットや写真で保存します。
  3. 脅しのやり取りを保存する。相手のアカウントID、プロフィール画面、金額や期限を示したメッセージ、録画を見せてきた画面を残します。自分が映った映像そのものを保存し直す必要はありません。
  4. 支払い先の事業者と警察に連絡する。銀行や発行会社への連絡は早いほど選択肢が残ります。警察には#9110でも、近くの警察署の窓口でも相談を持ち込めます。

大阪府警察や埼玉県警察は、この種の脅しを「セクストーション(性的脅迫)」として注意を呼びかけ、埼玉県警察は暗号資産を送金しないよう明記しています。警察庁も、脅迫を受けたらすぐに警察等に相談し、一人で悩まないよう呼びかけています。

2回目・3回目の要求が届いたときの考え方

一度払った人のもとには、「動画がもう1本あった」「仲間にも渡っているから追加で払え」といった次の要求が届くことがあります。埼玉県警察は、金銭のほかにさらに画像を求める例があると紹介しています。

「削除した証拠」は確かめようがない

相手が「削除した」と画面を見せてきても、別の端末やクラウドに複製が残っていないかを外から確認する方法はありません。筆者は、削除の約束を支払いの理由にしないことをすすめます。払うかどうかで拡散の可能性が変わると考えるより、拡散されたときに削除を求める準備をしておくほうが、自分でコントロールできる範囲が広いからです。

返信を続けないほうがよい理由

減額の交渉や事情の説明は、相手に「まだ払える人だ」という手がかりを与えがちです。記録を保存したら返信をやめ、ブロックや通報は保存が済んでから行います。ブロックの前後で相手が別アカウントから連絡してくることもあるので、そのアカウントも同じように記録してください。

払い続けた人ほど「やめどき」を見失いやすい

1回目より2回目、2回目より3回目のほうが、断る心理的なハードルは上がりがちです。「ここでやめたら、これまでの支払いが無駄になる」と感じるからです。けれども、それまでに払った額は次の支払いを正当化する理由になりません。いま止めることが、失う額をこれ以上増やさないいちばん確実な方法です。

新しい画像や通話を求められたら

「もう一度通話すれば全部消す」「別の写真を送れば許す」という提案にも応じないでください。相手の手元の材料が増えるだけで、要求が終わる保証にはなりません。

支払い手段ごとの連絡先と取り戻しの見通し

どこに連絡するかは、何で払ったかによって変わります。手元の記録を見ながら、該当する行から進めてください。

払った手段最初に連絡する先伝えること
銀行振込お金を送った先の銀行と、振込に使った自分の銀行の両方振込日時、金額、振込先の口座情報、脅されて振り込んだこと
ギフトカード・電子マネーのコードカードの発行会社の窓口カード番号、購入店とレシート、相手にコードを伝えた日時
暗号資産送金に使った暗号資産交換業者送金日時、数量、送金先アドレス、取引ID
クレジットカード決済カード会社利用日時、加盟店名、金額、決済に至った経緯

銀行振込なら「振り込め詐欺救済法」の手続きがある

通称は振り込め詐欺救済法で、正式な法律名は出典欄に載せています。この法律は対象を「詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為」で、被害者からの預金口座等への振込みが使われたものと定めています。脅して振り込ませる行為も、条件によってはこの枠組みで扱われる可能性があります。

流れは、振込先口座の取引停止(凍結)、預金保険機構による公告、被害者からの申請、残高の分配の順です。全国銀行協会の説明では、手続きの途中に60日以上と30日以上の申出期間が設けられ、被害者が複数いれば振込額に応じた按分になります。口座に残高がなければ分配は受けられないため、凍結の依頼は1日でも早いほうが意味を持ちます。詳しい流れは振込した後の対処法で解説しています。

ギフトカード・暗号資産は時間との勝負

ギフトカードは、コードがまだ使われていなければ発行会社が利用を止められる場合がありますが、使われた後は難しくなります。暗号資産は送金の取り消しができない仕組みのため、交換業者への連絡は取り戻しよりも記録の確保と警察への情報提供が中心になると考えてください。ギフトカードを指定する要求の特徴は「ギフト券を買って送って」と言われたときでも触れています。

警察に渡す「支払いの経緯メモ」の作り方

警察に相談するとき、画面の保存に加えて時系列のメモがあると、話が早く進みます。書く道具は手帳でもスマホのメモアプリでも構わないので、次の項目を古い順に並べてみてください。

  • 相手と知り合った日と、使ったアプリやSNSの名前
  • ビデオ通話をした日時と、どのアプリで通話したか
  • 脅しが始まった日時と、最初に届いた文面の要旨
  • 払った日時、金額、手段、支払い先(口座名義、カード番号、送金先アドレスなど)
  • 払った後に届いた追加の要求の内容
  • 相手が使った別アカウントや電話番号

払った回数が多いと、細部を思い出すのがつらく感じられるかもしれません。分からないところは「不明」と書いておけば十分です。警察庁のサイバー事案に関する相談窓口では、e-Govの電子申請を使ってオンラインで相談を送ることもでき、スクリーンショットなどのファイルを添付できます。相談前に揃えるものは警察への相談・被害届の手順も参考にしてください。

相手が海外にいるらしいときに知っておきたいこと

相手の日本語が不自然だった、送金先が海外の口座や暗号資産だった、という相談は珍しくありません。Metaは2024年7月、金銭目的のセクストーションに関わっていたナイジェリアのInstagramアカウント約6万3,000件を削除したと公表しています。米国の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)も2025年9月の注意喚起で、この種の犯罪では暗号資産やプリペイドカードが使われやすいと指摘しています。

国外に渡ったお金の回収は、一般に国内の振込よりも難しくなりがちです。それでも、相談をあきらめる理由にはなりません。送金の途中で国内の口座が使われていれば凍結の対象になりうるうえ、同じ相手による別の被害を止める手がかりにもなるからです。相手の所在にかかわらず、記録を持って警察に相談してください。

「必ず取り戻せる」と持ちかけてくる連絡に注意

被害に遭った後、SNSの広告やダイレクトメッセージで「調査すれば取り戻せる」「着手金を払えば相手を特定できる」と声をかけられることがあります。弱っているときほど頼りたくなりますが、成功を約束する話にはいったん距離を置いてください。

  • 返金や回収を「必ず」「100%」と言い切っている
  • 契約前に費用の内訳や、誰が何をするのかを書面で示さない
  • 支払いを電子マネーや暗号資産で求める
  • 「今日中に申し込まないと手遅れ」と急がせる

相手に対して代理で請求や交渉ができるのは、弁護士などに限られます。依頼先に迷ったら、先に法テラスや消費者ホットライン188で相談先の選び方を確認すると安心です。返金の相談を受ける側の流れは相談から解決までのステップで紹介しています。

払った後の不安を一人で抱えないための相談先

お金を失ったことに加え、映像がどうなるか分からない不安が続くと、眠れなくなったり、通知音に身構えたりすることがあります。お金の手続きと心の負担は、別々の窓口に同時に頼ってかまいません。

  • #9110(警察相談専用電話):発信地を受け持つ警察本部などの窓口に自動でつながる全国共通番号です。今まさに危険が迫っているなら迷わず110番を。
  • サイバー犯罪の相談窓口:各都道府県警察の連絡先は警察庁が一覧にしており、ネットからの相談受付もあります。
  • 法テラスの「犯罪被害者支援ダイヤル」(0120-079714):平日9時から21時、土曜9時から17時。支援窓口の案内や、犯罪被害者支援の経験がある弁護士の紹介を受けられます。
  • #8891(はやくワンストップ):性暴力の被害を受けた人を支える各地のワンストップ支援センターのうち、最寄りの窓口に届きます。携帯電話やNTTのアナログ固定電話なら通話料はかかりません。
  • 違法・有害情報相談センター:映像がネットに載ったとき、削除依頼の方法をウェブフォームで相談できます。

どこか一つに連絡できれば、そこから次の窓口を案内してもらえます。

よくある質問

Q. 一度払ってしまったのに、今から警察に相談しても意味はありますか?

A. あります。支払いの記録は、振込先口座の凍結や相手をたどる手がかりになります。追加の要求を止めるためにも、#9110か最寄りの警察署に、支払いの記録と脅しの画面を持って相談してください。

Q. ビデオ通話の脅しで振り込んだお金に、振り込め詐欺救済法は使えますか?

A. この法律は対象を「詐欺その他の人の財産を害する罪」で振込みが使われたものと定めており、脅して振り込ませたケースも扱われる可能性があります。ただし口座に残高がなければ分配はありません。まず振込先の金融機関に連絡し、凍結を依頼してください。

Q. 相手が「全部消した」と言っています。もう安心してよいですか?

A. 消したかどうかを外から確かめる方法はありません。追加の要求が来ても応じず、やり取りの記録は残したままにしておいてください。映像が投稿されたときに備え、削除依頼の窓口を確認しておくと落ち着いて動けます。

Q. 家族に内緒でお金を用意してしまいました。どう打ち明ければよいですか?

A. 細かい経緯まで話す必要はありません。「脅されてお金を払ってしまった。警察に相談したいので付き添ってほしい」と用件だけ伝える方法があります。先に警察や#8891に相談して、伝え方を一緒に考えてもらうこともできます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。