友人や家族からビデオ通話の脅迫被害を打ち明けられたら|支え方と心のケアの窓口

友人や家族、パートナーから、「ビデオ通話を録画されて、ばらまくと脅されている」と打ち明けられた。あるいは、友人の紹介で知り合った相手とのあいだで、そんなことが起きてしまった。この記事は、被害を受けた本人と、その話を聞いた身近な人の両方に向けて書いています。

支える側に伝えたい結論はシンプルです。責めずに聞き、支払いを止め、窓口につなぐ。解決策を全部自分で用意する必要はありません。そして被害を受けた本人には、心の回復も「手続き」と同じくらい大切だということを知っておいてほしいと思います。

脅しへの具体的な対処は送った画像で脅されたときの対処にまとめているので、ここでは「人と人とのあいだ」でできることを中心に説明します。

打ち明けられた最初の10分で大切にしたいこと

こうした被害を打ち明けるには、大きな勇気が要ります。最初の受け止め方次第で、その人がこの先も助けを求められるかどうかが変わります。

かけたい言葉

  • 「話してくれてありがとう」
  • 「あなたは悪くない。悪いのは脅している人だよ」
  • 「一緒に考えよう。今すぐ全部決めなくていい」

避けたい言葉

  • 「なんでそんな人と通話したの」…理由を問うことが、責める響きになりがちです。
  • 「もっと気をつけないと」…今必要なのは反省ではなく安全です。
  • 「私なら絶対そんなことしない」…本人をさらに孤立させます。
  • 「大したことないよ」…励ますつもりでも、苦しさを否定されたように感じることがあります。

詳しい経緯や映像の内容を聞き出す必要はありません。本人が話したい範囲で聞き、沈黙が続いても急かさないでください。

一緒にやる実務|支える人ができる5つのこと

気持ちを受け止めたら、次は具体的な手伝いです。本人が一人でやるには負担が大きい作業ほど、支える人の出番があります。

  1. 支払いを止める。「払えば終わる」と考えている場合は、払っても確かめようがないことを一緒に確認します。お金を貸してほしいと言われたら、貸す前に警察への相談を提案してください。
  2. 記録を残すのを手伝う。相手のアカウント、脅しのメッセージ、要求された金額の画面を保存します。本人がつらければ、隣で操作を代わってもかまいません。
  3. 投稿の確認を代わる。映像が載っていないか探す作業は、本人にとって特に苦しいものです。代わりに確認し、見つけたらURLだけを控えます。映像そのものは保存も転送もしないでください。
  4. 相談に付き添う。警察署や窓口に一緒に行く、電話をかける横にいるだけでも心強さが違います。
  5. 日常を保つ。食事や睡眠がとれているか気にかけ、いつもどおりの会話も続けてください。

映像がネットに載った場合の削除依頼は削除依頼の手順、脅しが周囲の人に向いた場合の備えは家族や職場に送ると言われたときで説明しています。

友人の紹介で知り合った相手だったとき

共通の友人から紹介された相手に脅されると、「紹介した人も関わっているのでは」と疑ったり、紹介者との関係まで壊れることを恐れて黙ってしまったりしがちです。

  • 紹介者を問い詰めない。紹介者が相手の正体を知らなかった可能性もあります。反対に関わっていた場合、問い詰めることで証拠を消されるおそれもあります。
  • 紹介の経緯も記録する。いつ、誰から、どのアプリやグループで紹介されたかは、警察にとって大切な手がかりです。
  • 紹介者に伝えるかは警察と相談してから。ほかにも同じ相手を紹介された人がいるかもしれませんが、どう知らせるかは相談先の助言を聞いてから決めると安全です。

紹介者を信じた自分を責める必要はありません。知人の名前を信頼材料に使うのは、警戒を解かせるための手口の一つです。

被害のあとに起こりうる心と体の変化

脅しが止んだあとも、心が落ち着かない状態が続くことがあります。たとえば次のような変化です。

  • 眠れない、夜中に何度も目が覚める
  • スマホの通知音や知らない番号からの着信に強く身構える
  • ふとした瞬間に、通話の場面や脅しの文面を思い出してしまう
  • 「自分が悪かった」という考えが頭から離れない
  • 人に会うのがおっくうになる、食欲が落ちる

こうした反応は、怖い体験をした人に起こりうるもので、弱さの表れではありません。政府広報オンラインは、2週間以上続く不眠をうつのサインの一つとして挙げています。眠れない日が続く、日常生活に支障が出ている、と感じたら、専門の窓口や医療機関に相談してください。支える側は「様子がおかしい」と感じたら、窓口の利用を一緒に検討しましょう。

心のケアに使える公的な相談窓口

性的な被害に関する窓口と、気持ちの落ち込みに寄り添う窓口の両方があります。本人だけでなく、支える家族や友人が相談してもかまいません。

窓口番号・方法特徴
ワンストップ支援センター#8891性犯罪・性暴力の被害者を支援。医療・カウンセリング・法律相談の専門機関と連携
Cure Timeチャット・メール内閣府の事業による性暴力のSNS相談。毎日17時から21時、匿名で年齢・性別を問わない
警察の性犯罪被害相談電話#8103発信地の都道府県警察につながる。時間外は当直が対応
#いのちSOS0120-061-338「死にたい」「消えたい」気持ちを相談できる。24時間
よりそいホットライン0120-279-338さまざまな悩みを受け付ける。24時間
心の健康相談(全国統一の番号)0570-064-556各都道府県の相談窓口につながる。曜日・時間は地域による
犯罪被害者等電話サポートセンター0570-783-554全国被害者支援ネットワークの共通ナビダイヤル。7時30分から22時
法テラス(被害者向けの専用ダイヤル)0120-079714支援制度や弁護士の案内。平日9〜21時、土曜9〜17時

電話番号や受付時間は、厚生労働省「まもろうよ こころ」や各窓口の公式サイトで最新の情報を確かめてください。

どこにかけるか迷ったら、性的な被害のことなら#8891、気持ちの落ち込みが強いときは24時間の窓口、というように、今いちばんつらいことを基準に選んでください。

「消えたい」と言われたときに

脅しの恐怖や恥ずかしさから、「もう消えてしまいたい」と口にする人もいます。そう言われたら、話をそらさずに受け止めてください。

  • 「そう思うほどつらいんだね」と、気持ちをそのまま受け止める
  • 一人にしない。すぐに会えなければ、電話をつないだままにする
  • #いのちSOS(0120-061-338)など、24時間の窓口に一緒に電話する
  • 今まさに命の危険がある場合は、ためらわず110番か119番に連絡する

政府広報オンラインが紹介するメンタルヘルス・ファーストエイドの考え方では、「消えてしまいたいと思っていますか」「死にたいと思っていますか」とはっきり尋ねてみることが大切だとされています。遠回しにせず確かめることは、本人の気持ちを真剣に受け止めているという合図にもなります。話してくれたこと自体が、助けを求めるサインです。支える側だけで抱えず、専門の窓口の力を借りてください。

支える側が抱え込まないために

身近な人の被害を知ると、支える側も怒りや不安で眠れなくなることがあります。「自分が何とかしなければ」と気負うほど、疲れがたまっていきます。

  • 役割を分ける。気持ちを聞く人、記録や窓口への連絡を手伝う人など、可能なら複数人で支えます。
  • 秘密の範囲を確認する。誰にどこまで話してよいかを本人に確かめ、勝手に広げないようにします。
  • 自分のための相談も使う。上の窓口の多くは、家族や友人からの相談も受け付けています。

政府広報オンラインは、悩んでいる人に気づき、話を聞き、支援につなぎ、見守る人を「ゲートキーパー」と呼び、特別な資格は要らないと説明しています。家族や友人に求められているのは、専門家の代わりになることではなく、専門家につなぐ橋渡しです。

相手を探し出して懲らしめたい、という気持ちになるかもしれません。けれども、相手に接触すると被害が広がったり、支える側が新たな標的になったりするおそれがあります。対応は警察に任せてください。相談までの流れは警察への相談・被害届の手順が参考になります。

被害を受けた本人へ|回復のペースは人それぞれ

ここまで支える側に向けて書いてきましたが、最後に本人のあなたへ。脅しが止んでも、すぐに元の毎日に戻れるとは限りません。回復の速さは人によって違い、行きつ戻りつするのも自然なことです。

  • 通知を減らす。相手を思い出させるアプリの通知は切り、見る時間を決めてかまいません。記録の確認は支えてくれる人に任せましょう。
  • 「自分が悪い」という考えに気づいたら書き出す。書いた紙を信頼できる人に見せると、「それはあなたのせいじゃない」と言ってもらえます。
  • 眠る、食べる、を優先する。手続きが残っていても、体を休めることを後回しにしないでください。
  • 話したくない日は話さなくていい。窓口への相談も、気持ちが向いたときに再開すれば十分です。

あなたが打ち明けたことで、周りの人は力になれました。助けを求めたその行動は、弱さではなく、自分を守る力です。

よくある質問

Q. 友人から「誰にも言わないで」と頼まれました。警察に相談してもよいのでしょうか?

A. 本人の気持ちを尊重しつつ、「一緒に相談しに行こう」と提案するのがよいでしょう。どうしても本人が嫌がる場合は、名前を出さずに#9110や#8891に、支え方について相談することもできます。ただし命に関わる危険があるときは、ためらわず110番や119番に連絡してください。

Q. 友人の紹介で知り合った相手に脅されています。紹介者に知らせるべきですか?

A. 紹介者が関わっているかどうかは分かりません。先に紹介の経緯を記録し、警察に相談してから、誰にどう知らせるかを決めると安全です。紹介者を問い詰めると、証拠を消されるおそれもあります。

Q. 被害から時間が経っても眠れません。どこに相談すればよいですか?

A. 性的な被害に関わるつらさは、#8891のワンストップ支援センターやCure Timeで相談できます。気持ちの落ち込みが続くときは、24時間つながるよりそいホットライン(0120-279-338)や、住んでいる都道府県の相談窓口につながる0570-064-556も使えます。

Q. 家族として、相手に直接抗議してもよいですか?

A. おすすめしません。相手に接触すると、要求が家族に向かったり、被害が広がったりするおそれがあります。記録を残し、対応は警察に任せてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。