仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
2024年(令和6年)は、SNSをきっかけにした投資詐欺・ロマンス詐欺が統計上はっきりと跳ね上がった年でした。警察庁の確定値では、SNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は10,237件、被害額は1,271.9億円で、前年と比べて件数は約2.7倍、被害額は約2.8倍になっています。暗号資産は被害金の渡し方の一つとして使われ、ロマンス詐欺では約2割を占めました。
この記事では、2024年の数字と目立った手口、同じ年に始まった国の対策を公的機関の資料で確認したうえで、2025年の確定値と2026年上半期の暫定値まで追いかけます。2024年に被害に遭って今から相談を考えている人、当時の手口が今も続いているのか知りたい人に向けた内容です。統計に表れるのは警察が認知した被害だけで、届出のない被害は数字の外にあります。
警察庁が2025年5月に公表した令和6年の確定値の資料から、暗号資産にかかわる主な数字を抜き出しました。
| 項目 | 令和6年(2024年) |
|---|---|
| SNS型投資・ロマンス詐欺の合計 | 10,237件・1,271.9億円(前年比 件数+166.2%、被害額+179.4%) |
| うちSNS型投資詐欺 | 6,413件・871.1億円(被害額は前年の約3倍) |
| SNS型投資詐欺で被害金を主に暗号資産で渡したもの | 762件(11.9%)。振込が5,526件(86.2%) |
| うちSNS型ロマンス詐欺 | 3,824件・400.9億円 |
| SNS型ロマンス詐欺で被害金を主に暗号資産で渡したもの | 786件(20.6%)。振込が2,823件(73.8%) |
| 1日あたりの被害額(投資・ロマンス合計) | 3億4,752万円 |
| 既遂1件あたりの被害額(同) | 1,242.7万円 |
全国の消費生活センターなどに寄せられた暗号資産の相談件数(国民生活センターのPIO-NET登録分)を見ると、2024年度は7,261件で、2023年度の8,498件から減りました。相談件数そのものは前年度より減った一方、警察に届けられる被害の規模は大きく膨らんでいます。
2024年の時点では、被害金の渡し方の中心はまだ銀行振込で、暗号資産は投資詐欺で1割強、ロマンス詐欺で2割ほどでした。この比率が翌年以降に大きく動くことになります。
国民生活センターは2024年5月、有名人本人を装う、または有名人と知り合いだと装う投資の勧誘についての相談が、2022年度と比べて約9.6倍に増えていると公表しました。SNS上の広告から投資グループに誘われ、振込の後に「追加費用を払わないと出金できない」と言われるパターンが典型です。詳しい確かめ方は著名人投資広告からLINEグループへの誘導で扱っています。
国民生活センターが2024年1月に紹介した20代の相談では、投資サイトで一度は少額を出金できたものの、その後に送った分を引き出そうとすると、12%の税金として約86万円の支払いを求められていました。出金時の別払いは、この年に限らず繰り返し現れる形です。
同じ注意喚起には、知人に誘われて暗号資産の自動売買ソフトを50万円相当の暗号資産で購入したが、もうからなかったという相談も載っています。人を勧誘すると紹介料が入ると説明されていた点が特徴です。
2024年9月には、「いいねを押すだけ」などの簡単な作業で稼げるとうたう副業で、報酬を得る前に振り込みを求められる相談の増加が注意喚起されました。国民生活センターの暗号資産の相談事例にも、暗号資産のサイトでタスクをこなすと高額報酬がもらえると言われ、違約金を請求されたケースが挙がっています。
警察庁の資料には、特殊詐欺の被害金で暗号資産を買い、匿名で管理するソフトウェアウォレットに移したとして、2024年5月から8月までに3人を検挙した事例が載っています。暗号資産は、被害者に払わせる手段だけでなく、犯人側がお金を動かす手段としても使われています。
詐欺とは別の事件ですが、2024年5月には国内の暗号資産交換業者から約482億円相当の暗号資産が流出しました。警察庁は同年12月、米国の捜査機関とともに、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループ「TraderTraitor」によるものと特定したと公表しています。
相談の受け皿と、偽広告を削除につなげる仕組みが整ったのが2024年だったと言えます。金融庁への申告の使い分けは仮想通貨詐欺を金融庁に申告する方法で説明しています。
2024年以降、暗号資産で被害金を渡す割合は大きく伸びました。警察庁の令和7年(2025年)確定値と令和8年(2026年)上半期の暫定値から、主な数字を並べます。
| 区分 | 令和7年・2025年(確定値) | 令和8年上半期(暫定値) |
|---|---|---|
| SNS型投資詐欺 | 9,523件(1,288.0億円) | 5,893件(797.9億円) |
| SNS型投資詐欺のうち暗号資産を送らされたもの | 1,898件(215.5億円) | 1,288件(128.4億円) |
| SNS型ロマンス詐欺のうち暗号資産を送らされたもの | 2,177件(247.7億円) | 1,118件(141.8億円) |
| ニセ警察詐欺のうち暗号資産を送らされたもの | ― | 620件(110.3億円) |
| 特殊詐欺全体で暗号資産を送らされたもの | 1,243件(196.9億円)。SNS型投資・ロマンスを含まない | 3,498件(409.6億円)。SNS型投資・ロマンスを含む |
2025年のSNS型ロマンス詐欺では、暗号資産を送らされたケースと、交換業者の口座へ日本円を振り込ませたケースを合わせると、被害額の48.6%を占めました。2026年上半期はこの割合が58.7%まで上がり、銀行振込を上回っています。
注意したいのは、警察庁が2026年から集計の区分を変えた点です。SNS型投資・ロマンス詐欺を特殊詐欺の手口の一つとして位置付け直し、急増している「ニセ警察詐欺」を独立した手口にしました。2025年までの数字と単純に比べるときは、区分の違いを踏まえて読む必要があります。
消費生活センターの暗号資産の相談件数は、2025年度に8,132件と再び増えています。ロマンス詐欺の入口別の数字はロマンス詐欺の暗号資産被害の統計で詳しく扱っています。
ここからは公表データをもとにした筆者の見方です。
1つ目は、渡し方の中心が振込から暗号資産へ移りつつあることです。2024年のSNS型ロマンス詐欺で暗号資産による交付は約2割でしたが、2026年上半期には暗号資産を送らされた分だけで被害額の半分を超えました。銀行振込なら振込先の口座を凍結して残高から分配を受けられる可能性がありますが、暗号資産にはその仕組みがありません。取り戻しにくい渡し方に、被害が寄っているということです。
2つ目は、暗号資産を使う手口の幅が広がったことです。2024年の注意喚起は投資とロマンスが中心でしたが、2026年上半期には警察官を名乗る詐欺でも620件が暗号資産での送金でした。「捜査のため資産を暗号資産に換えて指定のアドレスへ」と言われる形も警戒の対象に入れる必要があります。
3つ目は、変わっていない部分もあることです。最初に少額の利益や出金を見せ、次に大きな額を入れさせ、出金時に税金や手数料を求める流れは、2024年の相談事例と今の相談事例でほとんど同じです。名目が新しくなっても、この順番に当てはまるかどうかで見分けられる場面は多いと考えます。
2024年から続く手口を踏まえると、送金の前に次の3点を確かめるだけでも多くの被害は避けられるはずです。
相談先は、警察相談専用電話#9110か最寄りの警察署、消費者ホットライン188、金融庁の投資詐欺向け相談ダイヤル(0570-050588)です。2024年に被害に遭い、まだどこにも相談していない人も、今から届け出ることに意味があります。時間の経過で使える手段が減ることもあるため、早めに動いてください。
A. 警察庁の確定値では、2024年のSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は合計1,271.9億円でした。暗号資産だけを分けた被害額の合計は示されていませんが、被害金を主に暗号資産で渡した件数は、投資詐欺で762件、ロマンス詐欺で786件でした。
A. 暗号資産で被害金を送らされるケースは増えています。SNS型ロマンス詐欺では、2026年上半期に暗号資産での送信と交換業者口座への振込を合わせて被害額の58.7%を占めました。ただし2026年から警察庁の集計区分が変わっているため、単純な比較には注意が必要です。
A. 遅すぎるということはありません。警察への届出は被害の把握や捜査の端緒になります。一方で、民法上の損害賠償請求権は、損害と加害者を知った時から3年で時効にかかるなど期限もあるため、早めに警察や弁護士に相談してください。期限の考え方は弁護士に相談するタイミングで説明しています。
A. 警察庁は、2024年5月に国内の暗号資産交換業者から約482億円相当の暗号資産が窃取された事件について、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループによるものと特定したと公表しています。利用者がだまされて送金する詐欺とは性質の異なるサイバー攻撃の事件です。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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