学生の恋人間のお金のトラブル|デートDVのサインと保護者ができること

この記事は、恋人とのお金の問題を抱えている10代から20代前半の学生本人と、その様子に気づいた保護者の両方に向けて書いています。先に要点を言うと、本人は「断っていい」「記録していい」、保護者は「責めずに聞く」「安全を先に確保する」。お金を取り戻す話は、その後で十分間に合います。

学生の交際で起きるお金の問題は、少額のおごりや立て替えから始まることが多く、周りから見えにくいのが特徴です。内閣府の調査や啓発資料で示されている実態を紹介したうえで、年齢によって変わる法律上の扱い、保護者が動くときの順番、相談先を整理しました。

学生の交際で起きやすい「お金による支配」

内閣府男女共同参画局の「男女間における暴力に関する調査(令和5年度調査)」では、交際相手がいた(いる)人のうち18.0%が、身体的暴行・心理的攻撃・経済的圧迫・性的強要のいずれかを交際相手から受けた経験があると答えています(女性22.7%、男性12.0%)。このうち「経済的圧迫」は、給料や貯金を勝手に使われる、デート代や生活費を無理やり払わされるなどと説明されており、10歳代に経験した人が0.9%、20歳代に経験した人が2.7%でした。

内閣府のデートDV啓発ページには、学生の日常に近い場面がいくつも紹介されています。

  • 記念日のたびに高価なプレゼントをねだられ、バイトを増やしても足りず、友達から借りるのも限界になる
  • バイト仲間と仲良くしていたら「辞めてほしい」と言われ、自由に使えるお金がなくなる
  • メッセージの返信が少し遅れただけで、居場所を問い詰められる

同じページでは、経済的な暴力の例として「デート費用を全く払わない」「借りたお金を返さない」「貯金を勝手に使う」も挙げられています。金額の大小ではなく、断れない、断ると怖いという状態になっているかどうかが見極めのポイントです。

内閣府は、「好きだから」「嫌われたくないから」という気持ちが先に立つと、自分では暴力だと気付けないことがあるとも指摘しています。暴力にはサイクルがあり、優しい時期と怖い時期を繰り返すうちに、逃げる機会や気力が奪われていくという説明です。学生の場合、同じ学校やバイト先、同じ友人グループの中で付き合っていることが多く、関係を切ると居場所まで失いそうに感じやすい点も、周りが知っておきたい事情です。

年齢で変わること:18歳未満と18歳以上

2022年4月から成年年齢は18歳になりました。高校3年生でも誕生日を迎えれば法律上は大人です。お金のトラブルでは、この境目で扱いが大きく変わります。

年齢法律上の主な違い気をつけたいこと
18歳未満民法5条により、親権者などの同意を得ずにした契約などの法律行為は、原則として取り消せる恋人同士の貸し借りやプレゼントに当てはまるかは個別の判断になる。性的な画像を求められる、送った画像で脅されるといった問題は警察への相談を優先
18歳・19歳一人で契約でき、未成年者取消しは使えない恋人に頼まれてローンやクレジット契約を組むと、自分の借金として残る
20歳以上の学生18・19歳と同じく成人として扱われる奨学金や仕送りを恋人に使われると、学業の継続にも響く

国民生活センターは若者向けの注意喚起で、未成年者の契約は親権者の同意がなければ取り消せる一方、大人になると一人で契約できる半面、原則として一方的にやめることはできないと説明しています。恋人から「バイトの給料では足りないから借りてきて」と言われた18歳・19歳は、その借金を背負うのが自分自身だという点を覚えておいてください。

日本貸金業協会の貸付自粛制度は、本人が申告すると新たな借入れをしにくくする仕組みです。未成年者の親権者など法定代理人は申告できるとされています。恋人に借金を迫られる状況が続くなら、選択肢の一つになります。

本人へ:お金を渡さないと嫌われそうで怖いとき

内閣府のデートDV啓発ページには、「別れることに相手のOKはいりません」という一文があります。付き合っているからといって、お金を出す義務も、出さない理由を説明する義務もありません。

とはいえ、すぐに関係を変えるのが難しいこともあるでしょう。そのときは次のことから始めてみてください。

  1. 記録をつける。いつ、いくら、何の名目で渡したか。メッセージのスクリーンショットは日付が入るように保存し、相手に見られない場所(自分だけが使うクラウドなど)にも残します。
  2. 友達から借りてまで払わない。友人関係まで壊れると、相談できる相手がいなくなります。
  3. 口座の暗証番号やスマホ決済のパスワードを教えていたら変える。変えたことで相手が怒りそうなら、先に相談窓口で安全な進め方を聞きます。
  4. 一人に話す。家族でなくても、学校のカウンセラーや保健室の先生、下記の窓口でも構いません。

相談できる主な窓口です。

  • DV相談+:0120-279-889(24時間)、チャットは12時から22時。配偶者だけでなくパートナーからの暴力も相談の対象です
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310
  • 子どもの人権110番(法務省):0120-007-110
  • 警察相談専用電話:#9110(危険が迫っているときは110番)

保護者へ:気づくきっかけと最初の声かけ

同じ内閣府の調査では、交際相手から被害を受けた人のうち「友人・知人に相談した」は48.6%でしたが、「家族や親戚に相談した」は13.4%、「学校関係者に相談した」は0.3%にとどまり、「どこ(だれ)にも相談しなかった」は39.1%でした。保護者が本人から打ち明けられる場面は、多くないと考えておいた方がよさそうです。

次のような変化があれば、お金の問題が起きているサインかもしれません。

  • 小遣いやバイト代がすぐになくなる、通帳やカードの残高を見せたがらない
  • バイトのシフトが急に増えた、あるいは急に辞めた
  • 友達からお金を借りている様子がある
  • スマホの通知に過敏になり、返信が遅れることを極端に怖がる
  • 恋人の話題になると表情が硬くなる

声をかけるときは、内閣府が周囲の人向けに示している接し方が参考になります。「あなたは悪くないよ」「話してくれてありがとう」と伝え、「なんで別れないの?」「なんでもっと早く言わなかったの?」と責めないこと。被害を受けている本人は、否定されると誰にも話せなくなってしまうおそれがあるためです。

筆者の考えでは、最初の会話の目標を「お金を取り返す」に置かない方がうまくいきます。まず本人が安全かどうか、次にこれ以上お金が出ていかないようにできるか。その順番で聞くと、本人も話しやすくなります。

保護者が動くときの順番

1. 安全の確認

暴力や脅し、つきまといがあるなら、お金の話より先に警察へ相談します。ストーカー規制法は令和7年に改正され、令和7年12月30日から、被害者が通う学校の長も被害者を援助するよう努める立場に加わりました。学校に事情を伝えることで、登下校の配慮などを相談しやすくなっています。

2. お金の流れを止める

本人名義の口座の暗証番号、ネットバンキング、スマホ決済のパスワードを本人と一緒に変えます。恋人にカードを預けているなら、カード会社に連絡して利用を止めます。

3. これまでの記録をまとめる

渡した日付・金額・名目を一覧にし、メッセージを保存します。証拠の残し方を参考にしてください。

4. 相手側との話し合いは慎重に

相手の保護者に直接連絡したくなる気持ちは自然ですが、関係がこじれて本人への当たりが強くなることもあります。本人の意向を確かめ、必要なら法テラス(0570-078374)や弁護士に相談してから進める方が安全です。貸したお金の返還の考え方は貸したお金の返還請求と証拠にまとめています。

5. 業者が関わっている場合

恋人のつもりだった相手から高額な商品や講座の契約を勧められた、という場合はデート商法の可能性があります。消費者ホットライン188に相談し、恋人商法(デート商法)での契約取消しもあわせて確認してください。

状況別の相談先早見表

こんなとき相談先
お金を求められて断れない、行動を管理されるDV相談+(0120-279-889、配偶者だけでなくパートナーからの暴力も対象)
18歳未満で、誰に話せばよいか分からない24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)、子どもの人権110番(0120-007-110)
脅された、つきまとわれている、画像をばらまくと言われた警察(#9110、緊急時は110番)
業者との契約やローンが絡んでいる消費者ホットライン188
貸したお金の返還、相手の親との交渉法テラス(0570-078374)、弁護士

若い世代の出会い系・SNSトラブル全般は10代・20代の出会い系トラブルで、相談の進め方はご相談の流れで解説しています。

よくある質問

Q. 高校生の子どもが恋人に数万円を貸して返ってきません。親が代わりに取り返せますか?

A. 子どもが18歳未満なら、親権者として相手側と話したり、専門家に相談したりすることは考えられます。ただし恋人同士の貸し借りが取り消しや返還の対象になるかは事情によります。まず貸した日付・金額・メッセージを記録し、法テラスや弁護士に相談してください。

Q. 大学生(18歳以上)の子どものことでも、親が相談窓口に電話してよいですか?

A. 家族として状況を伝え、助言を受けること自体はできます。警察の#9110や法テラスには、保護者の立場から事情を説明して相談してみてください。ただし成人である本人の意思が尊重されるため、手続きを進める段階では本人の同意が必要になる場面が出てきます。

Q. 子どもが「大丈夫」「恋人は悪くない」と言い張ります。どうすればいいですか?

A. 内閣府は、被害を受けている人を責めたり話を否定したりしないよう呼びかけています。説得よりも「いつでも話していい」と伝え続け、お金の流れだけは一緒に確認できる形を作るのが現実的です。保護者自身がDV相談+などに相談し、接し方の助言を受けることもできます。

Q. 恋人に頼まれて自分名義で借金をしてしまいました(19歳)。

A. 18歳以上の契約は未成年者取消しの対象外のため、借金は自分の名義で残ります。これ以上借りないために、日本貸金業協会の貸付自粛制度を検討してください。返済が難しい場合や、恋人に強く迫られて借りた事情がある場合は、法テラスや弁護士に早めに相談することをおすすめします。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。