ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
海外の現場で働くエンジニアだと名乗る相手に、お金は送れないと伝えた。あるいは、話の食い違いに気づいて返信をやめた。するとLINEの着信が一日に何十回も鳴り、+で始まる見知らぬ番号からも電話がかかってくる。「同僚」や「上司」を名乗る人物まで現れた。この記事は、そんな状況で連絡を断ちたい人に向けたものです。
先にお伝えしたいのは、相手を説得したり、詐欺だと認めさせたりする必要はないということです。やることは三つ。記録を保存する、連絡の経路を静かに一つずつ閉じる、脅しめいた言葉が来たら警察に相談する。固定電話なら、国際電話の着信そのものを無料で止める手続きもあります。
以下、断ったあとに起きやすいことから順に、具体的な手順をまとめます。
お金の話を断ったあと、相手の出方はいくつかの型に分かれます。前もって知っておくと、振り回されにくくなります。
外務省の注意喚起によれば、ロマンス詐欺は複数人で役割を分けて動くことが多く、友人や弁護士、空港係官を装う人物が加わる場合もあります。一年を超える時間をかけてから金銭を求める例まで紹介されています。それだけ手間をかけた相手ほど、断られてもすぐには引き下がらないと考えておいてください。
筆者は、この段階で相手の話の真偽を一つずつ確かめようとするより、連絡そのものを減らすほうが、心身の負担も被害の拡大も小さくできると考えています。
連絡を断つ前に、あとで警察や金融機関に説明するための記録を確保します。アカウントを消されたり、自分でトークを削除したりすると取り戻せないので、順番を守ってください。
保存した画像やファイルは、端末が壊れたり初期化されたりしても残るよう、別の場所にもコピーしておきましょう。整理の仕方は証拠の残し方を参考にしてください。
記録を取っていることや、警察に相談するつもりでいることを、相手に知らせる必要はありません。知らせると、アカウントを消されたり、送ったメッセージを取り消されたりして、手元に残るはずだった記録が減ることがあります。最後に一言だけ送りたくなっても、保存が終わるまでは黙って作業を進めるほうが安全です。
記録を残したら、やり取りの場所ごとに通報とブロックをしていきます。LINEの公式ガイドでは、次のような通報の方法が案内されています。
LINEによると、通報を受けると運営会社が調査し、利用規約に反する行為が確認できれば対応します。通報したことが相手に伝わることはない、とも明記されています。警察庁の統計によると、2025年の1年間に警察からLINEヤフー社へ情報が提供されたアカウントは、SNS型投資・ロマンス詐欺に限っても9,505件にのぼります。一件ずつの通報が、同じアカウントによる次の被害を防ぐきっかけにもなります。
あわせて、LINEの設定で、IDや電話番号から知らない人に友だち追加されないようにしておくと、別アカウントからの再接触を減らせます。FacebookやInstagram、Xなど最初に知り合ったSNSでも、同じように報告してからブロックします。新しいアカウントから連絡が来たときも、返事はせずに保存と通報を繰り返してください。
警察庁によると、2025年に特殊詐欺に使われた電話番号のうち約75.5%が国際電話番号でした。ロマンス詐欺の連絡はLINEなどのアプリが中心ですが、関係者を名乗る電話が国際番号でかかってくることもあります。+81以外の国番号で始まる番号には注意が必要です。
固定電話の場合は、国際電話の利用休止を無料で申し込めます。
携帯電話の場合、警察庁は次のような着信設定の見直しを勧めています。
見知らぬ国際番号からの着信には、出ない・折り返さないを基本にしておくと迷いが減ります。
連絡を断とうとすると、強い言葉で引き戻そうとされることがあります。届いた言葉ごとに、考え方と動く先を整理しました。
| 届いた言葉の例 | 考えたいこと | 動く先 |
|---|---|---|
| 「訴える」「弁護士から連絡させる」 | 正式な法的手続きなら、SNSのメッセージだけで支払いを迫る形にはなりにくい | 慌てて払わず、不安なら法テラスや弁護士に相談 |
| 「やり取りや写真をばらまく」 | 要求に応じても止まる保証はない | 警察署に相談(画像で脅されたときの対処) |
| 「倒れた」「死んでしまう」 | 本当に命に関わるなら、現地の救急や警察が対応する。送金で解決する話ではない | 気持ちが揺れたら、家族や相談窓口に話す |
| 「住所は知っている」「会いに行く」 | 身の安全を優先する | 最寄りの警察署。差し迫った危険があれば110番 |
脅しの言葉も、そのまま保存しておけば相談の際の資料になります。返信して言い返す必要はありません。相手の言葉が本気かどうかを自分で見極めようとせず、怖いと感じた時点で警察に話してかまいません。相談したことで何かを失うことはありません。
連絡を断つと決めても、気持ちがすぐについてくるとは限りません。長く毎日やり取りしてきた相手なら、なおさらです。「本当は本物だったのでは」「冷たくしすぎたのでは」と考えてしまうのは、ごく自然なことです。
揺れたときのために、次のような工夫をしておくと楽になります。
国民生活センターの報道発表資料も、国際ロマンス詐欺ではお金の救済が難しいうえに、信じていた相手に裏切られた心の負担も重くなると書いています。眠れない、仕事が手につかないといった状態が続くなら、お金のことと切り離して、心の相談窓口を使うことも考えてください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSで話せる相談先が紹介されています。
家族に打ち明けるときの話し方は、送金後に家族へ話すときの記事で扱っています。
相手との連絡が途絶えたころ、「被害金を取り戻せる」「相手の口座を突き止めた」と持ちかける連絡が届くことがあります。着手金や調査費を先に求められたら、その場で契約しないでください。前払いを求める点で、これまでの請求と同じ構図になっているおそれがあります。見分け方は「取り戻せる」という電話が来たときでも扱っています。
送ってしまったお金について動くなら、次の順が基本です。
連絡を断ったからといって、こうした手続きができなくなるわけではありません。安心して、まず自分の安全と気持ちの落ち着きを優先してください。
A. 伝わりません。LINEのガイドに、通報の事実は相手に知らされないと書かれています。通報の前に、トークや相手のプロフィールを保存しておいてください。
A. 返信せずに、届いた画面を保存して通報とブロックを繰り返してください。LINEの設定で、IDや電話番号から友だち追加されないようにしておくと再接触を減らせます。続く場合は、記録をまとめて警察署に相談してください。
A. 出ない、折り返さないを基本にしてください。携帯電話なら着信拒否や留守番電話の活用、固定電話は、0120-210-364の受付センターに申し込めば国際電話の着信そのものを止められます。
A. 相手とのやり取りを続けても、返金につながるとは限りません。振込先口座の凍結や警察への相談は、相手と連絡を取らなくても進められます。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。