有名人を名乗る電話で個人情報を話してしまったら|伝えた内容別の対処

知らない番号からの電話に出たら、有名人本人や、そのマネージャー、ファンクラブの事務局を名乗る相手だった。「当選したので発送先を」「本人確認のために」と言われるまま、住所や生年月日、場合によってはカード番号やスマホに届いた確認コードまで口にしてしまった。電話を切ってから不安になり、この記事にたどり着いた方もいると思います。

先にお伝えしたいのは、話してしまった情報の種類によって、急ぐべき度合いと連絡する先がまったく違うということです。

  • お金に直結する情報(カード番号、口座と暗証番号、ネットバンキングのID・パスワード、SMSの認証コード)は、今日のうちに発行元へ連絡する
  • なりすましの材料になる情報(本人確認書類、生年月日と住所の組み合わせ)は、悪用に備えた手当てをする
  • 連絡先(電話番号、メールアドレス)は、次にかかってくる勧誘や「返金できます」という連絡に備える

相手が本当に有名人の関係者だったかどうかは、後回しでかまいません。まずは手元の被害を広げないことを優先してください。

有名人を名乗る電話で聞き出されやすい情報

消費者庁は、サクラサイトの誘い文句の型として、出会いを持ちかけるもののほかに、心を病んだ芸能人を支えてほしいと同情を引くものや、大金が手に入ると思わせるものを挙げています。電話はこうした筋書きを、声の親しさでいっそう信じ込ませやすい手段です。警察庁が公表した令和7年の統計でも、SNS型ロマンス詐欺で詐称された職業として、投資家や会社員と並び「芸術・芸能関係」が挙がっています。

有名人やその周辺を名乗る電話で、情報を聞き出す口実としてよく使われるのは、次のような話です。

口実求められやすい情報
ファンクラブの抽選に当たった、プレゼントを送る住所、氏名、電話番号
本人確認が必要、年齢を確かめたい生年月日、運転免許証などの写真
謝礼や支援金を振り込みたい口座番号、名義、場合によっては暗証番号
会員登録の手続きを代わりにするカード番号、SMSで届く認証コード

どれも、本物の事務所やファンクラブが突然の電話で求める理由はほとんどありません。表のどこかに心当たりがあれば、以下の該当する見出しから読み進めてください。

最初の10分でやること:話した内容を書き出す

慌てて電話をかけ回る前に、紙かスマホのメモに次のことを書き出します。後で窓口に説明するときにも、そのまま使えます。

  1. 電話を受けた日時と、着信履歴に残っている番号(画面を保存しておく)
  2. 相手が名乗った名前、所属、有名人の名前
  3. こちらが話した情報を、思い出せる限りすべて
  4. 相手から言われた今後の予定(「また電話する」「SMSを送る」など)

書き出したら、上の3分類のどれに当たるかを印を付けて分けます。「お金に直結する情報」に1つでも印が付いたら、次の見出しの手当てを最優先にしてください。

カード番号・口座・暗証番号・認証コードを伝えた場合

ここに当たる情報は、使われるまでの時間が短いことがあります。今日のうちに、それぞれの発行元へ連絡してください。

伝えた情報連絡先頼むこと
クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコードカード裏面の電話番号利用停止と再発行、身に覚えのない請求がないかの確認
銀行の口座番号と暗証番号、キャッシュカード取引銀行の紛失・盗難窓口口座やカードの利用停止
ネットバンキングやキャッシュレス決済のID・パスワード各サービスの窓口パスワード変更、ログイン履歴と連携サービスの確認
SMSで届いた認証コードそのコードを送ってきたサービスの窓口何の手続きに使われたかの確認と停止

警察庁は、警察官が電話などで暗証番号を含むパスワードを教えるよう求めることはないと明言しています。同じことは、芸能事務所やファンクラブにも当てはまると考えてよいでしょう。電話で暗証番号や認証コードを聞かれた時点で、相手の目的は手続きではなかったと受け止めてください。

また警察庁は、キャッシュレス決済サービスを通じて銀行口座から不正に出金される被害について、過去に暗証番号などが漏れた心当たりがあれば、警察に相談するときに申し出るよう呼びかけています。今回の電話がそれに当たるので、相談の際に伝えてください。

本人確認書類や生年月日を伝えた場合

運転免許証やマイナンバーカードの写真を送った、生年月日と住所をまとめて伝えた、という場合は、その情報を使った「なりすまし契約」に備えます。すぐにお金が動くとは限りませんが、放っておかないほうがよい情報です。

  • 最寄りの警察署か#9110に、情報を渡した経緯を相談し、相談した日付と担当窓口を控えておく
  • 身に覚えのない携帯電話の契約通知、カードの発行案内、ローンの審査連絡が届かないか、しばらく郵便物とメールに注意する
  • 信用情報機関の本人開示を使うと、自分名義の契約やローンの申込み状況を確かめられる。本人申告の仕組みを設けている機関もあるので、各機関の案内を確認する

本人確認書類の画像は、一度渡すと取り戻せません。今後も、電話やメッセージで写真を送るよう求められたら、理由を問わず断ってください。

電話番号・住所・メールアドレスだけを伝えた場合

お金や身分証に関わる情報を話していなければ、直ちに被害が出る可能性は高くありません。ただし、連絡先はそのまま次の勧誘に使われます。気を付けたいのは、同じ相手が別の名目で連絡してくることと、まったく別の人物を装った連絡が来ることです。

国民生活センターが公表している事例には、センター職員をかたる人物から、以前使った出会い系サイトで重ねて課金された覚えがないかと尋ね、示談金を払えると持ちかけるメールが届いたものがあります。センターは、相談を受けたことのない人へ自分から電話やメールをすることはないと呼びかけています。一度応じた人の連絡先は、こうした「取り戻し」をうたう連絡にも使われうると考えておきましょう。

次のような備えをしておくと安心です。

  • 今回の番号を着信拒否にする。知らない番号には出ず、留守番電話に用件を残してもらう
  • 自宅の固定電話やひかり電話に海外からの着信があるなら、0120-210-364(国際電話不取扱受付センター)に申し込んで、国際電話の着信を無料で止めてもらう
  • SMSやメールで届いたURLは開かない

着信を減らす設定をもう少し詳しく知りたい方は、芸能人のマネージャーを名乗る電話への対応も参考にしてください。

折り返しと確認の電話で、傷口を広げないために

不安なときほど、相手に電話をかけ直して「さっきの話を取り消したい」と言いたくなります。けれども、相手の番号に折り返すと、そこで新しい話を持ちかけられ、さらに情報を聞き出されることがあります。取り消しや確認は、次の順番で行ってください。

  1. カード会社や銀行などへの連絡は、カードの裏面や公式サイトに載っている番号を自分で調べてかける
  2. 有名人の関係者かどうかを確かめたいときは、所属事務所の公式サイトにある問い合わせ窓口を使う
  3. 相手の番号には折り返さない。相手から再びかかってきても、「家族と相談する」とだけ伝えて切る

電話番号から相手をたどれるのか、という点については、電話番号や振込口座から運営会社は分かるのかを扱った記事で、個人でできる範囲とできない範囲を説明しています。

家族が有名人を名乗る電話を受けていると気づいたら

電話の被害は、本人が周りに話さないうちに進むことがあります。親やきょうだいが「有名人から電話が来る」「当選したらしい」と話していたり、知らない番号との通話が急に増えていたりしたら、早めに声をかけてください。

そのとき、「だまされている」と頭から言うのは避けたほうが無難です。本人は相手との会話を大切に思っていることが多く、否定されると隠すようになりかねません。代わりに、次のような聞き方をすると話を引き出しやすくなります。

  • 「その人に、住所やカードのことを聞かれたことはある?」
  • 「事務所の公式サイトで、一緒に確かめてみない?」
  • 「何か送ったり払ったりしたものがあれば、メモにしておこう」

この記事の分類に当てはまる情報を話していたと分かったら、本人と一緒にカード会社や銀行へ連絡し、188にも家族として相談してください。本人が電話口に出られないときでも、家族からの相談は受け付けてもらえます。

相談先と、持っていくメモ

書き出したメモ、着信履歴の画面、カード会社や銀行に連絡した記録(日時と担当窓口)をそろえたうえで、次の窓口に相談してください。

  • お金や契約の被害が出ている、出そうなとき:消費者ホットライン(188)で最寄りの消費生活センターにつないでもらう
  • だまされた、脅された、本人確認書類を渡したとき:警察の相談窓口(#9110)、または最寄りの警察署
  • ネットバンキングやキャッシュレス決済で不正な出金があったとき:金融機関に加えて、都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口

電話のやり取りは、メッセージと違って形に残りにくいものです。記憶が新しいうちに書いたメモは、それだけで大切な記録になります。残し方の全体像は証拠の残し方にまとめています。

よくある質問

Q. 有名人を名乗る電話の声が、テレビで聞く本人の声にそっくりでした。本物ではないのですか?

A. 声が似ていることは、本人である証拠になりません。警察庁は、著名人をかたる動画広告について、口の動きと声が合わないといった不自然さを特徴に挙げています。声の印象ではなく、所属事務所の公式窓口で確かめてください。

Q. カード番号を伝えましたが、まだ不正な請求はありません。連絡は必要ですか?

A. 請求がなくても、カード会社に伝えた経緯を説明し、利用停止や再発行が必要かを相談してください。不正な利用は、時間を置いてから行われることもあります。

Q. 通話を録音していません。相談しても意味がありますか?

A. 意味はあります。着信履歴の画面と、電話の直後に書いたメモがあれば、窓口は状況をつかめます。相手の番号、名乗った名前、話した内容、言われた今後の予定を、日時とあわせて書き残してください。

Q. その後、「被害を取り戻せる」という電話がかかってきました。

A. 応じないでください。公的機関や弁護士を名乗っていても、先に費用を求めたり、個人情報を聞き出したりする連絡には答えず、公式サイトで自分で調べた番号に確認してください。迷ったら188に相談できます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。