インスタのDMで弁護士を名乗る相手に費用を求められたら|なりすましアカウントの見分け方

先にお伝えしたいのは、頼んでもいないのにInstagramのDMで「弁護士です」と連絡してくる相手には、費用を払う前に必ず本人確認をしてほしいということです。日本弁護士連合会(日弁連)の業務広告のルールでは、弁護士が面識のない人にSNSのメッセージ機能で勧誘を送ることは原則として禁じられています。フォローし合っている相手でも同じです。

一方で、実在する弁護士の名前や顔写真を無断で使ったアカウントやウェブサイトが確認されていると、第一東京弁護士会などが公表しています。この記事は、詐欺の被害をインスタに投稿したあと、あるいは返金に関する投稿に反応したあとで、弁護士や法律事務所を名乗るDMを受け取った人に向けて、アカウントの見分け方と確かめ方をまとめたものです。

インスタのDMで届く「弁護士」からの連絡はどんな形か

フォローしていない相手からのメッセージは、Instagramでは通常「メッセージリクエスト」に入ります。そこに弁護士や事務所の名前で届く連絡には、次のような特徴が重なりやすいと考えられます。

  • 被害を打ち明けた投稿やストーリーズ、ハッシュタグ付きの投稿のあとで、見知らぬアカウントから連絡が来る
  • 「あなたのケースは取り戻せる可能性が高い」「今なら着手金を減額できる」と、被害内容を詳しく聞く前から見込みを示す
  • プロフィールに弁護士バッジの画像、法廷や六法全書の写真、ひまわりの記章のイラストが並んでいる
  • やり取りの途中でLINEやTelegramなど別のアプリに移るよう求める
  • 支払いの話になると、事務所名とは違う名義の口座や電子マネーを指定してくる

返金の話と一緒に聞き出されやすい情報

「状況を確認するため」として、被害額、振り込んだ口座、相手とのやり取りの画像、運転免許証やマイナンバーカードの写真、銀行のアプリ画面などを送るよう求められることがあります。被害の詳しい中身は、本来は面談の場で弁護士に渡すものです。DMの段階で身分証や口座の情報まで送る必要はありません。

第一東京弁護士会の2024年12月の注意喚起では、実在する弁護士や事務所を名乗り、被害金の返金手続に必要だとして供託金や証拠金を求め、匿名性の高いSNSでの連絡を指示した例が紹介されています。インスタのDMはその入口として使われうる場所です。

弁護士がDMで勧誘すること自体、日弁連の規程で禁じられている

日弁連の「業務広告に関する指針」は、面識のない人への訪問や電話による広告だけでなく、電子メールやSMS、SNSのメッセージ機能を使った広告も規程違反にあたると整理しています。理由として、弁護士に言葉巧みに勧誘されると利用者が十分に考える機会がないまま依頼してしまうおそれを挙げています。

「フォローし合っている」「診断フォームに入力した」は承諾にならない

同じ指針は、SNS上で友だち登録や相互フォローをしていても「面識のない者」に当たり、承諾を得たことにはならないと明記しています。さらに、詐欺の被害金の返金可能性を調べる「無料診断」のようなページに連絡先を入力させた場合でも、原則として勧誘の承諾にはならないとしています。

つまり、あなたから相談を申し込んでいないのに弁護士名義のDMが来た時点で、本物の弁護士のふるまいとしては不自然です。本物の弁護士が規程に反している可能性もありますが、どちらにしても、そのDMの相手に急いでお金を払う理由にはなりません。

なお、弁護士でない者が「弁護士」「法律事務所」と表示することは弁護士法74条で禁じられ、違反には100万円以下の罰金が定められています(同法77条の2)。アカウント名に「弁護士」「法律事務所」と入っていることは、資格を持っている証明にはならないと考えてください。

プロフィール画面で確かめたい6つの点

アカウントの見た目は簡単に作り込めるため、以下は「怪しさに気づくための材料」です。すべて問題がなくても、本人確認の代わりにはなりません。

  1. 「このアカウントについて」:プロフィール右上のメニューから開くと、利用開始日や過去のユーザーネームの変更回数が表示されます。開設から日が浅い、名前を何度も変えているといった点は注意材料です。
  2. ユーザーネームの綴り:実在の事務所名に似せて、記号や数字を足したものがないか。
  3. 投稿の中身:画像素材のような写真ばかりで、事務所の所在地や所属弁護士会の記載がない。
  4. リンク先:プロフィールのURLが事務所の公式ドメインか、短縮URLや無料作成のページではないか。
  5. 公式サイトからの導線:事務所の公式サイトにそのインスタアカウントが載っているか。載っていなければ公式とは言えません。
  6. なりすましの告知:日弁連によると、弁護士の所属事務所のサイトで「自分は関与していない」と公表されている場合があります。名乗られた事務所のお知らせ欄を開いてみてください。

本人かどうかを確かめる手順

確かめ方の基本は、相手から渡された連絡先を使わないことです。東京弁護士会や第二東京弁護士会は、日弁連の弁護士検索で事務所の電話番号を調べ、そこへ電話して真偽を確かめるよう案内しています。

  1. DMで名乗られた氏名・事務所名をメモする(スクリーンショットも残す)。
  2. 日弁連の「弁護士情報検索」で氏名を入れ、登録の有無、所属弁護士会、事務所名と電話番号を見る。
  3. 検索で出た番号に自分から電話し、「Instagramでこういう連絡を送っていますか」と尋ねる。
  4. 事務所が関与を否定したら、DMには返信せずに記録を保存し、アカウントを報告する。

事務所に電話したときに聞くこと

  • その弁護士が事務所に在籍しているか
  • 事務所としてInstagramのアカウントを持っているか、そのユーザーネームは何か
  • DMで返金の案内や費用の請求をしているか
  • 指定された振込先が事務所のものか

検索で同じ名前の弁護士が見つかっても、それだけで安心しないでください。東京弁護士会は、偽の身分証に実在の弁護士の氏名・登録番号・顔写真が使われた例を挙げています。確認の決め手は、事務所への電話で本人とつながることです。

なりすましアカウントを見つけたときの報告と記録

ブロックや報告の前に、まず記録を取ります。消されてしまうと後から見返せないからです。

  • DMのやり取り全体(日時が分かるように)
  • プロフィール画面、ユーザーネーム、「このアカウントについて」の表示
  • 送られてきたURL、身分証や委任状の画像、振込先の情報

保存のコツは証拠の残し方で詳しく説明しています。記録が済んだら、Instagramのプロフィールのメニューから「報告」を選び、なりすましを理由に報告します。ヘルプセンターには、本人や知り合いになりすましたアカウントを報告する手順が案内されています。名前を使われた事務所に連絡すれば、事務所側でも対応を検討できます。

本物の弁護士に依頼するときはどう進むのか

比べる物差しとして、本物の弁護士に被害回復を頼むときの手順も知っておくと役に立ちます。日弁連の会規である弁護士職務基本規程には、依頼を受ける弁護士が守るべきことがいくつも書かれています。

  • 依頼者から聞いた事情をもとに、見通し・進め方・報酬や実費を説明する(29条1項)
  • 結果がうまくいくと請け合わない、保証しない(29条2項)
  • 見込みがないのに、あるように見せかけて引き受けない(29条3項)
  • 報酬の取り決めを含む委任契約書を原則として作る(30条)

また日弁連は、依頼の前に弁護士と直接会って話し、取り戻せる見込みや疑問点をその場で確かめることを勧めています。DMの文面だけで「ほぼ確実に戻ります」と言われ、書面も面談もなく着手金の振込先だけが送られてくる状況は、ここに挙げた手順のどれにも当てはまりません。迷ったら、その違和感を理由に一度手を止めて大丈夫です。

DMの相手にお金や個人情報を送ってしまったとき

支払いをしてしまった場合は、追加の請求には応じず、支払手段ごとに急いで動きます。

  • 振込:振り込んだ金融機関へ連絡して相手口座の状況を伝え、警察に被害を相談する。
  • クレジットカード:カード会社に不正や詐欺の可能性がある支払いとして連絡し、今後の請求の扱いを相談する。
  • 電子マネー・ギフトカード:発行元の窓口へカード番号と購入時のレシートを伝える。

運転免許証などの本人確認書類の画像をDMで送ってしまったときは、その事実も警察に伝えてください。身に覚えのない契約や口座の開設に使われないか、しばらく郵便物や利用明細に気を配ると安心です。

被害の相談は警察(#9110)へ、支払いや契約の揉めごとは消費生活センター(188)へ。本物の弁護士を探すときは、各地の弁護士会が開く法律相談センターを入口にしてください。相談前に準備しておくものは弁護士への法律相談の準備と当日の流れ、窓口ごとの役割は詐欺の相談先を役割で選ぶにまとめています。

よくある質問

Q. インスタで相互フォローしている弁護士から返金の案内DMが来ました。本物ですか?

A. 相互フォローがあっても本物とは限りません。日弁連の業務広告に関する指針では、SNSでの相互フォローは勧誘の承諾にならないとされています。事務所の番号は日弁連の弁護士情報検索で調べ、その番号にこちらからかけて本人の関与を尋ねるのが確実です。

Q. プロフィールに認証バッジが付いていれば安心ですか?

A. バッジは確認材料の一つにすぎません。弁護士としての登録や、その事務所が本当に連絡しているかは、日弁連の検索と事務所への電話でしか確かめられません。

Q. 「無料診断」に入力したら弁護士からDMが来ました。自分で申し込んだことになりますか?

A. 日弁連の指針では、返金可能性の無料診断のようなページに連絡先を入力しても、原則として勧誘の承諾にはならないと整理されています。依頼するかどうかは、面談で説明を受けてから決めて構いません。

Q. DMの相手をブロックしてもいいですか?

A. ブロックすると相手の表示やメッセージを確認しにくくなることがあります。先にやり取りやプロフィールを保存し、Instagramへの報告を済ませてからブロックすると後で困りません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。