ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
恋愛の相手から投資を勧められ、その先で「先生」や「サポート窓口」が登場する。こうした流れは、恋愛で信用させる手口と、投資の名目でお金を集める手口が一本につながったものです。警察庁の説明では、恋愛を装う詐欺のうち7割以上が、投資の勧誘などを通じてお金を奪う手口です。いまやロマンス詐欺の中心にある型といってよいでしょう。
この記事は、恋人や親しくなった相手から投資アプリ・取引サイト・暗号資産の購入を勧められている方、すでに入金を始めてしまった方に向けたものです。2つの手口がどこでつながり、誰がどの場面を担当しているのかを分解して説明します。仕組みが見えれば、自分がいまどの段階にいて、どこで止まればよいのかを判断しやすくなります。
警察庁は、SNSなどで一度も会わないまま関係を深め、お金をだまし取る詐欺を2つに分けて集計しています。恋愛感情や親近感を抱かせてだまし取るものが「SNS型ロマンス詐欺」、投資金や利益の出金手数料といった名目でだまし取るものが「SNS型投資詐欺」です。投資の名目が使われていても、恋愛感情や親近感を利用していれば、ロマンス詐欺の側に数えられます。
そのため統計上のロマンス詐欺には、恋人を名乗る相手に投資させられた被害が多く含まれます。警察庁の確定値によれば、2025年の1年間で認知されたSNS型ロマンス詐欺は5,645件、被害の総額は546.4億円です。お金の渡し方で分けると、銀行振込が3,055件(54.1%)、暗号資産を直接送る形が2,177件(38.6%)でした。暗号資産を送る形は前年の約2.8倍に増えており、投資話と組み合わさった被害の伸びがうかがえます。
被害に気づいた方の中には、「恋人に頼まれて貸しただけ」「投資は自分で決めた」と、2つを別々の出来事として受け止める方がいます。けれども、恋愛の相手が投資先を指定し、入金方法まで指示していたのなら、どちらも同じ筋書きの一部と考えるほうが実態に近いはずです。警察や相談窓口に話すときも、恋愛のやり取りと投資の記録を切り離さずに伝えてください。
国民生活センター、警察庁、金融庁が公表している事例をもとに、恋愛と投資のつなぎ方を整理すると次の4つに分けられます。
| 型 | 入口 | お金を払わせる場面 |
|---|---|---|
| 恋愛から投資アプリへ | マッチングアプリやSNSのDMで知り合った恋人候補 | 相手が案内する取引アプリ・サイトへ入金。利益が表示された後、出金時に手数料や税金を求められる |
| 恋愛から暗号資産へ | 同上 | 国内の交換業者で暗号資産を買わせ、相手が指定するアドレスや海外の取引サイトへ送らせる |
| 恋愛から副業・ネットショップへ | 同上 | ネットショップの運営などを勧め、仕入れ代や売上を引き出すための保証金を払わせる |
| 投資グループから個別の恋愛へ | 著名人をかたる広告から入ったLINEの投資グループ | グループの参加者を名乗る人物が個別に親しく連絡し、追加の入金を後押しする |
国民生活センターは2022年3月、ロマンス投資詐欺の相談が2018年度の12件から2020年度には109件、2021年度は12月末時点で187件に増え、その大半が投資などに関わるものだったと公表しました。4つ目の型のように、恋愛が最初ではなく途中から加わる例もあります。「恋愛から始まった話かどうか」だけで見分けようとしないことが大切です。
型ごとの詳しい流れは、LINEグループで口座開設を手伝うと言われた場合や恋人に暗号資産の買い方を教わっている場合でも取り上げています。
組み合わせ型の特徴は、1人の相手がすべてを話すのではなく、場面ごとに別の人物が入れ替わって登場することです。外務省の注意喚起(2025年4月)も、詐欺師が集団で動き、友人・弁護士・空港の係官になりすまして口裏を合わせることもあると書いています。
恋人役は「私も先生の言うとおりにしているだけ」と一歩引いた位置に立ち、お金の指示は別の人物から出されます。被害に遭う側は、恋人を疑う気持ちと投資の判断を別々に考えてしまいがちです。
編集部の考えは明確です。恋愛の相手が紹介した人物からお金の指示が出た時点で、その人物も同じグループの一員と見なしてください。紹介した側と指示する側がつながっている以上、恋人がどれだけ誠実に見えても、投資先の安全性を確かめたことにはならないからです。恋人役と先生役が同じLINEグループで発言している場合の見分け方はFXのLINEグループの役割の見分け方で詳しく説明しています。
組み合わせ型は、段階を追うごとに金額が大きくなります。自分がいまどこにいるかを確かめ、次の段階へ進む前に立ち止まってください。
警察庁によると、2026年1〜6月のSNS型ロマンス詐欺は、既遂1件あたりの被害額が984.1万円でした。少額から始まって大きく膨らむ構造だからこそ、2つ目か3つ目の段階で止まれるかどうかが被害の大きさを左右します。
組み合わせ型では、お金の流れが1本とは限りません。送金先ごとに連絡する窓口が変わるため、通帳やアプリの明細を並べて仕分けしてください。
振込先の金融機関と警察に、できるだけ早く連絡して口座の凍結を求めます。根拠になるのは振り込め詐欺救済法です。金融庁のページには、SNS型の投資・ロマンス詐欺であっても、口座への振込が使われていれば同法の救済対象になると明記されています。凍結までに引き出されずに済んだ残高は、預金保険機構による公告の手続きを踏んだうえで、被害回復分配金として申請者に配られます。ただし残高が1,000円未満なら支払いはなく、複数の被害者がいれば残高を被害額に応じて分け合う形になるため、全額が戻るとは限りません。
送った後に取り戻すのは難しいとされています。それでも、利用した交換業者と警察に、送金した日時・数量・送金先アドレス・トランザクションIDを伝えてください。交換業者に日本円を振り込んだ記録も一緒に残しておきます。
銀行振込なら、上と同じく金融機関と警察に連絡します。海外送金サービスや電子マネーを使った場合は、それぞれの事業者の窓口に取引の停止や調査ができないかを問い合わせます。送金の方法別の手順は送金方法別の対応にまとめました。
SNSやマッチングアプリ経由の投資勧誘で困ったときの窓口として、金融庁は自らの相談室にある詐欺的な投資の専用ダイヤル(0570-050588。電話は平日10時〜17時)への情報提供と、最寄りの警察署への相談を挙げています。勧められた業者の登録の有無は、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている金融事業者検索」で調べられます。
組み合わせ型の相談では、恋愛の相手と投資の相手が同じグループだと示す材料があると、話が伝わりやすくなります。次のものを手元に集めてください。
残し方のこつは証拠の残し方で紹介しています。被害のあとに「取り戻せます」と連絡してくる相手には費用を払わず、まず警察や消費生活センターに相手の話を伝えて確かめてください。この二次被害については「資金回収します」は信用できるかで詳しく扱いました。状況の整理から手伝ってほしい方は、相談予約のページをご利用ください。
A. 恋人役が投資先や入金方法を案内し、別の人物や口座にお金が流れる形は、組み合わせ型でよく見られます。お金を受け取ったのが誰であっても、恋愛感情や親近感を利用して投資させられたなら、警察庁の分類ではSNS型ロマンス詐欺として扱われます。
A. 出金できたことだけで判断するのは危険です。小さな利益を一度引き出させ、安心したところで高額の入金を促すのは、公的機関の事例に何度も出てくる流れです。業者が金融庁の登録を受けているかを必ず確かめてください。
A. 預金口座への振込であれば、口座が凍結されて残高が残っている場合に、振り込め詐欺救済法の被害回復分配金を受け取れる可能性があります。ただし残高が少なければ戻る額も限られます。戻ることを約束できるものではないため、できるだけ早く金融機関と警察へ連絡してください。
A. 払わないでください。出金の前に税金・手数料・保証金を払わせるのは、金融庁と国民生活センターの双方が警告している流れそのものです。支払いを求められた画面を保存し、警察相談専用電話(#9110)や金融庁の相談ダイヤルに相談してください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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