詐欺の慰謝料は請求できる?だまし取られたお金との違いと請求の流れ

この記事の結論

  • 民法は、不法行為で損害を与えた人は財産以外の損害、つまり精神的苦痛についても賠償しなければならないと定めています(709条・710条)。詐欺の被害でも、だまし取られたお金とは別に慰謝料を求めること自体はできます。
  • 慰謝料が認められるか、いくらになるかに法律の基準はなく、だまされた経緯や被害の大きさなど事情で変わります。まず取り戻したいのは、だまし取られたお金(財産的損害)です。
  • 請求の相手が分かっていることが前提です。相手が分からないときは、口座凍結と振り込め詐欺救済法の分配金、警察への被害届を先に進めてください。

最終更新日: 2026-10-24

「お金を返してもらうだけでなく、だまされてつらい思いをした分も払ってほしい」。詐欺の被害にあった人がそう考えるのは自然なことです。ここでは、慰謝料の法律上の根拠と、実際に請求するときの流れを民法と裁判所「少額訴訟」の案内から整理しました(2026年10月24日確認)。

慰謝料の根拠になる条文

条文中身
民法709条故意または過失で他人の権利や利益を侵害した人は、それで生じた損害を賠償する責任を負う
民法710条身体・自由・名誉を侵害した場合でも、財産権を侵害した場合でも、賠償の責任を負う人は財産以外の損害も賠償しなければならない
民法722条2項被害者にも過失があれば、裁判所はそれを考えて賠償額を決められる(過失相殺)
民法724条損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で、請求権は時効で消える

710条は「財産権を侵害した場合」も含めているため、お金をだまし取られた詐欺でも、精神的苦痛に対する賠償を求める根拠になります。

だまし取られたお金と慰謝料の違い

項目だまし取られたお金(財産的損害)慰謝料(精神的損害)
中身振り込んだ額、渡した現金などだまされたことによる精神的苦痛
額の決まり方振込の記録などで金額を示せる法律に基準が無く、事情を見て決まる
証拠振込明細、取引画面、領収書だまされた経緯、相手とのやり取り、生活や健康への影響が分かる記録

相手に払う力が無ければ、慰謝料が認められても回収できないことがあります。請求の順番は、だまし取られたお金を確保すること、つまり口座凍結や財産の差押えの検討が先です。

相手が分かっている場合の進め方

方法向いている場面ポイント
示談(話し合い)相手と連絡がとれ、払う意思がある金額・支払日・分割の条件・清算条項を書面に残す。詳しくは示談と被害届の関係
少額訴訟請求額が60万円以下原則1回の審理で終わる簡易裁判所の手続き。最初の期日までに言い分と証拠をすべて出す。分割払いの判決になることもある
通常の訴訟請求額が大きい、争いが複雑弁護士への依頼を考える。費用倒れにならないか、相手の資力も合わせて見る

裁判所の案内によると、令和8年5月21日からは訴状をオンライン(民事裁判書類電子提出システム mints)でも出せるようになり、従来の郵便費用は申立手数料に一本化されました。費用を払う力が乏しい人には、支払いを猶予する「訴訟上の救助」や、法テラスの民事法律扶助による立替えの制度もあります(裁判所「少額訴訟」)。

相手が分からない場合

よくある質問

詐欺の慰謝料の相場はいくらですか?

法律に金額の基準は無く、だまされた経緯、被害額、生活への影響などの事情で変わります。一律の相場を示すことはできません。請求する額は、弁護士に事情を伝えて相談してください。

慰謝料はいつまで請求できますか?

民法724条により、損害と加害者を知った時から3年、詐欺の時から20年で時効になります。相手が分かったら早めに動いてください。

加害者が刑事裁判で有罪になれば、慰謝料も払ってもらえますか?

刑事裁判は処罰を決める手続きで、慰謝料の支払いは民事の手続き(示談や訴訟)で求めます。刑事手続きの途中で示談を持ちかけられることもあります。

本記事は一般的な情報提供で、個別の事案で慰謝料が認められるか、いくらになるかを判断するものではありません。