マッチングアプリでプロ選手を名乗る相手|交際を隠す理由とお金の頼み方

マッチングアプリで知り合った相手が、途中から「実はプロでプレーしている」「去年まで現役だった」と打ち明けてきた。うれしい半面、本当なのか、どう確かめればいいのか迷っている人に向けた記事です。

編集部の結論を先に書きます。相手が本物の選手かどうかを、アプリの中だけで見分けるのは難しいです。判断の軸にしやすいのは肩書きではなく、「交際を周りに言わないで」という頼みと、お金の話がセットで出てくるかどうか。この2つがそろったら、相手が誰であっても送金は止めてください。

以下では、選手を名乗る相手が持ち出しやすい「秘密にする理由」、お金の頼み方のパターン、アプリの中で確かめられることと確かめられないこと、すでに払ってしまった場合の手続きを順に取り上げます。

マッチングアプリはロマンス詐欺の入口として最も多い

SNS型ロマンス詐欺として警察が認知した事件は、令和7年(2025年)の1年間で5,645件、被害の総額は546.4億円でした(警察庁の確定値)。犯人との最初の接点を見ると、1位はマッチングアプリで1,846件。2位のインスタグラムが1,288件、3位のフェイスブックが1,049件でした。

もう一つ目を引くのが、やり取りの場所です。お金を渡した時点で使っていた連絡手段は、9割を超える5,294件がLINEです。アプリで出会い、早い段階でLINEへ移り、そこでお金の話が進む。この流れが典型だと読み取れます。

なお、同じ資料で犯人が名乗った職業を見ると、投資家を名乗ったものが627件と最も多く、会社員(507件)と会社役員(378件)がこれに次ぎます。そのほかは「医療関係や芸術・芸能関係等様々なもの」とひとまとめに書かれています。スポーツ選手を名乗った件数は公表されていません。件数が分からない以上、「選手を名乗る手口は少ないから大丈夫」とも「多いから危ない」とも言えず、個々のやり取りの中身で判断するしかありません。

選手を名乗る相手が口にしやすい「秘密にする理由」

スポーツ選手という設定は、会えないこと・確かめさせないことを自然に見せる材料をたくさん持っています。よく持ち出される理由と、それが相手にとって都合のよい点を並べます。

「球団(クラブ)や代理人に知られると契約上まずい」

所属先に問い合わせる道をふさぐ言い方です。本当に交際を伏せたい選手がいたとしても、それは出会って間もない相手にお金を頼む理由にはなりません。

「ファンに見つかると騒ぎになるから、誰にも話さないで」

家族や友人への相談を止める効果があります。周囲の人は冷静に「おかしい」と言えるので、相談させないことが相手にとって大事なのです。

「シーズン中で遠征が続く」「海外キャンプで時差がある」

会えない期間を長く引き延ばせるうえ、電話に出ない理由にもなります。公式サイトの試合日程と、相手が言う居場所が食い違っていないかは、あとで確かめる材料になります。

「移籍の話が進んでいて、今は公にできない」

近いうちに状況が変わる、という期待を持たせる言い方です。移籍が決まったら会える、一緒に暮らせる、といった約束と組み合わさりやすい点に気をつけてください。

「公式アカウントは球団が管理しているから、個人の連絡はこっちで」

公式のSNSで本人に確かめる道を閉じるための説明です。実際、複数のプロ野球・サッカー・バスケットボールのクラブが公式サイトで「選手のなりすましアカウントに注意」と告知し、選手個人のアカウントからファンにメッセージを送ることはない、と明記している例があります。所属先がそう案内しているなら、それに反する連絡が来た時点で疑ってよいはずです。

ここに挙げた理由は、どれも一つだけなら不自然ではありません。気をつけたいのは、複数の理由が重なって「確かめない・会わない・人に話さない」状態が何か月も続くことです。その状態でお金の話が出たら、関係の長さに関係なく立ち止まる場面です。

お金の話はこう切り出される

最初からお金を求める相手は多くありません。数週間から数か月、毎日のように連絡を取り合い、信頼ができたところで次のような話が出てきます。

名目言い方の例立ち止まるポイント
契約・移籍の手続き費用「口座が一時的に止まっていて、手続きの費用だけ立て替えてほしい」所属先との契約にかかわる費用を、交際相手の個人が立て替える場面は考えにくい
遠征先でのトラブル「遠征先で財布を盗まれた」「カードが使えない」チームで移動している人が、知り合って間もない相手に頼る必要があるか
会うための費用「会いに行く航空券を先に取ってほしい」「ホテル代を半分」予約を相手がするなら、予約番号で航空会社・ホテルに直接確かめられるはず
一緒に増やそうという誘い「チームの先輩がやっている投資がある」「二人の将来のために」恋愛の話から投資の話に移ったら、ロマンスと投資の複合型を疑う
代理人・マネージャーへの支払い「直接は受け取れないので、代理人の口座に」振込先が個人名義や、名乗った名前と違う名義になっていないか

どの名目でも共通するのは、急がせることと、支払い方を相手が細かく指定することです。暗号資産の送り方を教えてくる、コンビニで電子マネーを買って番号を送るように言う、といった指示が出たら、その時点で手を止めてください。

アプリの中で確かめられること・確かめられないこと

国内でマッチングアプリを運営する事業者は、インターネット異性紹介事業にあたり、事業を始める前に公安委員会へ届け出なければなりません。警視庁もこのルールをサイトで説明しています。利用者が18歳未満でないことを確かめる年齢確認も、この仕組みの一部です。

ただし、年齢確認や本人確認のマークが示すのは、登録した人が書類を出したという範囲のことです。プロフィールに書かれた職業や、有名人本人かどうかまで運営が確かめているとは限りません。確認済みの表示があっても、「選手であること」の証明にはならないと考えてください。

そのうえで、次の点は自分で見比べられます。

  • 写真の出どころ:プロフィール写真や送られてきた写真を画像検索にかけ、報道写真や公式サイトの選手写真と一致しないか
  • 選手名鑑との食い違い:所属先の公式サイトに載る年齢・出身地・経歴と、相手の話が合っているか
  • 日程との食い違い:「今日は試合で連絡できない」と言った日に、本当に試合があったか
  • 移る先の提案:アプリ内でのやり取りを嫌がり、すぐにLINEや別のアプリへ移ろうとしないか

ビデオ通話ができたから本物、とも言い切れません。映像や音声を加工する技術があるためです。詳しくは電話・ビデオ通話で話せた相手をどう見るかの記事にまとめています。

送ってしまった後に、今日のうちにやること

もう送金した場合は、気持ちの整理より先に手続きを進めます。送ったお金はすぐに別の口座や別のアドレスへ移されることがあり、動き出しが早いほど打てる手が残るからです。恥ずかしさから誰にも言えずにいる人ほど、この段階で時間を失いがちです。

  1. 次の支払いをしない:「あと一回で返せる」「手数料を払えば戻る」という話が続いても応じない
  2. 記録を残す:アプリのプロフィール画面、アプリ内とLINEのトーク、振込の控えを保存する。相手が退会するとアプリ内の画面は見られなくなることがある(証拠の残し方)
  3. 支払った先へ連絡する:銀行振込なら振込元の銀行に詐欺の可能性を伝え、振込先口座の凍結を求める。カード払いならカード会社へ(チャージバックの考え方)。電子マネーは発行会社、暗号資産は利用した交換業者に連絡する
  4. 警察に相談する:最寄りの警察署か、相談専用電話「#9110」へ
  5. アプリ運営に通報する:相手のIDとやり取りの日時を添える

銀行口座への振込は、振り込め詐欺救済法の対象になり得ます。口座が凍結されると預金保険機構のサイトで公告され、申請期間内に手続きをすれば、凍結時点の残高を被害者の間で分ける形で分配金が支払われる可能性があります。残高が少なければ戻る額も限られ、全額が戻るとは限りません。

相談先と、相談の前にまとめておくこと

相談窓口は、目的によって分けると迷いにくくなります。

  • 警察(#9110・最寄りの警察署):被害の届出、口座凍結に向けた相談
  • 消費者ホットライン(188):どこに相談すべきか分からないとき、地域の消費生活センターにつながる
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:投資の話に移っていた場合(0570-050588)

どこに相談する場合でも、次のメモがあると話が早く進みます。

  • アプリ名、相手の表示名とID、最初にマッチした日
  • 相手が名乗った競技・所属先・名前
  • お金を頼まれた日と名目、送った日・金額・方法・送り先
  • LINEなど別の場所へ移った日と、移った先のID

整理の手順は相談前のチェックリスト、窓口ごとの進め方は相談の流れにまとめています。同じシリーズのプロスポーツ選手をかたる詐欺の全体像もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. マッチングアプリに本物のプロスポーツ選手がいることはありますか?

A. 利用してはいけない決まりがあるわけではないので、いないとは言えません。ただ、本物かどうかをアプリの中で確かめる手段は限られます。本物か偽物かを見極めようとするより、お金の依頼が出るかどうかで判断する方が確実です。

Q. 本人確認済みのマークがある相手なら、選手というのも本当ですか?

A. 本人確認のマークは、登録者が書類を提出したことを示すもので、職業や経歴の確認とは限りません。確認済みの表示があっても、名乗っている選手本人である証明にはならないと考えてください。

Q. 「所属先に確認してもいい?」と聞いたら、怒られて連絡が減りました。

A. 確認を嫌がる反応そのものが判断材料になります。本当に交際を大事にしている相手なら、確認で関係が壊れることはないはずです。気まずさを理由にお金の依頼に応じる必要はありません。

Q. 送ったお金は戻ってきますか?

A. 戻るとは限りません。銀行振込で相手の口座が凍結され、その口座に残高があるときは、振り込め詐欺救済法の分配金を申請できることがあります。「必ず取り戻せる」と連絡してくる業者には別の被害の心配があるので、まず警察や相談窓口に話してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。