Xで選手から「特別なファン」とDM|当選連絡・会員証の支払いを頼まれたら

応援している選手の投稿にリプライを送ったら、同じ名前のアカウントから「いつも見てるよ。君は特別なファンだ」とDMが来た。続けて「サイン入りユニフォームの当選者に選ばれた」「非公開のファンミーティングに招待したい」と言われ、送料や参加費、会員証の発行代を払ってほしいと頼まれている。そんな状況で迷っている人向けの記事です。

編集部の考えを最初に書いておきます。本物の選手かどうかの見極めに時間をかけるより、「支払い方法の指定」を見てください。ギフトカードや電子マネーの番号を送ってほしい、個人の口座に振り込んでほしい、と言われた時点で手を止めるのが安全です。チームや大会の主催者が行う抽選やファン向けの企画は、一般的に公式サイトや公式アカウントで告知され、支払いがあるなら決まった決済画面を通ります。DMの中だけで完結する当選や招待は、確かめようがありません。

以下では、X経由の被害がどれくらい増えているか、「特別なファン」扱いの文面の型、公式の手続きとの見比べ方、10代のファンが巻き込まれたときの対応、報告と記録の順番を取り上げます。

Xが入口になった被害は、1年でおよそ2倍になった

SNS型投資詐欺の被害者が犯人と最初に出会った場所を、警察庁が令和7年(2025年)分の確定値で集計しています。そこでX(Twitter)経由とされたのは815件。前の年より407件多く、ほぼ倍の水準です。件数そのものはInstagram、YouTubeのほうが多い(それぞれ1,934件と1,229件)のですが、増え方でいえばXも目を離せない存在になっています。

同じ資料で、犯人が名乗った職業を見ると「その他著名人」が692件ありました。スポーツ選手を名乗ったケースが何件含まれるかは公表されていません。ですから「選手のなりすましはよくある」とも「めったにない」とも言えず、目の前のDMの中身で判断するしかない、というのが正直なところです。

Xならではの事情として、リプライや引用、いいねといった反応が誰からでも見える点があります。選手の投稿に熱心に反応している人は、なりすまし側から見ても見つけやすい相手です。自分から選手に話しかけた直後に、個別のDMが来たという順番は、偶然ではなく「反応した人を拾っている」可能性があると考えておいてください。

「特別なファン」扱いのDMに出てくる4つの型

文面は相手によってさまざまですが、お金の話に至る筋道はいくつかの型に分けられます。自分に届いたメッセージがどれに近いかを照らし合わせてみてください。

1. 当選・プレゼント型

「応援してくれたお礼にサイン入りのグッズを贈る」「抽選で選ばれた」と伝え、住所を聞いた後に送料や関税、保険料の支払いを頼んでくる形です。応募した覚えがないのに当選している点が、まず不自然です。

2. 会員証・ファンカード型

「ファン限定のVIP会員証を発行する」「このカードがあれば試合後に会える」と持ちかけ、発行手数料や年会費を求めます。公式のファンクラブがあるのに、なぜ別の会員証が必要なのかを考えると、話の辻つまが合わなくなります。

3. 面会・非公開イベント型

「少人数のファンミーティングに招待する」「練習後に個別で会う時間をつくる」といった誘いです。参加費、警備費、会場の予約金などの名目で先払いを求められることがあります。

4. 打ち明け・相談型

最初はお金の話をせず、「本当は孤独なんだ」「君にしか話せない」とやり取りを深めていく形です。親しくなった後で、急な出費や口座のトラブルを理由に立て替えを頼まれる流れは、SNS型ロマンス詐欺と重なります。

どの型でも、最終的に先にお金を払わせる点は共通しています。

公式の当選連絡・ファン企画と、DMの話を見比べる

本物の企画かどうかは、主催者の公開情報と照らし合わせるとかなり絞り込めます。下の表は一般的な傾向を整理したもので、すべての企画に当てはまるわけではありません。気になる点があれば、チームや主催者の公式サイトに載っている問い合わせ窓口へ、自分から確認してください。

見るところ公式の企画で一般的な形注意したい形
応募応募フォームや公式アカウントの告知に自分で応募している応募していないのに当選を告げられる
告知の場所公式サイトや公式アカウントに企画のページがあるDMの中にしか説明がない
連絡の手段登録済みのメールや公式アカウントから届く選手個人を名乗るアカウントが直接やり取りする
お金送料は主催者負担か、決まった決済画面で払うギフトカードの番号、個人口座、暗号資産での支払いを指定される
期限応募要項に期限が書かれている「今日中に払わないと別の人に回す」と急がせる

表のうち一つでも右側に当てはまるなら、DMでのやり取りは一度止め、公式の窓口に問い合わせてからでも遅くありません。本物の企画であれば、確認に数日かかったくらいで当選が取り消されることは考えにくいはずです。

ギフトカードや電子マネーの番号を求められたら

送料や発行代の支払い方法として、コンビニで売っているギフトカードや電子マネーを買い、裏面の番号を写真で送るよう指示されることがあります。プリペイドカードを使わせる詐欺については、一般社団法人日本資金決済業協会が啓発ページを設けており、手口の例として知人へのなりすましや出会い系のサクラなどを並べています。

国民生活センターも、未納料金をかたる詐欺の注意喚起の中で「電子マネー番号を伝えない」ことを繰り返し求めています。番号を知られると、相手はカードそのものを持っていなくても残高を使えてしまうからです。

  • まだ番号を送っていない:購入をやめる。買ってしまったカードは手元に置き、レシートと一緒に保管する。
  • 番号を送ってしまった:カードの発行会社の窓口にすぐ連絡し、カード番号と購入日時、購入店を伝える。残高がまだ使われていなければ対応してもらえる場合がありますが、発行会社ごとに扱いは異なります。
  • 何枚も続けて求められている:それ以上買わず、警察相談専用電話(#9110)か消費者ホットライン(188)に相談する。

「ファンの証としてギフトカードで」という頼み方は、応援の気持ちとお金の支払いを結びつけるための言い回しだと受け止めてください。

10代のファンが狙われたとき、本人と保護者にできること

警察庁の統計では、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害者は40代から60代が中心ですが、令和7年の年代別の集計には10代の被害も含まれています。Xは10代も日常的に使うサービスなので、選手を応援する中高生のファンがDMを受け取ることは十分に考えられます。

本人に伝えたいこと

  • 選手を名乗る相手から、お金やギフトカード、写真、学校名、住所を求められたら、返信する前に家族や信頼できる大人に見せる。
  • 「親には内緒にして」「二人だけの秘密」と言われたら、それ自体が相談するべき合図だと考える。
  • 顔写真や制服姿の画像、身分証の写真は送らない。一度送ると取り消せない。

保護者に知っておいてほしいこと

  • 子どもがコンビニでギフトカードを何枚も買っている、急に小遣いを前借りしたがる、といった変化はきっかけになります。
  • 見つけたときに叱ると、子どもは次から隠すようになりがちです。まずDMの画面を一緒に保存し、送ったもの・払ったものを確認します。
  • 相談先は、警察の#9110と消費者ホットライン188。夜中に子どもが一人で抱え込んでいるようなら、文部科学省が設けている24時間対応の子供SOSダイヤル(電話は0120-0-78310)も使えます。

Xでの報告とブロックは、記録を残してから

なりすましらしいと気づくと、すぐにブロックしたくなります。ただ、ブロックや相手のアカウント削除でDMの表示が消えると、後で警察や相談窓口に説明する材料がなくなってしまいます。次の順番で進めると取りこぼしが減ります。

  1. プロフィール画面を保存する:表示名だけでなく「@」から始まるユーザー名、アカウント作成時期、フォロワー数が写るように撮る。
  2. DMを最初から最後まで保存する:日時がわかる状態で、スクロールしながら全体を撮る。支払いを指示された部分は特に漏らさない。
  3. 支払いの記録をまとめる:ギフトカードのレシート、振込の控え、送った番号の写真。
  4. Xに報告する:相手のプロフィールのメニューから報告できます。Xのヘルプセンターには「なりすましアカウントの報告」の案内ページがあり、なりすまされた本人やその代理人が申告する窓口もまとめられています。
  5. ブロックする:報告を送ったあとで行う。

証拠の撮り方のコツは証拠の残し方で詳しく説明しています。

払ってしまったときの相談先

お金やギフトカードの番号をすでに渡してしまった場合は、支払った手段ごとの窓口と、警察・消費生活センターへの相談を並行して進めます。

  • ギフトカード・電子マネー:発行会社の窓口へ連絡。あわせて警察にも相談する。
  • 銀行振込:振込先の金融機関と警察に連絡し、口座の凍結を求める。凍結された口座に残ったお金は「振り込め詐欺救済法」の手続きで分配される場合がある。
  • クレジットカード:カード会社に連絡し、請求の保留や調査を相談する。

警察には#9110で最寄りの窓口を案内してもらえます。インターネットを使った被害なら、都道府県警察ごとに置かれたサイバー事案の相談窓口に話を持ち込むこともできます。取り戻せるかどうかは支払い方法と経過時間によって大きく変わり、必ず返ってくるとは言えません。だからこそ、気づいた日のうちに動くことが大切です。相談の全体の流れは相談の流れ、専門家への相談は相談予約から確認できます。

同じシリーズでは、インスタグラムで選手からDMが届いた場合の見分け方をインスタで選手からDMが来たらにまとめています。

よくある質問

Q. Xで選手から「特別なファン」とDMが来ました。返信しても大丈夫ですか?

A. 返信そのものより、相手の求めに応じてお金や個人情報を渡すことが問題になります。応援へのお礼程度のやり取りで終わるならよいのですが、当選や招待を理由に支払いや住所の提供を求められたら、いったん手を止めて公式の窓口に確認してください。

Q. 公式マークの付いたアカウントからのDMなら本物ですか?

A. マークだけでは判断しきれません。表示名やアイコンを似せたアカウントもあります。所属チームの公式サイトや公式アカウントからリンクされている選手本人のアカウントと、ユーザー名(@以下)が一致しているかを確かめてください。

Q. 送料だけなので少額です。払ってもいいのでは?

A. 少額の支払いに応じると、次は関税、保険料、手数料と名目を変えて追加を求められる流れがよく見られます。金額の大小ではなく、DMの中だけで支払いを求められていること自体を理由に断ってよい場面です。

Q. 子どもが選手を名乗る相手にギフトカードの番号を送っていました。どうすればいいですか?

A. まずカードとレシートを確保し、発行会社の窓口に連絡してください。次にDMの画面を保存し、警察の#9110に相談します。子どもを責めるより、ほかに送ったもの(写真・住所など)がないかを落ち着いて聞き出すことを優先してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。