電話で補助金の申請代行を勧められたら|通話中の対応と契約後の解約

会社やお店、自宅に突然「国の補助金の対象になっています」「申請はこちらで代行します」と電話がかかってきて、話を聞いてしまった、あるいは契約してしまった方に向けた記事です。

最初に知っておいてほしいのは、中小企業庁は補助金の勧誘を電話で行わないと明言していることです。電話の相手が公的な肩書きを名乗っても、そのまま信じる理由にはなりません。この記事では、通話中にどう対応するか、契約してしまった後にクーリング・オフが使えるかどうかの考え方、支払いを止めるための動き方、事業者として使える相談先を順に説明します。

電話でよく使われる切り出し方

補助金の申請代行をすすめる電話には、似た流れがあります。

  • 公的な肩書きを出す:「中小企業庁の認定を受けた会社です」「国の委託で案内しています」
  • 対象だと決めつける:「御社の業種なら必ず対象になります」「地域の事業者に順番にお電話しています」
  • 締め切りで急かす:「今月で申請枠が終わります」「今日中に仮申し込みを」
  • 書類を送って既成事実を作る:通話の後すぐにFAXやメールで申込書が届き、署名して返送するよう求める

個人に対しても、「給付金の申請を代わりに済ませます」「手続きが難しい方の代行をしています」と電話がかかってくることがあります。いずれも、自分から問い合わせていないのに先方から電話が来ている点で、最初から注意が必要な場面です。

中小企業庁は、電話で補助金を勧めない

中小企業庁は、同庁の認可・認定を受けた会社や同庁の職員を名乗る人物から「補助金・助成金がもらえる」と連絡があったという報告を受けて注意喚起を出しています。その中で、補助金や助成金を電話で勧めることはない(メール、はがき、SNSでも同じ)とし、キャッシュカード類やマイナンバーカードを同庁が預かる場面もないと書いたうえで、正確な情報は各補助金の公式サイトや同庁のウェブサイトで確かめるよう呼びかけています。

国や自治体の制度は、公募要領や申請方法が公式サイトで公開されており、電話で個別に売り込む必要がありません。電話の内容が本当かどうかは、相手が口にした制度の名前を自分で検索し、公式サイトの情報と照らし合わせれば確かめられます。公式サイトに載っている事務局の番号に問い合わせ、「こういう会社から電話があった」と伝えてみるのも一つの方法です。事務局が特定の民間業者に案内を任せているかどうかは、そこで確かめられます。

通話中に聞いておくこと、答えないこと

電話を受けてしまったら、その場で判断せず、情報を集める側に回りましょう。

相手に聞いておくこと

  • 会社の正式な名前、所在地、担当者の名前
  • 折り返しの電話番号(ただし、かけ直すときは自分で調べた番号を使う)
  • 案内している補助金の正式な名前
  • 申請書を作るのは誰か、その人の資格は何か

電話では答えないこと

  • 口座番号、キャッシュカードの暗証番号、クレジットカードの番号
  • GビズIDやパスワード、マイナンバー
  • 売上や従業員数など、会社の詳しい数字

聞いた内容は、日時とともにメモに残します。電話機に録音機能があれば使ってください。「検討して、こちらから連絡します」と伝えて切り、制度の名前と会社名を自分で調べてから考えても遅くはありません。報酬をもらって補助金の申請書を作れるのは原則として行政書士で、2026年1月施行の改正行政書士法では報酬の名目を問わないことが明記されています。

電話の後に届くFAX・メールの申込書の読み方

電話を切った直後に、「ご案内の資料」としてFAXやメールが届くことがあります。案内に見えて、実は申込書になっている書類もあるため、署名や返送の前に次の点を確かめてください。

  • 書類の題名:「資料」「確認書」と書かれていても、下の方に「申込書」「契約書」の欄がないか
  • 料金の欄:着手金、月額の費用、成功報酬の割合、支払いの期日が書かれていないか。小さな文字の注意書きまで読む
  • 契約期間と自動更新:一定期間の契約が自動で続く書き方になっていないか
  • 発行者の情報:会社名、所在地、電話番号が書かれているか。電話で名乗った名前と同じか
  • 署名欄の意味:「無料診断の申し込み」のつもりが、有料サポートの契約への同意になっていないか

判断がつかない書類は、署名せずに手元に置いたまま相談窓口に見てもらいましょう。届いた書類そのものが、後で契約の内容を確かめる大切な記録になります。

契約してしまった:クーリング・オフは使えるか

電話で勧誘され、その後に郵便やメールなどで申し込んだ契約は、特定商取引法の「電話勧誘販売」にあたることがあります。この取引類型について、消費者庁が運営する特定商取引法ガイドは、法定の書面が届いた日を1日目として8日のうちなら、書面または電磁的記録で申し込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができます。

ただし、同じガイドでは、営業のため、または営業として結ぶ契約には特定商取引法が適用されないとも説明されています。会社や個人事業の経営のために補助金サポートを契約した場合は、この適用除外にあたると判断される可能性があります。

  • 個人として給付金の申請代行を頼んだ:クーリング・オフの対象になりうるため、期限内に消費生活センターへ相談する
  • 事業者として契約した:契約の実態によって扱いが変わることもあるので、あきらめずに相談する。あわせて契約書の解約条項を確かめる

どちらの場合も、期限を過ぎるとできることが減ります。書面を受け取った日付を確かめ、早めに動いてください。

断っても電話がかかってくるとき

国民生活センターは、はっきり断っているのに勧誘の電話を続けることは特定商取引法で禁じられていると説明し、事業者名や連絡先を確かめたうえで「いりません」「取引するつもりはありません」とはっきりした言葉で断るよう助言しています。

事業者あての勧誘で特定商取引法が使えない場合でも、断った事実を記録しておくことは役に立ちます。

  • 断った日時、相手の会社名と担当者名、自分が伝えた言葉をメモする
  • 電話機やスマートフォンの着信拒否、迷惑電話対策機能を使う
  • 代表電話で受けることが多いなら、社内で「補助金の電話は取り次がない」と共有する

何度もかかってくる相手が、強い言葉で契約を迫ったり、脅すような言い方をしたりするなら、#9110(警察の相談専用ダイヤル)に状況を伝えましょう。

支払いを止めるために、今日できること

契約書に署名してしまった、着手金を払ってしまったという場合は、支払いの方法ごとに窓口へ連絡します。

支払い方法連絡先と伝えること
クレジットカードカード会社に、電話勧誘で契約したこと、解約を求めていることを伝え、請求について相談する
口座振替引き落とし口座の金融機関に、今後の引き落としを止められるか相談する
銀行振込振り込んだ先の名義・金額・日付をメモし、自分の銀行の窓口と警察の両方に知らせる
まだ払っていない請求書が届いても、相談が済むまで支払わない

業者に解約を伝えるときは、電話で済ませず、日付の残る書面で通知するのが基本です。どう書けばよいか迷ったら、相談窓口で文面の考え方を聞いてから送ってください。なお、ここで挙げた手続きを取れば必ずお金が戻るというものではありません。

家族経営の店や、高齢の家族が電話を受けるとき

小さな店や家族で営む事業では、電話に出た人がその場で話を進めてしまうことがあります。特に、事業を手伝っている高齢の家族は「国の補助金」という言葉を信用しやすく、断りにくいと感じることもあります。

あらかじめ家族や従業員と、次のような決まりを共有しておくと安心です。

  • 補助金や給付金の話の電話は、その場で返事をせず、担当者に回すか「こちらからかけ直す」と伝えて切る
  • 電話で口座やカード、IDの話が出たら、必ず切る
  • FAXで届いた申込書には、担当者の確認なしに署名しない

決まりを紙に書いて電話の近くに貼っておくと、とっさのときにも思い出しやすくなります。

事業者と個人、それぞれの相談先

事業者として勧誘・契約した場合

  • よろず支援拠点:国が各都道府県に置く無料の経営相談所。補助金を正規に使う方法も含めて相談できます
  • 地元の商工会または商工会議所:会員でなくても経営の相談に乗ってもらえることがあります
  • 弁護士:契約の解除や返金の求め方
  • 警察相談専用電話 #9110:業者と連絡がつかない、脅されている

個人として給付金の申請代行を勧められた場合

  • 消費者ホットライン188:クーリング・オフや解約についての相談
  • 市区町村の担当窓口:本当にその給付の対象か、申請が必要かの確認

相談の前に、電話を受けた日時と内容のメモ、届いたFAXやメール、契約書、支払いの記録をまとめておきましょう。まとめ方は証拠の残し方を、SNSやアプリ経由の勧誘との違いは補助金申請代行詐欺の相談先と対処法を、給付金や還付金をかたる電話については給付金・還付金の電話が突然来たらをご覧ください。

よくある質問

Q. 「中小企業庁の認定会社」と名乗る電話は本物ですか?

A. 中小企業庁は、補助金・助成金の勧誘を電話などで行うことは一切ないと注意喚起しています。名乗った会社名と制度名を自分で調べ、公式サイトの情報で確かめてください。

Q. 会社として電話で契約した補助金サポートも、クーリング・オフできますか?

A. 特定商取引法は、営業のために結ぶ契約を適用の対象外としています。ただし実態によって判断が分かれることもあるため、自己判断であきらめず、よろず支援拠点や弁護士、消費生活センターに相談してください。

Q. 電話で言われたとおりにFAXで申込書を返送してしまいました。

A. 返送した申込書の控えと、届いた書類を保管してください。個人としての申し込みであれば、クーリング・オフの期限内かどうかを188で確かめてください。代金の請求が届いても、相談を終えるまで支払いは保留しておきましょう。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。