Xの台湾好き投稿に台湾出身を名乗る人からDM|投資話になる前の備え

結論を先にお伝えします。X(旧Twitter)で趣味の話から親しくなった相手が、どれほど話の合う人でも、投資や送金の話が出たらそこで線を引く。これを先に決めておけば、相手の素性が分からないままでも被害は防げます。

台湾旅行の写真、中国語(台湾華語)の学習記録、台湾ドラマや夜市グルメの感想。こうした投稿に「台湾出身です」「台北に住んでいます」と話しかけられるのは、うれしい出来事です。多くは普通の交流でしょう。この記事は、そのやり取りが恋愛めいた方向へ進み、やがて投資の話に変わってきたときの備えをまとめたものです。相手の出身地は、名乗る側が自由に決められる設定にすぎません。台湾の人を警戒せよという話ではなく、どこの出身を名乗る相手にも同じ物差しを当てるための記事です。

Xから始まる投資の勧誘は、この1年で急に増えた

警察庁の集計で、恋愛を装わずに投資を持ちかけるSNS型投資詐欺のうち、X(Twitter)が最初の接点だったものは2025年に815件でした。前の年から倍近く(+99.8%)に増えています。2026年1〜6月だけでも677件にのぼり、前年の同じ時期と比べて2倍を超えました。

恋愛感情を利用するSNS型ロマンス詐欺では、Xが入口になった件数は2026年上半期に131件で、全体に占める割合は5.2%です。マッチングアプリやInstagramほど多くはありません。とはいえ、Xでは恋愛から入るか、投資の話題から入るかの境目があいまいです。趣味で知り合った相手が恋人のようにふるまい、同時に投資の先輩としても振る舞う、という重なり方が起こりえます。

どちらの形でも、被害にあった時点の連絡手段は9割以上がLINEでした。Xの中でのやり取りが、いずれLINEに移される前提で組まれていると考えておくと、先の展開が読みやすくなります。

趣味の投稿が「話しかける口実」になる

Xの投稿は、初めて会う人にとって自己紹介の代わりになります。台湾に関心があると分かれば、「台湾出身」を名乗ることで最初の一言に自然な理由が生まれます。旅行の予定を書いていれば「その時期なら案内するよ」、語学の投稿なら「発音を教えてあげる」。親切な申し出の形をとるので、断りにくいのが特徴です。

警察庁の2025年の資料では、ロマンス型の加害者が名乗った地域は国内在住の日本人という設定がおよそ6割を占め、ほかに東アジアや東南アジアなどもみられるとされます。つまり名乗る地域は、相手の関心に合わせて選ばれる衣装のようなものです。台湾好きの人には台湾出身、韓国ドラマが好きな人には韓国出身、と差し替えることはたやすいでしょう。

筆者は、ここに一番の落とし穴があると考えています。共通の話題で盛り上がるほど、相手の人柄を知った気になり、身元を確かめていないことを忘れてしまう。好きなものが同じだという事実は、相手の身元について何も教えてくれません。

会話の中身より「向かっている先」を見る

台湾のことをよく知っているか、日本語が自然か、といった点で見分けようとしても、あまり役に立ちません。地名や名物はネットで調べればすぐに分かりますし、翻訳の精度も上がっています。見るべきは、会話がどこへ向かっているかです。

  • 場所の移動:Xの公開の場から、DM、さらにLINEやほかのアプリへと、人目の届かない場所へ移そうとする
  • 関係の加速:会ったこともないのに、数日から数週間で恋人や将来の話が出てくる
  • お金の話題:仕事の話から、投資で生活に余裕がある、副収入がある、という話に移っていく
  • 秘密の共有:「家族には言わないで」「二人だけの話」と、周りに相談させない方向へ誘う
  • 期限の設定:「今だけ」「このチャンスは来週まで」と、考える時間を削る

一つ目と二つ目は、普通の交流でも起こります。三つ目以降が重なってきたら、相手が誰であれ、投資の話には乗らないと決めてください。

自分のアカウントで、今日からできる備え

相手を見抜く力を鍛えるより、近づかれにくくする工夫のほうが確実です。Xの設定や投稿の仕方で、次の点を見直してみてください。

見直す点理由
DMを受け付ける相手の範囲設定で、フォローしていないアカウントからのメッセージリクエストを受け付けないようにできます。項目の名前や場所は更新で変わるため、アプリ内の「プライバシーと安全」付近で確認してください。
プロフィールの書き方年齢、職業、独身であること、住んでいる市区町村。どれも声をかける側にとっては話を合わせる材料になります。
旅行中のリアルタイム投稿「今、台北にいます」は、現地で会おうと持ちかける口実になりえます。写真は帰国後にまとめて出すと安心です。
寂しさや不安をこぼす投稿気持ちを書くのは自由ですが、弱っている時期は相手の言葉が響きやすくなります。

アカウント名の横の認証マークも、それだけで本人だと判断する材料にはなりません。警察庁は、著名人を名乗っているのに未認証のアカウントを使っている例に注意を促しています。反対に、マークが付いていても、それが名乗る人物本人だと保証されているわけではありません。

台湾の人との交流そのものは、やめなくていい

ここまで読んで、台湾が好きだという投稿を控えたほうがいいのかと不安になった人もいるかもしれません。そこまでする必要はありません。線を引く対象は、相手の国や地域ではなく話題です。

  • 話題は趣味の範囲にとどめる:旅行、語学、ドラマ、屋台の食べ物の話は存分に楽しんでかまいません。収入や貯金、資産運用の話には自分から乗らないようにします。
  • やり取りの場所は自分で選ぶ:「LINEのほうが話しやすい」と言われても、「このままXで話したい」と返して問題ありません。純粋に交流したい相手なら、場所にこだわる理由はあまりないはずです。
  • 会うなら人目のある場で:語学交換や旅行先の案内を頼むなら、自治体の国際交流イベントや語学教室のように、第三者がいる場を選びます。
  • お金の頼みごとは一律に断る:投資に限らず、「少し立て替えて」「送金を手伝って」も同じ扱いにします。事情がどれほど気の毒に聞こえても、基準は変えません。

この線引きは、台湾出身を名乗る相手だけに向けたものではありません。韓国や香港、シンガポール出身を名乗る相手でも、日本の地方に住んでいると名乗る相手でも、使う物差しは同じです。本当の台湾の友人ができたとしても、お金の話をしないという約束が二人の関係を損なうことはないでしょう。

投資の話が出たときに確かめること

警察庁は、SNSの広告から投資グループへ誘導する手口の特徴として、LINE登録に誘導する、「必ずもうかる」「元本保証」といった甘い言葉で誘う、などを挙げています。Xで親しくなった相手の口から同じ言葉が出たら、投資の中身を聞く前に、次の2点を確かめてください。

  1. お金を預ける先は、金融庁の登録を受けた業者か:金融庁の「金融事業者一括検索機能」で、名称や電話番号を調べられます。見つからなければ入金しないでください。調べ方の詳細はLINE投資グループの記事にまとめています。
  2. 振込先は誰の名義か:個人の名前の口座や、暗号資産を指定のアドレスへ送る形なら、正規の投資の手続きとは考えにくい形です。

X上の広告や投稿を見たことが勧誘の入口だったなら、金融庁が設けた情報受付窓口へ知らせる道もあります。受付の対象は「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等」で、入力フォームから送ります。対象は、偽広告などをきっかけに勧誘を受けた人や、実際に被害にあった人です。金融庁はこうした情報をもとに、SNS事業者と連携して広告の削除などにつなげるとしています。

やり取りを終えるとき、送金してしまったとき

距離を置くと決めたら、ブロックの前に、相手のプロフィール画面、DMのやり取り、LINEに移っていればその画面、投資サイトのURLを保存しておきます。Xの投稿は相手がいつでも消せるので、気になるものは早めに画面に残しておきます。日付の入れ方やファイルの分け方は証拠の残し方で解説しています。保存が済んだら、Xの報告機能で相手のアカウントを知らせましょう。

すでにお金を送ってしまった場合は、次の順で動いてください。

  • 銀行から振り込んだなら、振込先の口座がある金融機関と、自分の取引銀行に連絡する。相手の口座が国内にあり、止めるのが早ければ、中に残っていた額を被害にあった人たちで按分する仕組み(振り込め詐欺救済法)の対象になりうる(残高がなければ戻らず、暗号資産を直接送った分はこの制度の外になる)
  • 警察に相談する(#9110、または最寄りの警察署)
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室、188(消費者ホットライン)にも相談する

その後、「被害金を取り戻せます」とDMや広告で近づいてくる人が現れることがあります。二次被害の典型的な入口なので、依頼する前に二次被害の注意点に目を通してください。台湾出身を名乗る相手からの勧誘を経路別にまとめた総合ガイドもあります。

よくある質問

Q. Xで台湾出身の人と仲良くなりました。これはロマンス詐欺ですか?

A. 出身地や話の合い方だけでは判断できません。LINEなどへ移そうとする、会う前から恋人や将来の話をする、投資やお金の話が出る、といった流れが重なっていないかを見てください。お金の話が出るまでは、普通の交流である場合も多いはずです。

Q. 相手は台湾のことをとても詳しく知っています。本物の台湾の人ではないのですか?

A. 地名や名物、習慣はネットで調べられるため、詳しさは身元の証明になりません。仮に本当に台湾出身の人だったとしても、投資への誘いに乗るかどうかは、取引先が金融庁の登録業者かどうかで判断してください。

Q. XのDMを知らない人から受け取らないようにできますか?

A. Xの設定で、フォローしていないアカウントからのメッセージリクエストを受け付けないようにできます。項目の名前や場所はアプリの更新で変わることがあるため、プライバシーと安全に関する設定画面で確認してください。

Q. Xの広告で見た投資の話がきっかけで勧誘されました。どこに知らせればいいですか?

A. SNSの広告が入口だった勧誘は、金融庁のウェブサイトにある専用の情報受付フォームで知らせることができます。お金を送ってしまった場合は、警察(#9110)や188にも相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。