LINEグループで祈祷の奉納金を集められたら|寄付名目の請求への対応まとめ

招待されたLINEグループで、祈祷師を名乗る管理者が「満月の夜に全員で祈願する」「護摩木を一本ずつ奉納してほしい」と呼びかけ、参加者が次々に「納めました」と書き込んでいく。自分だけ払わないのは気まずい。そんな状況に置かれた人に向けて、対応を順に整理した記事です。要点は三つあります。払ったお金が「祈祷の代金」なのか「寄付」なのかで使える法律が変わること、相手が団体なら2023年に施行された不当寄附勧誘防止法で取り消せる場合があること、そしてグループを抜ける前にトークを保存しておくことです。周りが払っているかどうかは、あなたが払う理由にはなりません。

グループの中で祈祷のお金が集められていく流れ

少人数の個別トークと違い、グループでは「みんながやっている」という空気が判断を左右します。相談として考えられる流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 占いや開運、スピリチュアルの話題でつながった人からグループに招待される。
  2. 最初は無料の「お清め」や日々の運勢が配信され、参加者どうしの会話も穏やかに続く。
  3. 管理者が「近いうちに大きな災いの時期が来る」と告げ、集団祈祷や奉納を募る。
  4. 参加者から「祈祷のおかげで病気が軽くなった」「臨時収入があった」という投稿が続く。
  5. 金額や締切が示され、納めた人の名前がグループに読み上げられる。
  6. 納めていない人に個別のトークで声がかかる。

グループの参加人数や感謝の投稿は、それぞれ実在の別人によるものか、外からは確かめられません。2022年8月、消費者庁は霊感商法をめぐる検討会で相談データを示しました。それによれば、2021年度に開運商法のキーワードで集計された相談は1,435件で、そのうち半分を超える54.4%が、ネット通販などを通じた占い・祈とうサービスに分類されています。ネットを通じた祈祷の申込みが相談の中心になっていることがうかがえます。同じ資料では、契約金額の平均が約113万円なのに対して中央値は約21万円で、一部の人が非常に大きな額を払っていることも読み取れます。

「奉納金」「お布施」「祈祷料」――名目で変わる法律の当てはめ

グループで集められるお金には、さまざまな呼び名が付けられます。呼び名そのものより、何と引き換えに、誰に払ったのかが法律の選び方を決めます。

支払いの実態主に関係する法律確かめたいこと
祈祷やお札など、サービスや品物の対価として事業者に払った消費者契約法(霊感等を用いた勧誘の取消し)料金表や申込みの画面があるか、相手が事業として祈祷を行っているか
見返りのない寄付・奉納として団体に払った不当寄附勧誘防止法払った先が法人か、代表者の決まった団体か
団体に当たらない個人に、名目を問わず払った民法(詐欺による取消し、不法行為)だまされたことを示す言葉ややり取りが残っているか

不当寄附勧誘防止法が対象にするのは「法人等」、つまり法人のほか、法人格はなくても代表者や管理人の定めがある社団・財団です(第1条)。「〇〇会」「〇〇講」といった名前で代表者がいるグループなら当てはまる余地がありますが、祈祷師個人の口座に振り込んだだけでは当てはまらない場合もあります。名目の見極めは難しいので、振込先の名義や領収書の書き方を控えたうえで相談してください。

もう一つ気をつけたいのは、同じグループの中で名目が混ざることです。最初は「祈祷料」として決まった金額を払い、次は「任意の奉納」として金額を自分で決めるよう促される、といった具合です。名目が変わるたびに、どの投稿で、誰が、何のためと言って求めたのかを書き分けておくと、後で法律を当てはめるときに役立ちます。

不当寄附勧誘防止法で禁じられている勧誘と取消しの期間

2022年12月に成立したこの法律は、寄付を募る法人等に対し、個人を困惑させる勧誘を禁じています(第4条)。グループでの呼びかけに関係しそうなものを挙げます。

  • 「このままだと家族が病に倒れる」など、霊視や神託といった確かめようのない力を根拠に、命や健康、財産にかかわる大きな不幸を予告して怖がらせ、それを避けるには寄付しかないと迫ること(第6号)
  • 寄付するかどうかを誰かに相談しようとした人を、威迫する言動で妨げること(第4号)
  • 借金をさせたり、住まいや生活に欠かせない事業用の財産を売らせたりして寄付の資金をつくらせること(第5条)

こうした勧誘で困惑して寄付をした場合は、取り消せます(第8条)。取消しの期限は、追認できる時から1年・寄付から5年が原則で、霊感による勧誘を理由とする場合は3年・10年に延びます(第9条)。さらに法人等には、寄付を募る相手が自由に判断できるよう配慮し、団体を特定できる情報を明らかにして使い道を誤解させないようにする義務もあります(第3条)。管理者が団体名を明かさない、集めたお金の使い道を説明しないといった点も、相談のときに伝える価値があります。

消費者庁は、令和5年4月1日以降の不当な寄附勧誘と考えられる行為について、ウェブで情報を受け付けています。ただし個別のトラブルを解決する窓口ではないため、返金を求めたいときは記事の後半で挙げる相談先を使ってください。

グループを抜ける前にしておく五つのこと

グループから退会すると、それ以降の投稿は見られなくなり、端末を替えたときにトークが引き継げないこともあります。抜けるのは、次の作業を終えてからにしましょう。

  1. トーク全体の保存:画面を撮るだけでなく、トーク履歴をテキストで書き出す機能も使います。奉納を呼びかけた投稿、災いを予告した投稿は日付が入るように撮影します。
  2. グループの基本情報:グループ名、アイコン、参加人数、メンバー一覧、管理者の表示名とプロフィール画面。
  3. ノートやアルバム:募集要項、金額表、振込先がノートに固定されていることがあります。見落とさずに保存してください。
  4. 個別トーク:納めていない人に届く個別の声かけは、困惑させる勧誘があったかどうかを示す材料になります。
  5. 自分の支払いの記録:振込明細、送金アプリの履歴、コンビニ払いの控え。

抜けるときにグループで理由を説明したり、他の参加者を説得したりする必要はありません。やり取りが増えるほど引き止めの言葉を浴びることになります。家族や友人が同じグループに入っているなら、グループの外で直接話すほうが落ち着いて話せます。

抜けた後に届く連絡への備え

退会すると、管理者や他の参加者から「抜けると祈祷の効果が消える」「納めた分が無駄になる」といった個別の連絡が来ることがあります。返信はせず、届いた日時と文面を保存しておきましょう。同じ相手から何度も届くならブロックして構いませんが、ブロックの前に保存を済ませてください。電話番号を知られていて着信が続く場合は、着信履歴の画面も記録に加えます。こうした引き止めの言葉は、寄付や契約をした時点で困惑させる勧誘が続いていたことをうかがわせる材料にもなります。

払ってしまったお金の取り戻し方を支払い方法ごとに整理

返金を求めるときは、払った方法ごとに連絡先と急ぐ度合いが変わります。

支払い方法まず連絡する先ポイント
銀行振込自分の銀行と振込先の銀行、警察犯罪に使われた疑いのある口座は取引停止の対象になりうる。早いほど残高が残っている可能性がある
クレジットカードカード会社請求の内容と事情を伝え、調査を頼む。チャージバックの解説も参考に
電子マネー・ギフトカード発行会社番号を伝えた後はすぐに利用される。購入時のレシートとカードは捨てない
現金の手渡し消費生活センター、警察受け取った人の名前、場所、日時をメモし、領収書があれば保管する

寄付の取消しや契約の取消しを相手に伝えるときは、内容証明郵便など、いつ何を送ったかが後から証明できる方法を選ぶと安心です。取り消されたお金について、受け取った側には元に戻す義務が生じます(民法第121条の2)。ただ、相手がそれに応じるかは別の問題で、交渉の進め方は相談先と一緒に考えてください。

相談先の選び方と、家族が気づいたときの手立て

相手が宗教的な団体を名乗っている、寄付や献金として払ったという場合は、法テラスが設けている専用のフリーダイヤル0120-005931(平日9時30分から17時)も選べます。旧統一教会の問題やそれと同種の問題で悩む人のための窓口で、金銭トラブルのほか家族の悩みも相談できます。祈祷の代金として払った、あるいは名目がはっきりしないなら、188番から地域の消費生活センターにつないでもらいましょう。脅しめいた投稿や、自宅に来ると言われたといった不安があれば警察の#9110が窓口です。

家族が多額の奉納を続けていると気づいた場合、不当寄附勧誘防止法には、寄付をした人から扶養や婚姻費用、養育費を受け取る立場の家族が、将来の支払い分を守るために本人に代わって取消権を使える特例があります(第10条)。使えるかどうかは個別の事情によるので、法テラスや弁護士に確認してください。

講座や資格の勧誘に形を変えたグループについてはLINEグループで講座に誘われた場合の記事、霊感を使った勧誘の取消し全般はスピリチュアル商法の高額請求の記事、祈祷師をかたる要求の全体像は経路別のまとめで扱っています。

よくある質問

Q. LINEグループで払った奉納金は「寄付」なので返してもらえないのでは?

A. 寄付であっても、法人等が霊感などを持ち出して不安をあおり、困惑させて集めたものなら、不当寄附勧誘防止法で取り消せる場合があります。相手が団体に当たらない個人なら民法の規定を検討します。名目だけで諦めず、振込先や呼びかけの投稿を保存して相談してください。

Q. 他の参加者は皆払っています。自分だけ抜けても大丈夫でしょうか。

A. 払うかどうかはあなたが決めることで、他の参加者に合わせる必要はありません。抜ける前にトークを保存し、グループ内で理由を説明せずに退会して構いません。その後に個別の連絡や脅しめいた言葉が届いたら、それも保存して相談先に伝えてください。

Q. グループの管理者が名前を明かさず、振込先は個人名義です。

A. 相手を特定する手がかりは振込先の口座です。金融機関名、支店名、口座名義を正確に控え、銀行と警察に伝えてください。団体名や代表者が示されていないこと自体も、相談の際に伝えておくとよいでしょう。

Q. 母が祈祷のグループに何十万円も納めているようです。家族にできることは?

A. まず本人を責めずに、いつ、いくら、どの名目で払ったのかを一緒に整理してください。本人の同意があれば家族が消費生活センターへの相談に同席できます。扶養などを受ける立場の家族には、不当寄附勧誘防止法で取消権を代わりに使える特例もあるため、法テラスの霊感商法等対応ダイヤルで確かめてみてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。