Xで知った祈祷師への支払い|ポスト・DMの保存手順と記録ごとの使い道

Xで「縁結びの祈祷」「悪縁切り」「霊視で原因が分かる」といったポストを見かけ、DMで相談した。写真や生年月日を送ると、「強い念が付いている。すぐに祈祷しないと大変なことになる」と言われ、数万円、さらに数十万円の祈祷料を求められている――。この記事は、そうした状況で、これから払うかどうか迷っている人、または払った後で不安になっている人に向けたものです。

先にお伝えします。お金の話を続ける前に、相手のアカウント、ポスト、DM、支払いの案内を保存してください。X上の記録は、相手の操作ひとつで見られなくなることがあります。そして残した記録は、消費生活センターや弁護士に相談するとき、取消しや返金を求める根拠を組み立てる材料になります。

Xの祈祷師とのやり取りで、記録が消えやすい場面

Xで知り合った相手とのやり取りには、ほかの経路にはない弱点があります。記録がこちらの手元ではなく、プラットフォームの上にあることです。次のような場面では、後から見返せなくなるおそれがあります。

  • ユーザー名・表示名の変更:「@」で始まるユーザー名も表示名も、本人が自由に変えられる。変更後は、古い名前で検索しても見つからない。
  • ポストの削除:実績をうたうポストや料金の告知が消されると、勧誘の内容を示すものがなくなる。
  • アカウントの削除・凍結・非公開化:相手のプロフィールや過去のポストが一度に見えなくなる。
  • 自分がブロックした・された:相手のポストが表示されにくくなり、確認に手間がかかる。
  • 別の連絡手段への移動:「ここから先はLINEで」と誘導されると、X上には最初のやり取りしか残らない。

消費者庁が2022年8月に示した資料では、開運商法(霊感商法を含む)に関する2021年度の相談1,435件について、契約金額の中央値が212,716円、すでに支払った金額の中央値が64,660円と集計されています。数万円の段階で相談につながる人が少なくない一方、契約金額はさらに大きく膨らんでいることがうかがえます。払った額が小さいうちに記録を固めておくことが、後の選択肢を広げます。

入口になりやすいポストの型

Xで祈祷や霊視をうたうアカウントには、いくつかの共通した見せ方があります。「悩みを一言リプしてください、無料で視ます」と呼びかけて反応した人にDMを送る型、「相談者さまの声」として感謝のメッセージの画像を並べる型、そして特定の日付に合わせて「今月の満月祈祷、受付は残り3名」と締切をうたう型です。どれも、それだけで問題があるとは言えません。ただ、無料の鑑定から有料の祈祷に話が移るときは、料金の総額と、追加の費用がかかる条件を先に文章で出してもらうよう求めてください。出せない相手なら、そこでやり取りを終えるのが賢明です。

保存するものと、その手順

保存は「相手が誰か」「何を言われたか」「いくら払ったか」の3つをそろえる作業です。次の順で進めると漏れが少なくなります。

順番保存するものやり方のポイント
1相手のプロフィール表示名、「@」からのユーザー名、自己紹介文、リンク先。プロフィール画面のURLもメモ帳にコピーしておく
2最初に見たポスト本文と投稿日時が入るように撮る。ポストの共有メニューからリンクをコピーし、URLも控える
3DMの全体最初の1通目から順に、日付の区切りが写るように撮る。長い場合は画面収録でスクロールしながら記録してもよい
4料金と支払い先の案内金額、名目(祈祷料、お焚き上げ代など)、振込先や決済のリンクが出たメッセージ
5移動先の連絡手段LINEなどのID、アカウント名、トーク画面
6自分の支払いの記録振込の控え、ネットバンキングの取引画面、カードの利用明細、電子マネーの購入レシート

撮った画像は、スマートフォンだけでなくパソコンやクラウドにも写しを置き、日付順にフォルダへまとめます。Xには、自分のアカウントのデータをまとめて請求できる機能もありますが、準備に時間がかかることがあるため、まずはスクリーンショットを優先してください。保存全般の考え方は証拠の残し方にもまとめています。

「言われた言葉」は画像とは別に書き起こしておく

スクリーンショットに加えて、相手から言われた重要な言葉を、日付とともにメモに書き起こしておくと役に立ちます。長いDMの中から、後で必要な箇所を探し出すのは想像以上に大変だからです。特に、次の種類の言葉は漏らさず拾ってください。

  • 不安をあおる言葉:「このままでは家族に不幸が起きる」「病気になる」「縁が切れる」など、放っておくと重大な不利益があるという見立て。
  • 支払いが欠かせないとする言葉:「祈祷をしないと防げない」「今回だけは必ず必要」。
  • 期限を切る言葉:「満月までに」「今日中に」。
  • 口止めの言葉:「誰かに話すと効果が消える」「家族に言うと災いが移る」。
  • 金額が変わった瞬間:「思ったより強い霊なので追加が必要」など、請求が増えた理由の説明。

なぜこうした言葉を拾うのか。消費者契約法(第4条第3項第8号)は、霊感のように確かめようのない力を持ち出して重大な不利益を予言し、それを避けるにはこの契約しかないと迫る勧誘を、取消しの理由に挙げているからです。条文の読み方や期間については、同じシリーズのインスタDMの遠隔除霊で請求が増えていく場合の記事で詳しく扱っています。この記事では、その主張を支える材料をどう残すかに絞ってお伝えしています。

残した記録は、どこで何に使えるか

保存した記録は、相談する先によって使われ方が違います。何のために残しているのかが分かると、足りないものにも気づきやすくなります。

記録主な使い道持っていく先
DMの全体と書き起こしメモどのような勧誘だったかの説明。取消しや返金の交渉の根拠消費生活センター、弁護士
プロフィール・ユーザー名・URL相手を特定する手がかり警察、弁護士
振込の控え・振込先口座振込先口座の取引停止の申出、被害の説明振り込んだ銀行、警察
カードの利用明細加盟店名の確認、カード会社への事情説明カード会社
電子マネーのレシート・番号利用状況の照会電子マネーの発行会社

振込で払った人にとって、振込先の口座番号と名義の控えは特に重要です。振り込め詐欺救済法では、犯罪に使われた疑いのある口座を金融機関が止め、残高を被害にあった人へ配る流れが定められており、その手続きの起点がこの口座情報だからです。

筆者の意見として、相手の個人名や住所が分からなくても、ユーザー名と振込先が残っていれば、相談をあきらめる理由にはならないと考えます。相手の特定は、警察や弁護士が持つ手段で進められることがあるからです。

保存が済んだら:支払いを止め、通報とブロックへ

記録をそろえたら、次の順に動きます。

  1. 次の支払いには応じない:「途中でやめると祈祷が逆効果になる」と言われても、いったん止める。止めたことで何かが起きるという話は、確かめようのない主張にすぎない。
  2. やり取りを減らす:相手に返事をするほど、新しい請求や説得が続く。返信は必要最小限か、しない。「考える時間をください」と一度だけ伝え、その後は既読のまま置いておくのも一つの方法。返事がないことを責めるメッセージが来たら、それも保存の対象に加える。
  3. 通報する:Xの通報機能で、アカウントやポストを知らせる。
  4. ブロック・ミュート:保存と通報を終えてからにする。先にブロックすると、相手のポストを確認しにくくなることがある。

返金を求めるメッセージを送るとき

返金を求める連絡をDMで送る場合は、日付、払った金額と日、取消しや返金を求める旨を簡潔に書き、送った画面も保存します。相手の反応が脅しめいていたら、それ以上やり取りを続けず、警察に相談してください。相手の住所が分からず書面を送れないときの進め方は、弁護士に相談すると選択肢が見えてきます。

相談先と、持っていく記録のまとめ方

祈祷料の返金や契約の取消しについては、消費者ホットライン「188」に電話して、地元の消費生活センターで相談できます。払わないと呪いが返るといった脅しめいたDMが続くなら、#9110(警察相談専用電話)か近くの警察署に知らせてください。弁護士への依頼を考える場合は、法テラスに霊感商法の被害にあった人向けの案内ページがあり、相談の受け方を確かめられます。

相談の前に、記録を次の形にまとめておくと、短い時間で状況を伝えられます。

  1. 時系列の一覧:ポストを見た日、DMを送った日、請求された日と金額、払った日と方法。
  2. 言われた言葉の書き起こし:前の章で拾った言葉を、日付順に並べたもの。
  3. 画像のフォルダ:一覧の日付と画像のファイル名が対応するようにしておく。

家族に話しにくい内容でも、相談窓口の担当者は同じような相談を受けています。祈祷や霊視をめぐる相談の全体像は「霊的な問題」を名目とした高額請求の手口や占い詐欺のカテゴリも参考にしてください。

よくある質問

Q. Xで知った祈祷師のアカウントが消えてしまいました。もう打つ手はありませんか?

A. 手元に残ったスクリーンショット、ユーザー名、振込先の記録があれば、警察や消費生活センター(188)に相談できます。振込で払った場合は、振り込んだ銀行にも早めに連絡してください。

Q. DMのスクリーンショットだけで証拠になりますか?

A. 日付と相手のユーザー名が写っていれば、相談の場で状況を説明する重要な材料になります。支払いの記録(振込の控えや明細)とそろえておくと、話がより伝わりやすくなります。

Q. 祈祷をやめると悪いことが起きると言われ、払うのをやめるのが怖いです。

A. 支払いをやめたことで災いが起きるという話は、確かめようのない主張です。恐れを利用して結ばせた契約は、消費者契約法に取消しの定めがあります。言われた言葉を記録し、188に相談してください。

Q. 写真や生年月日を送ってしまいました。悪用されませんか?

A. 送った情報の範囲をメモしておき、今後、同じ情報を使った別の勧誘や請求が来ても応じないようにしてください。身分証まで送った場合は、警察や消費生活センターに相談するとよいでしょう。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。