マッチングアプリの恋人に投資を勧められたら|断り方と関係の終わらせ方

結論から書きます。アプリでマッチした相手と顔を合わせないまま恋人のような関係になり、その人から投資を勧められたら、「投資はしない」と自分の中で決め、それを短く伝えて終わりにするのが安全です。相手を説得したり、本物の恋人かどうかを見極めたりすることに時間をかける必要はありません。関係を終える前に、やり取りと送金の記録を手元に残しておくと、あとで公的な窓口に事情を説明するときの材料になります。

以下は、、相手への気持ちがまだ残っていて「どう切り出せばいいのか」「断ったら何をされるのか」で手が止まっている人に向けたまとめです。断りの文面例、引き止められたときの受け流し方、アプリ・LINE・電話ごとの連絡の断ち方、すでに送金していた場合の連絡先の順番を並べています。

断ると決めてよい根拠:警察庁の統計と国民生活センターの助言

警察庁の確定値では、2025年(令和7年)の1年間に警察が把握したSNS型ロマンス詐欺の件数は5,645件で、被害の総額は546.4億円でした。最初のやり取りが始まった場所を見ると、マッチングアプリの1,846件が最多で、全体のおよそ3分の1(32.7%)にあたります。令和8年上半期(1〜6月)の暫定値でも、マッチングアプリは753件で最初の接点の首位のままです。

お金を引き出す口実としては、投資が際立っています。令和6年の統計では、SNS型ロマンス詐欺で金銭を求められた名目のうち「投資名目」が認知件数の73.1%、被害額の85.8%でした。恋愛の会話がいつの間にか資産運用の話に移っていく流れは、珍しい出来事というより典型に近いと言えます。

消費者向けには、国民生活センターが「愛してるから投資して」っておかしくない!?という題でチェックリストを公表しました。「マッチングアプリから早々にLINE等へ移ろうと提案する」「まめに連絡してくる」「結婚資金を貯めるために投資しようと言う」「趣味が投資や資産運用」といった項目です。同センターの助言は、マッチングアプリ等で知り合った相手の指示で投資するのはやめましょう、という短いものでした。

筆者は、相手が本気かどうかを確かめるより、投資の話そのものを断るほうが確実だと考えています。見極めには何週間もかかり、その間にも「今日が締め切り」と入金を急かされるからです。

連絡を断つ前に、10分で手元に残しておく記録

断りの連絡を送る前に、少しだけ時間を取って記録を集めます。返信が止まったことに相手が気づくと、アカウントを消したり、別の名前に切り替えたりすることがあるためです。

  1. アプリ上のプロフィール:表示名、年齢・職業・居住地として書かれていた内容、写真。画面ごとスクリーンショットを撮ります。
  2. アプリ内のメッセージ:最初のあいさつから、LINEなど別の連絡手段へ移った日までの流れ。
  3. 移動先でのやり取り:相手のIDと表示名、投資の話が最初に出た日、勧められたサイトやアプリの名前とURL。
  4. お金の動き:振込の控え、ネットバンキングの明細、暗号資産交換業者の送付履歴(日時・数量・送付先アドレス)。
  5. 投資サイトの画面:残高や「利益」の表示、出金を申請した画面、断られたときの説明文。

撮った画像はスマートフォンの中だけに置かず、クラウドや別の端末にも複製しておきましょう。保存方法の詳細は証拠の残し方で説明しています。

予約した振込や、暗号資産の積立購入を設定している場合は、このタイミングで取り消します。相手にネットバンキングや交換業者のログイン情報を伝えていたなら、パスワードを変え、二段階認証を有効にしてから次に進んでください。

振込先の口座名義(カタカナの名前)も必ず書き留めます。恋人を名乗る相手とは別の個人名や会社名になっていることもあり、銀行や警察に伝えるときの手がかりになります。

もう一つ勧めたいのが、家族か友人のうち誰か1人にだけ事情を話しておくことです。断った後に強い言葉が届いたとき、1人で読むより落ち着いて受け止められます。

断りの文面は短く、理由は書きすぎない

相手へのメッセージは、短く言い切る形が向いています。理由を丁寧に説明するほど、相手はその一つひとつに反論を返してきます。文面の例を二つ挙げます。

投資は自分の判断でしないと決めました。お金に関する話には、今後応じられません。
よく考えて、このやり取りを終わりにすることにしました。連絡はこれで最後にします。

反対に、次のような内容は入れないほうが無難です。

  • 「警察に相談した」「詐欺だと思う」という一言:相手がアカウントを消したり、別人を装って近づき直したりするきっかけになり得ます。相談したかどうかを相手に伝える必要はありません。
  • 住所や勤務先、家族の名前など新しい個人情報:関係を終える段階で、相手の手持ちの情報を増やす理由はありません。
  • 「少しだけなら」という歩み寄り:一度でも追加で払うと、別の名目で請求が続く流れが、国民生活センターの相談事例でも繰り返し示されています。

既読がついたあとに返事を待つ必要もありません。送った時点で、こちらの結論は相手に届いています。

引き止め・泣き落とし・脅し:言われやすい言葉と受け止め方

断った直後は、相手からの連絡がかえって増えることがあります。よく見られる言い回しと、その場での受け止め方を表にしました。

相手の言葉の例受け止め方
「今やめたら元本が全部消える」「あと一回入金すれば出金できる」出金の条件として入金を求める話は、国民生活センターが示した手口の流れと重なります。追加の入金はしません。
「あなたのために立て替えた分を返して」立て替えを頼んだ覚えがなければ応じません。請求のメッセージは記録として残します。
「信じてもらえないなんて悲しい」「体調を崩しそう」感情に訴える言葉には返事をしなくて構いません。気持ちの話とお金の話は切り分けます。
「会いに行く」「職場に連絡する」身の危険を感じたらためらわず110番へ。差し迫っていなければ警察相談専用電話#9110へ。
「送ってくれた写真を広める」要求には応じず、画面を保存して警察へ。詳しくは送った画像で脅されたときの対処を参照してください。

罪悪感をあおられて気持ちが揺れる人は少なくありません。ただ、会ったこともない相手が投資への入金を関係の条件にしている時点で、対等な恋愛とは呼びにくいと筆者は考えます。迷ったときは、その言葉をスクリーンショットに残し、信頼できる人に見せてください。第三者の目が入るだけで、言葉の圧力はかなり弱まります。

アプリ・LINE・電話、それぞれの連絡の断ち方

マッチングアプリ

多くのマッチングアプリには、相手を運営に通報する機能とブロックする機能があります。投資や勧誘を目的とした利用を規約で禁じているサービスも多いため、通報の理由欄に「投資を勧められた」と具体的に書き添えましょう。同じ相手がほかの利用者に近づくのを運営が止めるきっかけになります。操作の一例はPairsの違反報告・ブロックの手順で紹介しています。

LINE

ブロックする前に、トーク画面の記録が済んでいるかをもう一度確かめます。ブロックしてもこちらのトーク履歴がすぐ消えるわけではありませんが、機種変更や誤操作で失うことはあります。投資の「サポート担当」や「先生」など、相手から紹介された別のアカウントやグループがあれば、同じように記録してから退出してください。

電話・SMS

電話番号を交換していたなら、端末の着信拒否に登録します。海外の番号から何度もかかってくる場合の見分け方と止め方は国際電話の催促を止める手続きにまとめました。

連絡を断った後、別のアプリや新しいアカウントから、似た雰囲気の相手が近づいてくることもあります。そのときの対応はブロック後に別のアプリから連絡が来たときを読んでください。

すでに送金していたら:今日のうちに連絡する先

お金を送った後で関係を終える場合は、断りの連絡と並行して、次の順に連絡を入れていきます。

  1. 振込に使った銀行、または振込先の銀行:詐欺の疑いがあると伝え、振込先口座の取引停止について相談します。振込先の口座が止められ、振り込め詐欺救済法による手続きが始まると、預金保険機構のサイトでの公告を経て、口座に残っていたお金が被害額に応じて分配される仕組みがあります。残高がなければ戻りません。
  2. 暗号資産を送ったなら、使った交換業者:いつ、どの銘柄をどれだけ、どのアドレスへ送ったかを伝え、取れる対応を確かめます。いったん外部のアドレスへ移った暗号資産は送った側から取り消せず、振込に比べて戻る見込みは低くなります。
  3. 警察:最寄りの警察署か#9110で相談し、被害届の出し方を確かめます。警察に相談・被害届を出す手順を読むと、当日の流れがつかめます。
  4. 188番(消費者ホットライン):お金の取り戻し方で迷う段階なら、ここから始めても構いません。身近な消費生活相談の窓口につないでもらえます。今の状況で使える制度や、ほかに頼れる窓口についての助言が得られます。

送金後のこの時期は、「お金を取り戻します」とうたう広告や、専門家を名乗る連絡が届きやすくなります。調査費や手付金を前払いで求められても、その場で決めるのは避けてください。相手との裁判や交渉を本格的に考えるなら、法テラス(0570-078374)で弁護士の無料相談を使える条件に当てはまるかを確かめる方法もあります。どこから手を付けるか迷うときは、相談の流れや相談予約のページも使えます。

よくある質問

Q. マッチングアプリの恋人に投資を断ったら、急に別れを告げられました。本気だったのでしょうか?

A. 相手の本心は外からは分かりません。ただ、投資をしないと伝えた途端に関係が終わるのなら、関係の中心にお金の話があった可能性を考えてよいはずです。気持ちが落ち着かないときは、信頼できる人や消費者ホットライン188で話を聞いてもらってください。

Q. 相手をブロックすると、証拠のメッセージは消えてしまいますか?

A. ブロックしただけでこちらのトーク履歴がすぐ消えるわけではありませんが、相手がアカウントを削除したりメッセージを取り消したりすると、表示が変わることがあります。ブロックの前にスクリーンショットを撮り、端末以外の場所にも保存しておくのが確実です。

Q. 断った後に「職場に行く」と言われました。どうすればいいですか?

A. 身の危険を感じるなら迷わず110番に通報してください。すぐに危険があるわけでなければ、警察相談専用電話#9110で状況を伝え、どんな記録を残しておくべきかを確認しましょう。脅しの文面は消さずに保存しておきます。

Q. まだお金を送っていなくても、警察や消費生活センターに相談できますか?

A. 相談できます。警察庁は「ひょっとして詐欺かも」と不安を感じた段階で#9110に相談するよう呼びかけています。消費者ホットライン188も、支払う前の相談に応じています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。