仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
友人や同僚から紹介された仮想通貨(暗号資産)の特別案件で出金できなくなったら、最初に自分のお金が「誰の手を通って」「どこへ」行ったのかを紙に書き出してください。友人に手渡したのか、友人に教わって自分で業者に送ったのかによって、返金を求める相手も、相談のときに必要な記録も変わります。
この記事は、知人経由の特別案件に参加してしまった人や、紹介された話に乗るか迷っている人に向けたものです。国民生活センターや金融庁の公表資料をもとに、お金の流れ方ごとの考え方と、友人との関係をなるべく壊さずに事実を確かめる方法を整理します。紹介した友人や特定の業者を詐欺と決めつけるための記事ではありません。
全国の消費生活センターから寄せられ、国民生活センターのPIO-NETに入力された暗号資産の相談件数は、2023年度が8,498件、2024年度が7,261件、2025年度が8,132件でした。同センターが2026年7月時点で紹介している最近の事例にも、「知人から儲かると言われて始めたが出金できない。追加で入金すれば出金できると言われた」という相談が挙がっています。
同センターが2022年8月に出した注意喚起には、20歳代の男性が勤め先の同僚からAIで暗号資産を運用する仕組みの話を持ちかけられ、セミナーでも契約を促されたうえで現金を渡し、その後は返金にも応じてもらえず連絡も途絶えたという相談が載っています。資金がないと伝えると借金を勧められたという点も含め、身近な人からの誘いが大きな出費につながる流れがよく表れています。
知人経由の話は、相手を信頼しているぶん、登録の確認や契約内容の読み込みを省きがちです。筆者は、親しい人からの話ほど、確認の手順を一つも省かないと決めておくことが、いちばんの予防になると考えています。
特別案件を紹介してくる友人は、多くの場合、自分も利益が出ていると信じています。画面に表示された残高が増えていたり、最初の少額の出金が実際にできていたりすると、本人は善意で「いい話を分けてあげたい」と考えます。
一方で、紹介すると報酬がもらえる仕組みになっていて、友人自身も上の立場の人から「身近な人を誘えば枠が増える」と言われているケースもあります。紹介料の仕組みがある投資話の法律上の問題は友人に紹介された暗号資産の取引所・投資話の記事で扱っていますので、ここでは深入りしません。
大切なのは、友人を責めるか守るかを先に決めないことです。友人が被害者でもあり勧誘する側でもある、という状態は珍しくありません。まずは事実を並べ、そのうえでどこに相談するかを考える順番をおすすめします。
もし友人が「特別枠はあなたにしか回せない」「ほかの人には言わないで」と強く口止めしてくるなら、友人自身がそう言うよう指示されている可能性も考えてください。本当に良い話であれば、家族や相談窓口に確かめられて困ることはないはずです。
| お金の流れ | 返金を求める相手の考え方 | そろえたい記録 |
|---|---|---|
| A:友人に現金を渡した、友人の口座に振り込んだ | まずはお金を受け取った友人との関係が問題になる。友人がさらに業者へ送っている場合でも、自分との間の約束がどうだったかが出発点 | 渡した日と金額、振込の控え、友人とのメッセージ、預かり証やメモ |
| B:友人に教わり、自分で業者へ振込・送付した | 契約の相手は業者。業者の実体や登録の有無、振込先の口座名義を確かめる | 業者のサイトやアプリの画面、振込先、暗号資産の送付記録(アドレス・TxID) |
| C:友人名義のアカウントで運用してもらっている | 自分の名前がどこにも出ていないため、自分のお金だと示す記録が特に重要になる | 友人に渡した記録と、友人のアカウントでの運用を頼んだ経緯が分かるやり取り |
AやCのように友人の手を通っている場合、相談の場で「誰にいくら渡したか」を説明できないと話が前に進みません。一方Bの場合は、振込先の口座がある金融機関への連絡や、振り込め詐欺救済法の手続きが視野に入ります。実際にどこまで責任を問えるかは個別の事情で変わるため、表はあくまで整理のための目安として使ってください。
友人に事情を尋ねるときは、問い詰める口調ではなく「一緒に状況を確かめたい」という形で話を切り出すと、情報を出してもらいやすくなります。聞いておきたいのは次の点です。
口頭で聞いた内容は、その日のうちにLINEやメールで「今日聞いたことをまとめておくね」と友人に送っておくと、双方が同じ認識を持てるうえ、日付の入った記録になります。やり取りの画面は削除せず、スクリーンショットとあわせて保存してください。保存の手順は証拠の残し方で紹介しています。
友人に強く返金を迫ると、連絡を絶たれて情報が得られなくなることもあります。感情が高ぶっているときほど、相談窓口を間に入れることを考えてください。
まだお金を出していないなら、断る前に「一緒に調べてみよう」と提案するのも一つの方法です。友人が自分で違和感に気づくきっかけにもなります。
国民生活センターの助言は、勧誘を「うのみにしない」こと、登録業者か確かめて無登録業者とは取引しないこと、リスクを理解できなければ契約しないことの3点に集約されています。確認の結果を見ても友人が参加を続けると言う場合は、自分は参加しないと伝えるだけで十分です。
友人やセミナーの主催者に勧められ、消費者金融などから借りて参加費を用意していた場合、借りたお金の返済は、投資がうまくいったかどうかとは別に続くのが通常です。副業や投資を持ちかける業者が短い期間にいくつもの貸金業者から借りさせ、借金だけが残るという相談が増えているとして、国民生活センターは2026年5月に注意喚起を出しています。
返済が苦しくなりそうなら、延滞する前に借入先へ事情を伝えて相談してください。日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターでは、借入や返済に関する相談を受け付けているほか、本人の申告で新たな借入を受けにくくする貸付自粛の手続きも案内しています。借入の申込みのときに、勧誘した側から収入や使いみちを偽って書くよう言われていた場合は、そのやり取りも記録として残しておきましょう。
知人経由の被害では、参加者どうしのグループができやすく、そこに「被害者の会を作って一緒に取り戻そう」「回収を手伝う専門家を知っている」といった話が持ち込まれることがあります。着手金や調査費を先に集める形なら、二次被害を疑ってください。
国民生活センターは、自分のところに相談していない人へ、手続きやお金が必要だとメールや電話で持ちかけることはないと明言しています。公的機関の名前を出して返金手続きを持ちかける連絡が来たら、返事をせず地元の消費生活センターに知らせましょう。依頼先を選ぶときは、弁護士であれば日本弁護士連合会の弁護士情報で名前を確かめるなど、身元を自分で確認してからにしてください。
持っていくものは、お金の流れを書いたメモ(上の表のA〜Cのどれか)、振込や送付の記録、友人や業者とのやり取り、業者のサイトやアプリの画面です。相談の全体像はご相談の流れ、個別の見通しは相談予約でご相談ください。返金を保証するものではありません。
A. 友人に直接お金を渡したのか、自分で業者に送ったのかで考え方が変わります。どちらの場合も、まず誰にいくら渡したかを記録で示せるようにし、消費生活センター(188)で相手の考え方を相談してください。
A. 相談したからといって、すぐに友人が罪に問われるわけではありません。友人も被害にあっている可能性があります。事実を整理するための相談として、ためらわずに窓口を使ってください。
A. 友人に渡した日付と金額の記録、運用を頼んだ経緯が分かるメッセージが手がかりになります。友人に頼んで、アカウントの入金履歴の画面を保存してもらうことも検討してください。
A. 着手金や調査費を先に求められるなら慎重になってください。依頼する前に、相手の身元を公的な名簿などで自分で確かめ、消費生活センターにも相談すると安心です。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。