ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
Xで知り合い、LINEに移ってから何か月もやり取りを続けてきた相手が、海外のプラントや洋上の現場で働くエンジニアだと名乗っている。「今のプロジェクトが終わったら日本へ行く。やっと会える」と日取りまで決まったのに、出発が近づいたころから「契約を早めに切り上げるには違約金がかかる」「最後の給料が引き出せない」とお金の相談が始まった。この記事は、そんな段階にいる人に向けて書いています。
結論から書きます。会う日が近づいたところで「会うために必要な費用」を頼まれる、という順番そのものが、公的機関の注意喚起に何度も出てくる型です。外務省は、仕事の契約解除にかかる違約金、会いに行く旅費の立て替え、経由地で拘束されたための保釈金などを、実際に使われた口実として挙げています。来日の約束が本物かどうかは、あなたがお金を出さなくても確かめられます。確かめ終わるまで、支払いは止めておいてください。
ここでは、来日の話が具体的になってから出発予定日までの「直前の期間」に絞り、請求が出てくる順番と、送らずに確かめる方法をまとめます。
来日の約束が費用の話に変わっていく流れには、おおよその順番があります。自分のやり取りと照らしてみてください。
国民生活センターに寄せられた国際ロマンス詐欺の相談にも、「日本へ渡航するための休暇取得費用を請求された」という例が載っています。アメリカで消費者保護を担うFTCは、恋愛がらみの詐欺では会えない理由が偽の身分にあらかじめ組み込まれていることが多いと分析し、「洋上の石油リグの作業員」をよく使われる偽の職業の一つに挙げています。
筆者は、来日の日付が決まってから出てきたお金の相談は、それまでのやり取りがどれだけ長く温かいものでも、いったん「確かめる対象」に切り替えるのが安全だと考えています。
来日直前の請求は、次のような名目で届くことが多いようです。どれも「会うための最後の壁」として語られるのが共通点です。
| 名目 | 説明のされ方の例 | 立ち止まって考えたい点 |
|---|---|---|
| 契約の違約金・早期離任の費用 | 契約期間の途中で現場を離れるにはペナルティがある | 雇用契約で生じた費用を、雇用と無関係な交際相手が出す理由があるか |
| 休暇の申請費・出国の許可料 | 会社に休暇を認めてもらうには費用を納める決まりだ | 休みを取るために社員がお金を払う仕組みを、相手は具体的に説明できるか |
| 最終報酬の引き出し手数料 | 給料は会社にたまっているが、今いる国からは受け取れない | 本人の給料を受け取る費用を、なぜ他人が前払いするのか |
| 航空券代の立て替え | 現地のカードが使えない、会社の手配が間に合わない | 高い収入を話していた人が、自分名義で航空券を取れない理由 |
| 経由地での拘束・保釈金 | 乗り継ぎの空港で荷物の現金が見つかって足止めされた | 拘束されている人が、なぜ自由にメッセージを送れるのか |
外務省の注意喚起には、契約を解除する違約金、渡航費の立て替え、経由地の警察に拘束されたための保釈金が、いずれも実例として並んでいます。名目ごとの細かい見分け方は保釈金・違約金・治療費を頼まれたときの記事にまとめました。この記事で注目してほしいのは名目よりも時期で、「会える直前」に集中して頼まれるほど、断りにくくなるように話が組み立てられています。
相手に本当に来る気があるかどうかは、費用を負担しなくても確かめられます。次の五つは、どれも相手の話が本当なら困らないものです。
どれか一つで白黒がつくわけではありません。ただ、五つのうち複数で「それはできない」と返ってくるなら、来日の約束の確からしさは大きく下がると筆者は考えます。
本当に来日するつもりの人なら、あなたが費用を出さないことで予定が崩れることは、本来ないはずです。反対に、断ったとたんに来日の話そのものが消える、あるいは「上司」「弁護士」「空港の係員」を名乗る別の人物から催促が届くなら、その変化を判断材料にしてください。外務省も、詐欺は単独とは限らず、仲間が友人や弁護士、空港係官の役を演じることがあると説明しています。
来日直前の請求には、たいてい短い期限がついています。「今夜中に払えないと便が取り消される」「明日を過ぎると契約がさらに延びる」といった言葉は、考える時間を奪うためのものと受け止めてください。
その場で返事をしないために、次のような言い方を用意しておくと楽になります。
「私を信じていないのか」「会いたくないのか」と責められることもあります。ですが、お金を送るかどうかと、相手を大切に思う気持ちは別の話です。本当に相手があなたを思っているなら、送金を断ったことで関係が終わる理由はありません。断ったあとに連絡が極端に増えたり、脅しに近い言葉が出てきたりした場合の対処は、連絡を断つときの手順で扱っています。
警察庁が2026年7月に公表した暫定値では、2026年上半期(1〜6月)のSNS型ロマンス詐欺は認知件数2,509件、被害額246.6億円でした。既遂1件あたりの被害額は984.1万円にのぼります。
Xは上位の区分としては示されていませんが、DMから始まるという点では同じ構図です。1件あたりの被害額が1千万円近いことは、一度の送金で終わらず、名目を変えながら何度も振り込まされる例が少なくないことをうかがわせます。来日直前の「最後の一回」が最後にならない、という前提で考えておくほうが安全です。男女を問わず被害が出ている点も、警察庁の年間統計から読み取れます。
違約金や航空券代をすでに送っている場合も、ここから損失を広げないためにできることがあります。
被害のあとに「取り戻してあげる」と近づいてくる業者や個人もいます。費用を先に求める申し出には、その場で応じないでください。
A. 画像だけでは判断できません。航空会社名を自分で検索して公式サイトを開き、予約番号と搭乗者名で照会してください。照会できない、あるいは照会の前に「発券には追加の費用が必要」と言われる場合は、支払いを止めて相談窓口に話してください。
A. おすすめしません。外務省は、契約解除の違約金をロマンス詐欺の口実の例として挙げています。雇用契約に伴う費用は本来、本人と雇用主の間で決着させるもので、会ったことのない交際相手が負担する形は通常ではありません。
A. お金の話がなくなったとたん予定も消えるなら、来日の約束は送金を引き出すための話だった可能性があります。やり取りを保存したうえで、#9110や消費者ホットライン188に経緯を伝えてください。まだ送っていなければ、それは被害を防げたということです。
A. 外務省は、一人で悩まずに家族や警察、そして相手がいるという国の日本の大使館や総領事館へ相談してほしいとしています。日本国内からの問い合わせ先として、外務省の注意喚起には領事サービスセンターの番号(外務省代表 03-3580-3311)が載っています。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。