ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
ロマンス詐欺の相手に送金してしまったら、まず手元の送金明細を開いてください。どこへ、いつ、いくら送ったかが分かれば、連絡すべき先と伝える内容が決まります。相手に「送金を取り消したい」と頼むのは逆効果になりやすいので避けましょう。
この記事は、送金の記録から必要な情報を拾い出す方法と、送金先の種類ごとの連絡先、そして送金後に必ずといってよいほど続く追加の要求への対処をまとめたものです。気づいた直後にやることの全体像は ロマンス詐欺の初動対応チェックリスト、戻る見込みの考え方は ロマンス詐欺の返金可能性 をあわせて参照してください。
銀行や送金サービスに連絡するとき、担当者がまず確認するのが送金の特定情報です。明細やアプリの履歴から、次の項目を書き写しておきます。
| 送金の種類 | 書き写す項目 |
|---|---|
| 国内の口座への振込 | 振込日時、金額、振込先の銀行名・支店名・口座番号、受取人名(カナ)、受付番号 |
| 海外の口座への送金 | 送金日、送金額と通貨、受取銀行名、SWIFT/BICコード、受取人の口座番号(IBANなど)、受取人名、送金の参照番号 |
| 送金アプリ・資金移動サービス | サービス名、取引ID、送り先のアカウント名や電話番号、日時と金額 |
| 暗号資産 | 使った交換業者、銘柄と数量、送付先アドレス、トランザクションID |
ネットバンキングの画面は、後から表示期間を過ぎて見られなくなることがあります。スクリーンショットに加え、取引明細をPDFなどで保存できる場合は保存しておきましょう。
控えをなくしてしまった場合も、記録を取り戻す方法はあります。通帳があれば記帳し、ネットバンキングなら期間を指定して入出金の明細を表示させます。窓口で取引明細の発行を頼むこともできます(手数料がかかる銀行もあります)。送金アプリは、アプリ内の取引履歴から取引IDを確認できることが多いので、アプリを削除する前に確かめてください。
日本国内の口座へ振り込んだ場合は、振込先の銀行と、自分が振込をした銀行の両方に連絡します。伝えるのは「詐欺の被害に遭い、この口座に振り込んだ」という事実と、明細から書き写した情報です。
振込先の銀行が口座を詐欺に使われた疑いがあると判断すれば、取引を止める措置が取られることがあります。止められた時点で口座に残高があれば、振り込め詐欺救済法の手続きによって被害者に分配される可能性があります。
一方、「組戻し」は振込を取り消して戻してもらう手続きですが、すでに相手の口座に入金された後は、受取人の同意がないと戻りません。ロマンス詐欺の相手が同意することはまず期待できないため、口座の凍結と警察への届け出を優先してください。
振込先の名義が日本人の個人名や会社名でも、やり取りの相手とは別人であることが多くあります。名義人に自分で連絡を取るのはやめ、情報は警察と銀行に伝えます。
海外の銀行口座に送った場合、振り込め詐欺救済法は使えません。できることは、送金を依頼した銀行に、送金の取消しや受取銀行への照会を頼むことです。受取人の口座に入金される前なら止まる可能性がありますが、入金後は受取人の同意が必要になるのが一般的で、戻らない場合が多いと考えておいてください。
送金アプリや国際送金サービスを使った場合は、そのサービスの運営会社に連絡します。日本で送金サービスを提供する事業者は資金決済法にもとづく登録を受けており、金融庁の登録業者一覧で確認できます。登録業者には問い合わせ窓口があるので、詐欺の被害に遭った送金であることを伝え、取引の保留や調査ができないか相談してください。
海外送金では、送金額のほかに送金手数料や為替の換算レートも明細に載っています。被害額を正確に伝えるため、円での支払総額と、外貨での送金額の両方を控えておくと後で混乱しません。いずれの場合も、送金の参照番号や取引IDがないと調べてもらえないことがあるため、前の表で書き写した情報を手元に置いてから電話してください。
相手の指示で国内の交換業者から暗号資産を購入し、そのまま相手のアドレスに送ってしまったときは、送付そのものを取り消す仕組みがありません。それでも、次の2点は早めに進めておく価値があります。
送付先が相手の用意した「取引所」だった場合、その業者が金融庁に登録されているかどうかも確認してください。登録のない業者とのやり取りは、国内の制度で守られる範囲がさらに狭くなります。見通しの詳しい考え方は 暗号資産を送った後の取り戻し で扱っています。
相手や、その仲間とされる人物の住所に現金を送った場合は、まだ届いていない可能性があります。すぐに郵便局や宅配業者に連絡し、配達を止められないか相談してください。伝票の控えに書かれた問い合わせ番号が必要です。
会ったことのない恋人が「宅配便やレターパックで現金を送って」と頼んでくること自体、詐欺を強く疑ってよいサインだと編集部は考えています。郵便で現金を送るなら現金書留を使うのが決まりで、わざわざ別の方法を指定する理由は、追跡や足取りを残しにくくするためと見るのが自然です。受け取り先の住所は、空き家や、受け取り役が一時的に使う場所であることも多いため、自分で訪ねたりせず、警察に伝えてください。
現金を手渡しした場合も、会った場所と日時、相手の特徴をすぐにメモしておくと、捜査の手がかりになります。
一度送金すると、相手はさまざまな理由をつけて次の支払いを求めてきます。よくある名目は次のとおりです。
「お金がまだ届いていない」と言われ、同じ金額をもう一度送らされるケースもあります。着金したかどうかは相手の言葉ではなく、自分の送金明細と、送金に使った銀行やサービスへの問い合わせで確かめてください。
編集部の考えとしては、どの名目であっても追加の送金は1円もしないと決めてしまうのが最も確実です。「これを払えば全額戻る」という話は、戻らなかった場合に次の名目が用意されているだけ、と考えてください。
返信する必要はありません。届いたメッセージは記録として残し、ブロックは保存が終わってからにします。相手の求めに応じて自分の口座で他人のお金を受け取り、送り直すことも絶対に避けてください。犯罪収益の移転に関わってしまうおそれがあります。
ロマンス詐欺では、手持ちのお金が尽きた後に、カードローンや知人からの借入れ、家族の貯金まで送金に回してしまう例があります。その場合は、送金の一覧とは別に、借入先・借りた日・金額・毎月の返済額をまとめた表を作ってください。
被害に遭ったことを理由に、借入れの返済が自動的に止まるわけではありません。返済が苦しいときは、貸金業者に事情を伝えて相談するほか、自治体の消費生活センターや法テラスで債務の整理について相談できます。これ以上借りないよう、自分から貸付けの自粛を申し出る制度もあります。詳しくは 送金で借金が残ったときの相談先 を参考にしてください。
家族のお金を使っていた場合は、隠し続けるほど打ち明けにくくなります。伝え方は ロマンス詐欺を家族に打ち明けるには にまとめています。
送金に気づいた日は、次の順番で動くと抜けが少なくなります。
警察に行く前の準備は ロマンス詐欺の被害届と警察への相談 を、国内口座の凍結後の手続きは 分配金を申請する手順 を参考にしてください。
A. 相手の口座に入金された後の取消し(組戻し)には、原則として受取人の同意が必要です。取消しより、振込先口座の凍結と警察への届け出を優先してください。
A. 振込先の口座に残高が残っていれば、凍結によって分配の対象になる可能性があります。すぐに銀行と警察に連絡してください。ただし、戻るかどうかは残高次第で、保証はできません。
A. 口座の名義人である家族から銀行に連絡してもらうのが基本です。送金の経緯は本人が説明できるよう、明細とやり取りの記録をそろえて一緒に連絡するとよいでしょう。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。