インスタの「口座を作るだけで無料コピートレード」|海外業者への誘導に注意

高級車や海外旅行の写真、右肩上がりの口座残高。そんな投稿を並べたトレーダー風のアカウントから、インスタグラムのDMが届く。「このリンクから口座を開けば、僕のトレードを無料でコピーできるよ」。この記事は、こうした誘いを受けた方と、言われるままに口座を作って入金した方に向けて書いています。

結論から言うと、「無料」の理由と、口座を開く先の業者がどこなのかを先に確かめてください。紹介者は、紹介した人が口座を開いたり取引したりすることで報酬を受け取る立場にある場合があります。そして紹介先が日本で登録を受けていない海外の業者だと、金融庁が注意しているとおり、トラブルが起きても業者への追及は極めて難しくなります。

ここでは、インスタでの勧誘の入口、「無料」の仕組み、海外業者を確かめる手順、紹介する側に関わる法律、記録の残し方と入金後の動き方を順に説明します。DMを送ってきたアカウントや紹介先の業者について、この記事で白黒をつけるわけではありません。入金したお金を取り戻せると請け合うものでもない点はご了承ください。

インスタグラムは投資勧誘の最初の入口として最も多い

令和7年の確定値として警察庁がまとめた数字では、SNS型投資詐欺の認知件数は9,523件、被害額は1,288.0億円でした。最初の接触がどのSNSだったかを見ると、Instagramが1,934件でトップで、2番目のYouTube(1,229件)、3番目のLINE(1,211件)を大きく引き離しています。

DMが入口になった被害を年代別に見ても、30代〜40代ではXと並んで、50代〜60代ではLINEやFacebookと並んでInstagramが多いとされています。どの年代でも、インスタが最初の接点になりやすいということです。

インスタでよく見る誘い方

  • ストーリーズやリールで収益画面や生活ぶりを見せ、「質問はDMへ」と書く
  • フォローやいいねをした直後に、相手からDMが届く
  • 「フォロワー限定で無料コピー枠を開放」「残り◯名」と数を区切る
  • 口座開設用のリンクを送り、「開設したらIDを教えて。こちらで連携する」と言う

投稿の写真や収益画面は、本人のものかどうかを外から確かめる方法がほとんどありません。画像は加工できますし、他人の写真が使われていることもあります。フォロワー数や生活ぶりの華やかさは、紹介される業者の安全性とは関係がないものとして見てください。

「無料でコピーできる」のお金はどこから出ているのか

コピーの料金がかからないと言われると、紹介者に得がないように見えます。けれども、海外FXなどの業界には、口座開設や取引量に応じて紹介者に報酬が支払われる仕組み(IB、アフィリエイトなどと呼ばれます)があります。送られてきたリンクに紹介コードのような文字列が付いていれば、そうした仕組みを使っている可能性があります。

この仕組みで気をつけたいのは、紹介者と利用者の利害が必ずしも一致しないことです。

  • 取引の回数や量が多いほど紹介者の報酬が増える形なら、利用者の損益に関係なく売買が繰り返される動機が生まれる
  • 損失が出ても、それは利用者の口座の損失で、紹介者は負担しない
  • 紹介先の業者が出金に応じなくなっても、紹介者が責任を取るとは限らない

「無料」はお金がかからないという意味ではなく、別のところで対価が生じているかもしれない、と受け止めておくと判断を誤りにくくなります。

紹介者に聞いておきたい4つの質問

  • 紹介や取引量に応じた報酬を受け取っていますか
  • 紹介先の業者は、日本の金融商品取引業の登録番号を持っていますか
  • コピーした取引で損失が出たとき、だれが負担しますか
  • 出金にかかる日数と手数料は、どこに書かれていますか

答えをはぐらかされたり、「信用できないならやめていい」と急に態度が変わったりするなら、その時点で手を引くのが無難です。

紹介先が海外業者のときに確かめること

金融庁は、海外に所在する業者であっても、日本の居住者のために、または日本の居住者を相手に金融商品取引を業として行う場合は、金融商品取引法に基づく登録が必要で、登録なしでの営業は違法であり罰則の対象になると説明しています。金融先物取引業協会も、海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本の居住者に対して業として行うことは禁止されていると注意しています。

金融庁が紹介しているトラブルには、SNSの成功事例を見て取引を始め、利益が出ていても出金に応じてもらえず、やがて連絡が取れなくなったというものや、国内の規制を大きく超える高いレバレッジが宣伝文句にされているものがあります。

  1. リンク先のサイトの運営会社名と所在国を控える。「海外ライセンス取得」とあれば、どの国の何という機関かも控える。
  2. 金融庁の金融事業者一括検索機能で、その会社名が日本の登録業者として出てくるかを見る。
  3. 金融庁の「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」のうち、「無登録の海外所在業者」の一覧を開き、会社名やサイトのURLが載っていないかを見る。
  4. サイトに日本語の案内や日本円での入金方法があるのに、日本の登録が見当たらないなら、口座開設は見送る。

警告の一覧は、警告書を出した時点で無登録営業が確認できた業者に限られます。載っていないからといって登録があるわけではありません。海外業者の見分け方は海外業者の登録の調べ方でも扱っています。

紹介する側に誘われたときに知っておきたい法律

インスタでの勧誘では、口座を作った人に「あなたもフォロワーを紹介すれば報酬が入る」と次の役割が持ちかけられることがあります。引き受ける前に、法律の定めを確認しておいてください。

金融商品取引法は、FXのような店頭デリバティブ取引そのものだけでなく、その媒介、取次ぎ、代理も金融商品取引業の一つとして挙げています(第2条第8項第4号)。金融商品取引業は登録を受けた者でなければ行えません(第29条)。どこまでが媒介に当たるかは具体的な事情で判断されますが、報酬を得ながら継続して口座開設を勧める行為が、この規定との関係で問題にされる可能性はあります。

さらに、自分が紹介した友人やフォロワーが出金できなくなったとき、その人との関係に深刻な影響が出ます。紹介の誘いには乗らず、すでに紹介してしまった場合は、紹介した人にも入金を止めるよう伝えてください。

DMのやり取りで残しておくもの

インスタのアカウントは、ユーザーネームを変えたり削除したりされると、あとから探せなくなります。相手をブロックする前に、次のものを保存してください。

  • プロフィール画面(ユーザーネームの@以下、表示名、フォロワー数、プロフィール文のリンク)
  • DMの最初から最後までの画面。長い場合は画面録画で残すと抜けが出にくい
  • 送られてきた口座開設のリンク。URL全体をメモ帳などに貼り付けて保存する
  • 収益画面など相手が見せた画像
  • LINEなどほかのアプリに移った場合は、その相手のIDと移った日

保存が終わったら、インスタの報告機能でアカウントを報告しておきます。証拠の整理の仕方は証拠の残し方を参考にしてください。

口座を作って入金してしまった後の動き方

まず追加の入金を止めます。出金を申請して「税金」「手数料」「口座の認証料」などの前払いを求められたら応じないでください。海外業者への入金は経路が複雑になりやすいので、使った方法ごとに記録を集めて相談します。

  • カード払い:明細に載っている請求元の表記を書き写し、入金に至った事情をカード会社へ説明して、どう対応できるか尋ねる。
  • 銀行振込:振込先の名義がサイトの運営会社と違う場合は特に、振込をした金融機関と警察に早めに相談する。
  • 暗号資産:送金日時、送付先アドレス、取引IDを控え、使った交換業者と警察に伝える。

借金をして入金するよう勧められた場合は、国民生活センターが、若い世代に投資話を持ちかけて消費者金融からの借入れを促す手口に注意を呼びかけています。借りる前に止まってください。

口座開設のときに運転免許証やマイナンバーカードの画像、自撮り写真を送った場合は、その情報が別の目的に使われるおそれもあります。何を送ったかを記録し、警察に相談するときに伝えてください。心当たりのない契約や請求が届いたら、すぐに発行元へ問い合わせます。

相談先

  • 紹介先の業者に登録があるのか分からない:金融庁の詐欺的な投資に関する相談ダイヤルへ。番号は0570-050588、平日の10時から17時まで受け付けています。
  • 登録のない海外業者やその勧誘について知らせたい:証券取引等監視委員会が情報提供を受け付けています(電話は0570-00-3581)。
  • 契約や支払いを取り消したい:局番なしの188(消費者ホットライン)。
  • 出金に応じてもらえない、相手が消えた:警察相談専用電話の#9110か、最寄りの警察署。

コピートレードの勧誘を経路別にまとめたコピートレード詐欺の相談窓口や、DMでの勧誘に多い若い世代向けのインスタのDMでの勧誘と借金の断り方もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. インスタで「口座を作るだけで無料コピートレード」と言われました。無料なら損はしませんか?

A. コピーの料金が無料でも、入金したお金で実際に取引をするので、損失は自分の口座に出ます。紹介者は口座開設や取引量に応じて報酬を受け取る立場にある場合があり、損失を負担してくれるわけではありません。

Q. 海外のライセンスを持っている業者なら安心ですか?

A. 日本の居住者を相手に業として取引をするには、日本の金融商品取引法に基づく登録が必要です。海外のライセンスは日本の登録の代わりになりません。金融庁の一括検索で日本の登録があるかを確かめてください。

Q. 自分もフォロワーに紹介するよう誘われています。紹介するだけなら問題ありませんか?

A. 金融商品取引法は、店頭デリバティブ取引の媒介も金融商品取引業に含めています。報酬を受け取りながら継続して口座開設を勧める行為が問題にされる可能性があり、紹介した相手が被害に遭うおそれもあります。引き受けないことをおすすめします。

Q. 相手のアカウントが消えてしまいました。もう相談できませんか?

A. 相談はできます。保存していたDMの画面や口座開設のリンク、入金の記録があれば、業者や送金先の手がかりになります。手元にある記録をまとめて、警察や金融庁の窓口に相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。