Facebookで勧められたコピートレード用アプリ|偽の取引画面の見分け方

Facebookで投資の話題に反応したり、友達申請を受けたりしたのをきっかけに、Messengerで親しくなった相手から「このアプリを入れれば、プロの取引が自動でコピーされる」と勧められる。アプリを開くと、入金した額が日ごとに増えていく。この記事は、そうしたアプリを入れるか迷っている方と、もう入金を済ませてしまった方のための記事です。

先に結論を書きます。アプリに表示される残高や利益は、実際の市場で取引された記録とは限りません。画面の数字は、アプリを作った側がいくらでも書き換えられるからです。判断の手がかりは、アプリをどこから入れたか、提供元がだれか、お金をどこへ入れるのかの3点です。そして、出金に「手数料」「税金」の前払いを求められたら、そこで支払いを止めてください。

以下では、Facebookからアプリに誘導される流れ、偽の取引アプリの特徴、入れる前の確認、入れてしまった後の片付け方、送金後の動き方を説明します。挙げる特徴はあくまで一般的な目安で、個別のアプリや相手を名指しで判定するものではありません。返金が実現すると約束する内容でもありません。

Facebookからコピートレードのアプリへ誘導される流れ

Facebookがどのくらい入口になっているかを、警察庁が公表した令和7年の確定値で確かめておきます。SNS型投資詐欺では、最初の接点がFacebookだったものが822件でした。ロマンス型のほうでもFacebookは1,049件あり、マッチングアプリとInstagramに続く3番目の入口です。DM経由の投資詐欺を年代別に見ると、50代〜60代ではFacebookも、InstagramやLINEと並んで多いとされています。

よく見られる段取り

  1. 投資や副業の投稿、グループ、広告をきっかけに、Messengerで個別に連絡が来る
  2. 自己紹介や日常の話を重ねたあと、「自分はコピートレードで資産を増やしている」と打ち明けられる
  3. LINEに移り、アプリのダウンロード用リンクや、アプリ名と検索方法が送られてくる
  4. アプリ上で「プロのトレーダーをフォローする」「コピー開始」のボタンを押すよう案内される
  5. 少額の入金で利益が表示され、入金額を増やすよう勧められる

警察庁は、犯人が投資用アプリやチャットでの会話から運用収益が上がっているように見せかけ、さらに収益を上げようと繰り返し振込みを求めてくることがあると注意しています。

偽の取引アプリに見られる特徴

金融庁は、模擬的な取引アプリが使われる事例について、既存の金融商品取引業者に似せた名称がアプリに使われていることがあると注意しています。少ない額なら引き出せるので信用してしまい、金額が大きくなった段階で出金を拒まれる、という進み方も示されています。

  • アプリ名やロゴが、国内の証券会社や海外の有名な取引所とよく似ている
  • 入金はアプリ内の案内ではなく、チャットで担当者から個別に口座を教えられる
  • 入金先が個人名義だったり、毎回変わったりする
  • 利益の表示が常に右肩上がりで、損失の出る日がほとんどない
  • 出金の申請をすると「税金」「保証金」「アカウント認証料」などの支払いを求められる
  • サポートへの連絡手段がアプリ内チャットだけで、会社の住所や電話番号が書かれていない

いくつも当てはまる場合は、アプリの画面を信じて入金を続けないでください。

アプリを入れる前に見る3つの項目

1. 入手経路

静岡県警察は、トークアプリなどで送られてきたURLからインストールせず、必ず公式ストアを利用するよう呼びかけています。「ストアにはないので、このリンクから」「設定でプロファイルを許可して」と言われたら、その時点で入れるのをやめてください。なお、公式ストアで配布されているからといって、運営者が日本で登録を受けているとは限りません。

2. 提供元

ストアのアプリ詳細に表示される開発者名と、アプリ内に書かれた運営会社名を控え、金融庁の金融事業者一括検索機能で探します。FXや株式の取引を国内の居住者向けに業として扱うなら金融商品取引法、暗号資産の売買や交換を業として行うなら資金決済法(暗号資産交換業)の登録がそれぞれ要ります。名前が似ているだけの別会社でないかは、所在地と電話番号まで照らし合わせてください。

3. 入金先

入金先について警察庁は、ふつうの投資なら個人の名前の口座に振り込ませることはないし、振込のたびに口座が変わることも基本的にない、と説明しています。入金先の名義がアプリの運営会社と一致しない場合は、入金しないでください。

すでにアプリを入れてしまったときの片付け方

慌ててアプリを消す前に、あとで相談に使う記録を残します。消してしまうと、残高や取引履歴の画面が見られなくなることがあるためです。

  1. アプリの残高、取引履歴、入出金履歴、チャットの画面をスクリーンショットか画面録画で保存する
  2. アプリ名、ストアのページのURL、開発者名、アプリ内の運営会社名を控える
  3. アプリに登録したメールアドレスやパスワードを、ほかのサービスでも使っていれば変更する
  4. スマートフォンの設定で、見覚えのないプロファイルや端末管理の設定が追加されていないかを確かめ、あれば販売店や携帯電話会社に相談して削除する
  5. 記録が済んだらアプリを削除する

本人確認のために身分証の画像や顔写真を送っていた場合は、その事実もメモしておき、警察に相談するときに伝えてください。記録の整理の仕方は証拠の残し方に、暗号資産で送った場合の控え方は暗号資産の証拠の残し方にまとめています。

アプリ内で「出金手数料」「税金」を求められたら

アプリ上の利益が大きくなったところで出金を申し込むと、「利益の20%を税金として先に納めてください」「出金には保証金が必要です」などと言われることがあります。警察庁は、SNS型投資詐欺の流れとして、高額な利益を表示したうえで手数料などの名目で送金を求め、最終的に連絡を絶つ例を示しています。

本当に利益があるなら、費用はそこから差し引けば済むはずです。別に振り込ませる理由を説明されても、支払わないでください。税金は、日本の場合、原則として自分で申告して国などに納めるもので、取引アプリの運営者に前払いする仕組みではありません。

支払いを断ると、「期限を過ぎると口座が凍結されて全額失う」と急かされることがあります。期限を切って迫るのは、考える時間を与えないためだと受け止めてください。

送金してしまった後の動き方

  • 銀行振込:振込をした金融機関にすぐ連絡し、警察にも相談する。振込先の口座が凍結された場合、その口座は預金保険機構が運営する「振り込め詐欺救済法に基づく公告」のページで公表され、被害回復分配金を申請できることがあります。自分が振り込んだ口座が公告されたかどうかは、口座番号を入れて調べられます。
  • 暗号資産:送金に使った交換業者に連絡し、送付先アドレスと取引IDを伝える。送った暗号資産の行き先は追跡できる場合がありますが、取り戻せるかは状況によります。
  • カード決済:どの名目で請求されたかをカード会社に説明し、取れる手段を相談する(参考:カード払いの取り戻しの考え方)。

Facebookのアカウントやメッセージも保存したうえで、Facebookの報告機能で相手のアカウントを報告しておきます。振込で払った場合の手続きの全体は、銀行振込の被害回復の流れを読むとつかみやすくなります。

家族や周りの人が気づいたときの声のかけ方

Facebookを入口にした投資の勧誘は、50代以上の方が被害に遭う例も少なくありません。家族が「最近スマホで投資を始めた」「アプリの残高がすごく増えている」と話していたら、責めるよりも先に、一緒に画面を見せてもらうところから始めてください。

  • 「だまされている」と決めつけず、「出金したことはある?」「会社の名前を一緒に調べてみよう」と具体的な確認を提案する
  • アプリの提供元と入金先の名義を、本人と一緒に金融庁の検索で照らし合わせる
  • 相手とのやり取りを消さないよう伝え、追加の入金だけはいったん止めてもらう
  • 本人が納得しない場合は、警察相談専用電話 #9110 に家族から相談することもできる

警察庁の資料によると、SNS型投資詐欺の既遂1件あたりの被害額は令和7年で1,358.2万円でした。入金が重なる前に止められるかどうかで、被害の大きさが変わります。

相談先

窓口連絡先こんなとき
警察相談専用電話#9110送金した、アプリから出金できない
金融庁 詐欺的な投資に関する相談ダイヤル電話0570-050588、平日10時〜17時アプリの提供元が登録を受けているか分からない
消費者ホットライン188支払いや契約の取り消しについて
預金保険機構(振り込め詐欺救済法の公告)03-6262-6794振込先口座の手続き状況を知りたい

Facebookの著名人広告から入るケースはFacebookの著名人「AI投資」広告を、SNS経由のコピートレード勧誘の見取り図はコピートレード詐欺の相談窓口を読んでみてください。

よくある質問

Q. Facebookで勧められたコピートレードのアプリは、公式ストアにあれば安心ですか?

A. 公式ストアで配布されていることは、運営者が日本で登録を受けていることの証明にはなりません。開発者名とアプリ内の運営会社名を控え、金融庁の金融事業者一括検索機能で登録の有無を確かめてください。

Q. アプリの残高が増えています。本当に利益が出ているのでしょうか?

A. アプリに出ている金額は運営側が自由に書き換えられるもので、市場で本当に売買した結果かどうかは画面からは分かりません。出金を申し込んだときに手数料や税金の前払いを求められる場合は、表示どおりの資金がない可能性を考えてください。

Q. 出金に「税金を先に払って」と言われました。払えば出金できますか?

A. 払っても出金できる保証はありません。税金は原則として自分で申告して納めるもので、取引アプリの運営者に前払いするものではありません。支払わずに警察や金融庁の窓口に相談してください。

Q. アプリを削除してしまいました。記録がなくても相談できますか?

A. 相談はできます。振込の控えや通帳の記録、Messengerやチャットのやり取り、アプリ名やストアのページのURLなど、手元に残っているものを集めて相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。