NFT詐欺の手口と被害相談|買う側・売る側・持っている側の立場別に整理

NFTの詐欺は、自分がどの立場にいるかで狙われ方がまったく違います。これから買う人は偽物や価格保証の話で、作品を作って売る人は「買いたい」という申し出で、すでに持っている人は署名や偽サポートで狙われます。自分の立場に当てはまる手口を知っておくことが、いちばんの予防になります。

この記事は、NFTの購入や出品、保有に関わる人と、NFT投資を勧められている人に向けた総合ガイドです。NFTのトラブルで相談先が分かりにくい理由、立場別の手口、共通の確認手順、被害に遭ったときの報告先を説明し、手口ごとの詳しい解説は個別の記事へ案内します。

NFTのトラブルで相談先が分かりにくい理由

NFT(非代替性トークン)は、ブロックチェーン上で1点ごとに区別できるデジタルの証明書のようなもので、デジタルアートやゲームのアイテム、会員権などに使われています。

暗号資産の取引であれば、金融庁の登録一覧で業者を確かめるという分かりやすい方法があります。ところがNFTは、そもそも暗号資産に当たるかどうかが一律には決まりません。金融庁の事務ガイドラインは、1単位あたりの価格が決済手段としては高額である、発行数が限られているなど、社会通念上「お金で売り買いする物品等」にとどまるものは、暗号資産の要件を満たさないという考え方を示しています。一般的なアート作品やゲームアイテムのNFTは、この考え方から暗号資産に当たらないとされることが多いのです。

その結果、NFTを売買する場(マーケットプレイス)の運営者を、暗号資産交換業の登録一覧で確かめられないことがあります。運営が海外にある場合も多く、トラブルの際は各マーケットプレイスの報告窓口、消費者ホットライン、警察を組み合わせて使うことになります。

買う側が狙われる手口

NFTをこれから買う人、NFT投資を勧められている人が出会いやすいのは、次のような話です。

  • 偽のミント(発行)サイト:人気プロジェクトの公式アカウントが乗っ取られたり、そっくりのアカウントが作られたりして、偽の販売サイトに誘導される。詳しくは偽ミントサイトと乗っ取り告知の見分け方
  • 価格保証・買い戻し保証:「フロア価格を下回ったら買い戻す」「毎月利回りを払う」と約束される。約束を守る資金の出どころが示されない。フロア価格保証NFTの見極めで解説
  • 先行購入枠の販売:ホワイトリスト(優先購入権)の枠を個人間で売り買いさせる。プレセールとホワイトリスト枠販売も参考に
  • 恋愛や知人関係を入口にした投資話:マッチングアプリの相手に特定のサイトでNFTを買うよう勧められ、売上を出金できなくなる。恋愛相手が勧めるNFT投資で扱っている

どの手口にも、「今買えば値上がりする」「損はしない」という将来の約束が含まれています。NFTの価格は需要で大きく動き、買い手が付かなければ売ることもできません。

作品を作って売る側が狙われる手口

イラストや写真をSNSで発表している人は、NFTの「買い手」を名乗る相手から声をかけられることがあります。

  • 「作品をNFTで買いたい」という申し出:高値での購入を持ちかけ、出品や受け取りのために先にガス代や登録料を払うよう求める。手順はガス代を先に払わせる手口で説明している
  • 出品代行・サポート契約:「NFT化して売り出す手伝いをする」と高額な契約を結ばせる
  • 無断でのNFT化:自分の作品が、知らないうちに他人の名前でNFTとして出品されている

正規のマーケットプレイスでは、買い手が作品を買うのに売り手へ事前の支払いを求めることはありません。ガス代は取引を実行する人が自分のウォレットから払うものです。なお、作品をNFTにしても、作品の著作権が自動的に買い手へ移るわけではありません。買う側も「NFTを買えば画像を自由に使える」と思い込まず、販売ページの利用条件を確かめてください。無断でNFT化された作品を見つけたら、出品ページのURLと画面を保存し、そのマーケットプレイスの報告機能から権利侵害として知らせてください。

すでに持っている側が狙われる手口

NFTを保有している人のウォレットには、別の形の誘いが届きます。

  • 署名による持ち出し:「保有者限定の特典」「確認のための署名」と言ってサイトに接続させ、すべてのNFTの移動を許す承認や、0円での出品に当たる署名をさせる。仕組みはsetApprovalForAllと0円出品署名で詳しく扱っている
  • 偽サポート:コミュニティのチャットで困りごとを書き込むと、運営を名乗る人物からDMが届き、ウォレットの復元フレーズを聞き出される
  • 勝手に届くNFT:覚えのないNFTがウォレットに送られ、その画像や説明文にあるURLへ誘導される

本物の運営チームが、DMで個別にフレーズを尋ねたり署名を求めたりすることはまずありません。届いた覚えのないNFTは、売ろうとせず、書かれたリンクも開かずに放置するのが安全です。

署名してしまったと気づいたら

怪しいサイトで署名や承認をした覚えがあるなら、まだ手元に残っているNFTや暗号資産を、新しく作ったウォレットへ移すことを優先してください。承認が残っているかは、ブロックエクスプローラーの承認一覧で確かめられます。移し終えたら、署名した日時、接続したサイトのURL、取引のハッシュを控え、相談に備えます。

NFTの値段がどう決まるかを知っておく

NFTの勧誘で示される「値上がり」の話を見極めるには、NFTの値段がどう決まるのかを知っておくと役に立ちます。

  • 値段は買いたい人の数だけで決まる:株式の配当や企業の業績のような裏付けはなく、そのコレクションを欲しがる人が減れば値段も下がる
  • フロア価格は「最安の出品価格」:コレクション全体の価値を保証する数字ではなく、出品者が値下げすればすぐに動く
  • 売りたいときに売れるとは限らない:出品しても買い手が現れなければ、どれだけ値段を下げても手放せないことがある
  • 取引量が多く見えても注意:同じ人物が複数のウォレットで売り買いを繰り返せば、人気があるように見せかけられる

「このコレクションは必ず値上がりする」と言い切る相手がいたら、上の4点を思い出してください。将来の値段を約束できる人はいません。値段の約束と一緒に「今だけ」「限定」と急がされたら、その場で決めないことが大切です。

立場を問わず使える確認の手順

買うとき、売るとき、署名を求められたとき。どの場面でも、次の4点を確かめる習慣が被害を防ぎます。

  1. 入口を自分で選ぶ:DM、広告、届いたNFTのリンクからではなく、ブックマークや公式サイトからマーケットプレイスやプロジェクトに入る
  2. コントラクトアドレスを照合する:公式サイトや公式アカウントに書かれたコレクションのアドレスと、目の前のページのアドレスが一致しているか
  3. ウォレットの表示を読む:署名や承認の画面に出る操作の名前と対象を読み、意味が分からなければ押さない
  4. 約束の出どころを問う:価格保証や配当を約束されたら、誰がどの資金で払うのかを尋ね、答えが曖昧なら取引しない

筆者は、この4点のうち特に1つ目が重要だと考えています。NFTの被害の多くは、相手が用意したリンクをたどった先で起きているからです。

被害に遭ったときの報告先と相談先

NFTを抜かれた、代金を払ったのに受け取れない、作品を無断で出品された。どの場合も、まず画面と記録を残してから、次の窓口に知らせます。

窓口知らせる内容
マーケットプレイスの報告窓口偽コレクション、盗まれたNFTの出品、作品の無断出品
国内の暗号資産取引所購入代金の暗号資産をそこから送った場合、送付先と経緯
警察(#9110、最寄りの警察署)だまされて支払った、NFTや暗号資産を抜かれた
消費者ホットライン188出品代行やサロンなどの契約、返金の求め方

ブロックチェーン上で移ったNFTを自分の力で取り戻すのは難しく、「回収できる」と持ちかける業者による二次被害も起きています。見通しについては送ったNFT・盗まれたNFTは取り戻せるかを読んでから判断してください。署名や承認の前に見直したい保管方法はウォレットの種類別の守り方にあり、個別の相談は相談予約から受け付けています。

よくある質問

Q. NFTは暗号資産と同じように金融庁の登録で安全性を確かめられますか?

A. 一律にはできません。金融庁の事務ガイドラインは、社会通念上お金で売り買いする物品等にとどまるものは暗号資産の要件を満たさないという考え方を示しており、多くのNFTはこの考え方で暗号資産に当たらないとされます。そのため、マーケットプレイスの運営者が登録一覧に載っていないこともあります。公式の入口とコントラクトアドレスの照合で確かめてください。

Q. 「あなたの作品をNFTで買いたい」とDMが来ました。応じても大丈夫ですか?

A. 買い手が作品を買う前に、売り手へガス代や登録料の支払いを求めることは、正規の取引の流れにはありません。先払いを求められたら応じず、やり取りを保存してください。取引するなら、自分で開いた正規のマーケットプレイス上で行いましょう。

Q. 価格保証つきのNFTは安全な投資ですか?

A. 保証を約束されていても、その資金を誰がどこから出すのかが示されていなければ、約束が守られる根拠はありません。NFTの価格は需要で大きく変わり、買い手がいなければ売れないこともあります。保証をうたう話は慎重に扱ってください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。