Instagram、X、Facebook、TikTok、マッチングアプリ。SNSを入口にした詐欺は、最初の近づき方こそさまざまですが、最後にどんなお金を求めてくるかで見るといくつかの系統に整理できます。系統がわかれば、止めるべき支払いと相談すべき窓口もはっきりします。
このページは、SNSやアプリで知り合った相手の話に違和感を覚えた人、すでにお金を払ってしまった人、家族のやり取りが気になる人のための入口です。系統ごとの詳しい記事へ順に案内します。統計は2026年9月までに警察庁が公表した資料で確かめたものです。
警察庁の数字で見る、SNSとマッチングアプリの入口
警察庁の令和7年の確定値では、SNS型投資詐欺が9,523件、SNS型ロマンス詐欺が5,645件(被害額546.4億円)でした。どちらも前の年より5割近く増えています。
犯人と最初につながった場所には、詐欺の種類ごとの特徴があります。
- 投資の話:Instagramからが1,934件と最多で、YouTube、LINEがこれに続く。TikTokとX(Twitter)はいずれも前年のほぼ2倍
- 恋愛を装う話:マッチングアプリ経由が1,846件で最も多く、2位のInstagram(1,288件)、3位のFacebook(1,049件)までで全体の約7割
- だまされる途中の連絡手段:投資もロマンスも、LINEが9割を超える
令和8年上半期(暫定値)のロマンス型では、被害者の約8割が40代から60代で、70代の被害も増えつつあると報告されています。若い人だけの問題ではなく、どの世代にも起きていることがわかります。
話の行き先で見分ける:SNS発の詐欺の7系統
入口のSNSが違っても、相手が最終的に求めるものは次の表のどれかに当てはまることが多いです。自分の状況に近い行を探してください。
| 系統 | よく出てくる言葉 | まず止めること | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 投資に誘う | 「先生のおかげで資産が増えた」「今だけの枠」 | 入金の前に業者の登録を調べる | 投資詐欺・仮想通貨詐欺の総合ガイド |
| 恋愛感情から送金を頼む | 「荷物の通関料を立て替えて」「治療費が足りない」 | 送金を保留して、身近な人に話す | 保釈金・違約金・治療費の立て替え依頼 |
| 副業・タスクに誘う | 「いいねを押すだけで報酬」「スキマ時間で日給」 | 報酬を受け取るための前払いに応じない | 副業詐欺・LINE副業の総合ガイド |
| お金配り・当選を知らせる | 「支援金に当選しました」「受け取りの手数料だけ」 | 受け取るためにお金は払わない | インスタDMの「お金配り当選」 |
| 有料サイトへ移す | 「アプリより安全な場所で話したい」 | 相手に指定されたサイトに登録しない | インスタDMでサイト登録を迫られたら |
| 画像や動画で脅す | 「払わないと家族や職場に送る」 | 払わずに、記録を残して相談する | 脅してくる相手の通報とブロック |
| 知人の乗っ取り | 「急ぎでギフトカードを買ってほしい」 | 電話など別の手段で本人に確かめる | 友だちのLINEから番号を教えてと言われたら |
当サイトが共通の危険信号として重く見ているのは、お金の話より前に出てくる二つの言葉です。ひとつは「このアプリではなくLINE(または別のサイト)で話そう」、もうひとつは「このことは誰にも言わないで」です。どちらかが出たら、その相手とのやり取りを一度止めて、表のどの系統に近いかを確かめてください。
広告から始まる場合:クリックした先で確かめること
令和7年のSNS型投資詐欺では、最初の接点が広告だった被害が3,785件あり、接触手段の中で最も多くなりました。警察庁によると、有名人の写真や映像を勝手に使い、「元本保証」「必ずもうかる」といった言葉を並べた広告が見つかっています。広告は人と人の出会いと違って警戒心が働きにくく、クリックした後の流れも速いのが特徴です。
広告から進んだ先で、次のどれかに当たったら手を止めてください。
- ニュース記事のような画面だが、発行元の名前やURLが本物のニュースサイトと違う
- 著名人の推薦をうたいながら、その人の公式サイトやアカウントに同じ案内が見当たらない
- 申し込み後すぐにLINEの友だち追加や、担当者からの電話を求められる
- 運営会社の名前、所在地、登録番号がどこにも書かれていない
見つけた広告は、各SNSの広告報告機能で知らせることができます。YouTubeやFacebookなど媒体ごとの偽広告の特徴は 著名人広告「ビットコインで必ず儲かる」 でも取り上げています。
相手のアカウントが本物かを測る手がかり
SNSでは写真も経歴も簡単に借りてこられます。完全に見抜く方法はありませんが、次の手がかりは組み合わせるほど精度が上がります。
- 写真の出どころ:プロフィール写真を画像検索にかけ、別の名前で使われていないかを見る。方法と限界は 写真詐称アカウントを画像検索で調べる方法 にまとめています
- 有名人を名乗る相手:本人や所属事務所が個人にDMで投資やお金の話をすることは、まず考えにくいものです。確かめ方は インスタで芸能人からDMが来たら で紹介しています
- 友達申請のプロフィール:作成時期、投稿の少なさ、共通の友達の顔ぶれを確かめる。Facebookなら 承認する前に見る6項目 が使えます
- マッチングアプリそのもの:異性との出会いを仲介するサービスを営むには、出会い系サイト規制法で都道府県の公安委員会への届出が求められます。届出と年齢確認の見方は マッチングアプリ詐欺の見抜き方 で扱っています
金融庁も、偽のアカウントや広告が著名人の公式サイトの写真を無断で転載していると注意を促しています。認証マークや写真の美しさは、信用する理由にはなりません。
「LINEで話そう」と言われたときの考え方
先に見た統計のとおり、だまされる途中の連絡はほとんどLINEで行われています。LINEそのものに問題があるのではなく、知り合った場所の運営の目が届かないところへ移すことが、相手にとって都合がよいからだと考えられます。
マッチングアプリの中には、規約で外部の連絡先の交換を制限しているものがあります。アプリの中でやり取りを続けていれば、違反報告の機能が使え、運営に記録も残ります。移るのを急かされたら、次のように伝えて様子を見るのも一つの方法です。
- 「会うまではこのアプリの中で話したい」
- 「ビデオ通話で顔を見てから連絡先を交換したい」
本当に関係を大事にしたい相手なら、こちらのペースに合わせることを嫌がる理由は少ないはずです。これを嫌がって連絡が途絶えるなら、それ自体が判断材料になります。LINEへ移った後でも、トーク履歴はテキストで書き出して保存しておけます。Pairsを例にした断り方は LINE交換を急ぐ相手への対応 にあります。
通報先はアプリの運営だけではない
怪しい相手を見つけたら、まずトーク画面やプロフィールのURLを保存し、そのうえで各サービスの報告機能を使います。あわせて、内容に応じて次の窓口にも情報を届けられます。
- 投資をすすめるSNS広告や投稿:金融庁が、SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報をウェブで受け付けています
- 偽のログイン画面へ誘うメッセージ:フィッシング対策協議会の報告窓口
- 自分の写真や動画をさらされた:総務省の委託事業である違法・有害情報相談センターが、削除依頼の方法などを助言しています。センターが自ら削除するわけではありません
- 脅迫や送金の被害:警察相談専用電話 #9110、または最寄りの警察署
複数のアプリで同じ相手に出会ったときの報告のまとめ方は 複数のアプリに通報するには で紹介しています。
お金を払ってしまった後の窓口
払ってしまった場合は、系統ごとに頼りになる窓口が少しずつ違います。
- 投資の話:金融庁の詐欺的な投資に関する相談ダイヤル(0570-050588)と警察
- 恋愛を装った送金:振込先の銀行と警察。暗号資産で送った場合も、送金に使った交換業者へ早めに知らせる
- ギフトカードや電子マネーの番号を伝えた:発行会社に連絡すると、まだ使われていない分の利用を止められる場合がある
- 副業・有料サイト・お金配りで支払った:消費者ホットライン 188。契約の取消しや解約で話し合える余地があるかを相談
- 脅されている:支払いを重ねず、警察へ
どの窓口でも、相手のアカウント名やID、やり取りの記録、支払いの明細を時系列で並べておくと説明がしやすくなります。払った方法ごとの動き方は 詐欺の相談先は支払い方法で変わる、恋愛を装う詐欺の段階ごとの対処は ロマンス詐欺まとめ で詳しく説明しています。
世代ごとに気をつけたいこと
若い世代については、国民生活センターが2026年5月、副業のサポートや投資を名目に複数の貸金業者から次々と借金をさせる手口を取り上げ、20歳代以下からの相談が多いと注意を呼びかけました。また、出会い系サイト規制法は、18歳未満が利用できない仕組みを事業者に求めています。年齢を偽って使ったアプリでのトラブルは、保護者に打ち明けにくくなりがちです。家族は、叱るより先に話を聞く姿勢を示しておくと、早い段階で相談してもらいやすくなります。
40代以降は、恋愛感情や老後の資金への不安に寄り添うふりをした投資の誘いが中心になります。本人が「この人は違う」と信じている場合、家族の説得だけでは止まらないこともあります。そのときは、相手の名乗る業者を金融庁の検索で一緒に調べるなど、事実を確かめる作業から入るのが現実的です。
ここに書いた内容は、公的機関の資料をもとにした一般的な情報です。返金や問題の解決を保証するものではないため、実際の判断は各窓口や弁護士にご相談ください。
よくある質問
Q. SNSで知り合った相手から投資を勧められました。詐欺かどうか確かめる方法は?
A. 相手が紹介する業者の名前で、金融庁の金融事業者検索を引いてください。登録が見つからない、名前を教えないといった場合は入金を見送る判断材料になります。迷ったら金融庁の詐欺的な投資に関する相談ダイヤル(0570-050588)に相談できます。
Q. マッチングアプリの相手にLINEへ移ろうと言われました。断っても大丈夫ですか?
A. 断ってかまいません。アプリの中なら違反報告が使え、運営に記録も残ります。「会うまではアプリで話したい」と伝えて、相手の反応を見るのも一つの方法です。
Q. 知人のアカウントからギフトカードを頼まれました。
A. アカウントが乗っ取られている可能性があります。返信はせず、電話など別の方法で本人に確かめてください。すでに番号を送ってしまった場合は、すぐにギフトカードの発行会社へ連絡しましょう。
Q. SNSでやり取りした画像をばらまくと脅されています。
A. 要求に応じて払っても、請求が止まる保証はありません。やり取りの画面を保存し、警察相談専用電話(#9110)や最寄りの警察署へ相談してください。ネットに載せられた場合の削除の進め方は、違法・有害情報相談センターで助言を受けられます。
この記事の出典
- 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年6月5日)
- 警察庁 同上 資料1(PDF)
- 警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年7月31日)
- 金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」
- 警察庁「出会い系サイト規制法」
- 国民生活センター「『愛してるから投資して』っておかしくない!?-マッチングアプリ等で知り合った人に騙されないためのチェックリスト-」(2022年12月21日)
- 違法・有害情報相談センター(総務省委託事業)
- 国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!」(2026年5月20日)
- フィッシング対策協議会「フィッシングの報告」
- LINEヘルプセンター「トーク履歴をテキスト形式(.txt)で保存するには?」
- 日本資金決済業協会「プリカ詐欺・返金詐欺について」
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。